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石神マリエ@ご自愛エッセイ
2024年2月11日 07:37
辺りは真夜中のように暗かった。それは少し怖くなるほど静かで、恐ろしい生き物が眠っているみたいな時間。私はまだ誰も歩いていない道に足を踏み入れ、まだ誰も吸っていないだろうし吐いていないだろう空気に跡をつけるよう、白い息を吐きながら駅に向かった。車も人もない、赤信号も青信号も意味をなさない信号で止まり、だんだんと明るくなる景色に安心と新鮮を覚えた。駅に着くと階段を上がってホームまで急いだ。階段を上がっ