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レイとわたし



私には4歳の息子がいる。
名前はレイ。


レイは昨日、熱を出した。


それは、きのうの昼のこと。
「レイくん38.9°です。お母さん、お迎え来れますか?」と。保育園の先生からママ界お馴染み「呼び出し砲」を喰らい、午後のレッスンを直前で休講に。「ごめんなさい」の気持ちに溺れてアップアップしながらも、息子の元へ飛んでいった。
そこには真っ赤な顔の息子。ぐったりとしたレイの様子に「これはあかん」と母の直感。帰宅後、すぐに明日からの仕事の調整もした。これまた、「ごめんなさい」の気持ちで、文字を打つ表情は曇ったんだけどね。いつもいつもこんな時、こころには霧雨くらいの雨が降っちゃうんだ。霧雨っていやだよね。傘をさしても、濡れるんだもん。「仕方ない」と理解していても、雨は降るんだ。 



ただその、
「明日はお休みでお願いします。」という。
わたしがこの世で一番苦手な連絡も。幸い、理解のあるスタッフに囲まれて、クリアする私がいる。オーナーが昔、言ってくれたんだ。
仕事か?育児か?って迷わなくていいんだよ。」「どちらか捨てるんじゃない。どちらも大切にする方法があるから。」って。

その言葉は私のお守り。今も、私に未来をくれる。いつも、いつも、有難うございます。



と、そんなところで話は戻る。そういうわけで
昨夜は大好きなガリガリ君も残したまま、ソファで寝てしまったレイ。触れるだけで分かる芯からの火照り。速い鼓動。真っ赤な頬。私は、大切に彼を抱き抱えて、ベッドまで運んだ。そうして夜通し、心配した。冷えピタに、氷枕に、扇風機の首振り。何度も微調整する風。ポカリにはストロー。深夜に汗を拭き、トイレにもついて行った。そんな母の密な心配をよそに今朝。AM5:20。まんまるなレイの瞳と目が合った。

ぼーっと母を見つめる彼は小声で

「ママ〜?レイくん、今日、ほいくえん?」と、聞いてきた。

「お風邪だから、お休みだよ。」
と、母が答えた。

すると、彼はこころの底から、安心したような笑顔を写し、ニコッと笑った。それは一瞬のこと。そうしてまた、まんまるの瞳に眠気を戻し、彼は目を擦ってから夢に帰った。私も。
夢うつつで、思ったんだ。


これでいいんだ。


それでいいんだ。





そうやって私は最近。良い方向の「諦め」を覚えたと思う。長年「諦め」とは、自分の首を絞めるものだって思ってきた。けど、今は違う。「諦め」の後が肝心なんだって、そう思うんだ。

なんて。
今日のことをここまで描くと、なんとなく素敵な母親みたいな私。だが、今日は朝6:20から始まった一日を、いまの今までレイと過ごした。私にとっては正直なところ、育児はとてもしんどかった。というかめっちゃ、つまらなかったと思うんだ。ケロッと元気になった息子に歓喜だったのも束の間。まったく興味のない「ゲゲゲの鬼太郎ようかい図鑑」を、何度も何度も読まされたり、ポケモンの塗り絵を塗ったり、ツムツムの塗り絵を塗ったり、恐竜の塗り絵を塗ったり。しりとりをしたり、コーヒーではなくカルピスを半分こ。ヒカキンのクレーンゲームのYouTubeを何時間も見て過ごす。そんな1日は、とても長く感じた。自分のやりたいことが一つもできない、部屋が散らかるだけの、そんな時間はめちゃくちゃストレスだった。ただ。それでも、
今日いちにち。私は「育児を大切にしたい」
そう思ったことに、間違いないだろう。
それでいいし、これでいい。



あしたからまた、がんばります。

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