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5年目の胃腸炎と、夫婦のハナシ


⚠️本日のエッセイ、
食事中の方、嘔吐恐怖症の方はご遠慮ください。汚物のシーン、胃腸炎の話、リアルな表現が多々あります。




私には5歳の息子がいる。
名前はレイ。

レイは昨日の深夜、突然、嘔吐した。
これはもはや、保育園行事と言っても過言ではない。毎年、冬になると保育園児の中で大流行を巻き起こすアレだった。
「ウイルス性胃腸炎」
ズバリ、今年で5年目の家族全滅フラグ。
キタキタという感じであった。

というのも。子供というのは見事な者で、どこでも構わず、長めのゲロをかますのだ。それがたとえ、冬仕様に変えたばかりのあったかお布団の中でも。はたまた、お風呂上がりの裸にタオル姿でも。その時は突然にやってくる。なりふり構わず、予想よりもやや長めのゲロをかますものなのだ。

というわけで、今年も例外に無く。
深夜、「さて、寝ようか。」というオツカレ安眠モード全開のタイミングで事態は起きた。まるで前兆がなかった第一波のそれに、母の勘は瞬時に気がつき「胃腸炎だ!」と声を出した。私の声は、横に寝ている旦那に事態を知らせるも、次の瞬間には、瞬く間に
マットレスが死亡した。続けて、あったかシーツに、枕に、モフモフのあったか毛布が、お亡くなりになった。ついでに子供というのはこういう時、自分の身に何が起きたのか、すぐに察することができない。可愛い生き物なのである。レイはすぐさま睡魔に従い、
そこで寝たがるのだった。

つまり「胃腸炎」とはここからが、スピード勝負なのだ。すぐさま、汚物処理班が1人、息子対応班が1人、緊急出動しなくてはならない。

汚物処理班は、瞬時に階段を駆け下り、リビングに向かう。ビニール袋、消毒液、使い捨てのタオル、バスタオル、息子の着替え、それらを的確に判断してアイテム選択し、ただちに階段を駆け上がる。いわば準備部隊。
はたまた息子対応班は、その間に被害を拡大しないよう努める。息子を安心させて、なだめる。そんな母性と同時に、第二波に備えて、そこに置いてあるティッシュにて、最善を尽くすのだ。ゲロまみれになった我が子の顔を拭き、手を拭き、お水を飲ませ、汚れた寝具と、助かった寝具を分別する。この行為が、後の睡眠確保に大きな影響を及ぼすと言っても、過言ではないだろう。そうして夫婦共にそれぞれの役目を全うし、最大限の被害防止に努めるのだ。

そうして深夜。私たちは、互いの連携プレーにて第一波を乗り越え、被害を最小限に抑えた。つづく第二波に備えた。

子供というのは、やはり可愛い生き物で。
「うっ」と吐き気を自覚してから吐くまでのスピードが0.5秒ほど。その0.5秒の間に、ビニール袋を口元へ用意できなければ、次々に被害は広がるものだ。その二次被害、三次被害が続いてしまえば、愛する子供と家族の睡眠はどんどん削られるからね。
母親である私の本能的スイッチは、
息子へロックオン。
眠れない夜を過ごしたのだった。

おかげで母は、第二波、第三波、第四波までビニールキャッチに成功した。そして、相方である旦那さんは、ビニールキャッチに間に合わずとも。汚物のビニール袋を私から受け取り、毎度リビングへと捨てに行ってくれた。そうやって私たちは、寝不足になりながらも、それ以上の被害を広げることなく。息子に安心と睡眠を与え、可愛い寝顔を守ったのだった。

そんな怒涛の夜。
実は私、なんだかとても心強かったんだ。

というのも変な話。
産後一年目の私たちは、夫婦共にポンコツで最悪だった。初めて息子が嘔吐した時なんかは緊急事態にオロオロして、私は汚物を素手でかき集めたし、第二波は身体に喰らった。旦那は旦那で、眠気に弱く、もたもたと対応は不慣れ。第三波も、第四波も被害は広がり寝具は全滅した。いつまで経っても眠れる状態にならず、開けない夜を過ごした。時に、息子が心配で対応がわからず病院に電話をしたこともあった。そして、翌日から両親は見事にウイルスを貰い、夫婦共に寝込んだりした。あらゆる被害拡大に精神は耐えきれず、何度も夫婦でぶつかった。ゲロを浴びては、連携の取れない互いにイラつき、争いが起きたから、息子が胃腸炎を起こすたびに、我が家はストレスで一家滅亡を繰り返してきたのだった。

それが。そんな夫婦も、5年目となればもはや、最強タッグだなぁと。なんだか初めて「胃腸炎」が感慨深いものとなった。旦那はプロのゲロ処理班になったし、私は看病に迷うことなく、司令長官だった。

旦那は日中、どんな激務であっても、育児のサポートを怠らず。妻はそんな旦那に、細かく感謝できるようになった。しんどい時こそ協力できる、良きパートナーとなったみたい。ね





育児を行う夫婦は、互いへの怒りや、苛立ち、人としての未熟さや、疎ましさがあっびろげになる。だからこそ、あらゆる苦しさを超え、許しや我慢を覚え、協力を学び、楽しみを分かち合うようになるんだな。そしてこれから本格的な育児の難しさや、子離れの寂しさも乗り越えることになる。

息子の胃腸炎騒ぎも、長くてあと三、四年。そのうち、息子は別室で1人で眠るようになるもんね。せっかく良きパートナーに成長してるんだ。今日も、夫婦共に協力して、可愛い我が子の寝顔を守ろうと思います。
早く元気になるといいし、夫婦共に無事を祈る。今日はそんな感じです。

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