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ゆるエッセイ#秋夜の散歩

ある晴れた日の夜。
「今日の空気、君はきっと好きだよ。お散歩に行こ?」
ワクワクが溢れた顔に誘われて、温かい彼の手を取って夜のお散歩が始まりました。

夜のお散歩は、世界が眠っている時間。静まり返った世界に、こっそり抜け出してきた気分で、話し方は無意識にコソコソ話になります。時間の流れはゆっくりに感じ、虫の声、自然の音、空気の匂い…全身で「いま」を感じるのです。

「もう秋の匂いがするね。」
私は彼のこの感性が好きで、静かに微笑んでしまいます。鼻にむんっ、と来て、密度が濃い夏を過ぎ、秋はしっとり爽やかに香ります。
そんな空気の透明度が上がる秋は、空を見上げると星も綺麗に映えて見えます。
いくつもの星がキラキラと、ほんとうに、瞬くのです。一瞬、飛行機じゃない?と思うくらい、何色もの色を持った光がキラキラしていて、
「え、あれほんとに星?」
「星だよ!!ほら、よく見て、あそこから動いてないもん!」
そんな会話をしながら、秋の夜空を味わいます。

私は、秋夜のお散歩が大好きです。冬の少し手前、湿りのない気持ちの良い空気を味わいながら歩く秋夜のお散歩が、せっかちになった心をじんわりと、緩めてくれる気がします。

ゆっくりと時間に身を委ね、
綺麗なものをじんわりと心に染み込ませることで、心はゆるりと柔らぎます。
空を見上げる、星や月の光を浴びる。
そんな瞬間が、私の1日の中でとても大切なものです。
毎日の中で、綺麗なものに感動する時間はとても大切だと思うのです。その綺麗なものって、欲しがるのではなく、気づくのです。
美しいものを見つけるよう意識をする。それだけで、世界の色は変わると思っています。
毎日頑張っている人こそ、いつもそばにいてくれる美しさを、見逃さないで欲しいと願っています。

今日も良い気持ちで眠れますように。

#エッセイ #ゆるエッセイ#散歩#夜#秋#日常#日常の幸せ#小さな幸せ

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