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本当の私



私は、百面相だ。
悪く言えば、八方美人である。



悪く言えば?



そもそも悪く言う必要などないのだ。むしろ私は良人だし、「八方美人」は人間関係を円滑に。ストレスを軽減してくれる手段なのである。当たり前の話をするが、対人関係において、相手によって「顔」を使い分けられない人間は幼稚だ。子供である。

たとえば私には、
5才の息子と接する時、「母」の顔がある。
主人と接する時は、「妻」の顔があるし
両親と接する時の、「娘」の表情もあれば
兄と接する時の、「妹」の表情もある。
それから生徒さんと接する時の「講師」としての顔、上司と接する「部下」の顔、友人と接する「友」としての顔があるだろう。それも友人Aちゃんと、友人Bさんだったら、全く違う「私」が、言葉を発するのである。Aちゃんとは、バッチリ下ネタで爆笑するし、愚痴も吐き散らかす。対して、Bさんと下ネタを交わすことは不可能に近い。話すよりも、聞く姿勢が大切である。

こういった細かなことができるのが「大人」でしょ?一貫して、自分を変えないスタイルが「赤ん坊」であり、子供だよね。

私は、私。だけど、大人だから、
ちゃんと百面相してる。よ

ずっと、良い人ではいられないし、
ずっと、ふざけてもいられないんだよ。
誰にでも、心を開く訳じゃないし、
誰にでも、心を閉ざしていいんだ。

それが、私だよ。
ずっと、良い人でいるなんて無理なんだから。たまにはふざけたり、付き合いの悪い奴になってみたり、LINEをブロックしたり、お酒を飲んだり、口を開けて寝っ転がったり、家事をボイコットして。隙を作るんだ。暮らしは毎日だからね。うまく百面相していい。
全部、本当の私。

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