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お医者さんに質問するばかりじゃあ、もったいないもったいない

この前、診察室で、
こんなことを言ってくれる人がいました。

もっと、早く、
こんな場所を知っておけばよかった。。

こんな場所って?

自分のことを話したり、
聞いてもらったり。

子どもの頃から、
そんなことはなかったので。。

その人は、何十年も会社に尽くして、
身を粉にして働き、
ついに身体の調子を崩して、
診察室で出会いました。

自分に立ち止まることもできず、
自分より他者を優先して頑張って、
自分の思いを、押し殺してきました。

また別の人は、
診察室の使い方のことで、
こんなことを話されていました。

何を話したらいいか、
最初、全然分からなくて。

え?じゃあ大変でしたね?

やっと最近ですよ、
慣れるのに一年くらいかかりました(笑)

自分の気持ちを話していいなんて、
知らなかったからー。。


この人は、過酷な家庭環境を生き抜くのに、
自分の気持ちや感じ方なんて、
危険物以外の何物でもなかったのでしょう。

そう、こんな場所、日常生活にはないし、
特に社会生活が始まってしまう年齢になると、
そうそうないんですよね。

こんな場所、とは、
安心して自分の内側を語れる場所、
ですね。

良いか悪いか、
正しいのか間違っているのか、
どう対応すればいいのか、
何が正解なのか、

つまり、問うこと、
ではなく、

こころの中のことを話す場所、
誰かの意見ではなく、自分との対話。

自分は正直、本当はどんなふうに感じてるのか、
人目も何の制限もなければ、本当はどうしたかったのか、
理解はされないけど、自分にとっては何を大事にしたかったのか、
墓場まで背負っていかなきゃって思い込んでいる罪や恥、
身近な家族、大事な人だからこそ、我慢して溜め込んでしまった感情、、。

つまり、語ること、
です。

これって、よっぽど恵まれた人は別ですが、
多くの人にとっては、生涯を通しても、
なかなかない機会ではないでしょうか。

事業で成功した社長さんだろうが、
立派に家庭を築いた主婦だろうが、
そういう世間的な豊かさでは、
得られない次元の話し。

そして、ちゃんとお金を払って、
お話しする場所を確保するという安心感。

というか、本来、
いくらお金を払っても、
買えるものでもないのです。

そう考えると、
手前味噌ですが、
ほんとに、精神療法って、
贅沢なサービスですよねーーー、

と、その話しをしてくれた患者さんと、
感心し合ったのでした。

情報やノウハウばっかが飽和した、
なんでもあるように見える今の世の中に、

あるようで、どこにもない、
すごーいサービスだとは思いませんか?

ただし、まぁ、診察室で取れる時間は短すぎるのが、
残念なのですが。。

で、この短い時間を、

この症状はなんですか、
どうしたらいいんでしょう、
これで正しいのでしょうか、、

問いと答えばかりで終わらせてしまうと、
もったいない。、
せっかくの自分の時間が、途端にいつもの、
「何かやらなきゃ」モードになります。

、、というかですね、問いと答え、
情報提供と問題解決の次元であれば、

今どき、もはやお医者さんより、
YoutubeやGoogleさんの方が、
専門情報はめちゃ詳しいし、
説明は完璧に上手いし、、
もう、圧倒的に優秀なのです。

ほんとに最近のネット情報は、すごい、
これからますます、情報サービスは、
AIの進化でもっと加速することでしょう。

で、お医者さん側も、いけない。
なんとか患者さんの問いに、
出来るだけ答えてあげたいとし過ぎるあまり、
問答の沼にハマってしまうのですよ、
これは、いつも反省です。。

精神療法は、技法や学派が何百もありますが、
大大大前提として、
語ること、表現することで
回復する治療法なんだったよなーー、と、
改めて気づかせてもらったのでした~。













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