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【DTM】初心者の作曲できない問題を解決する④【カデンツ編】

【Roadroller Sound Studio】(@RBYYYYYYYYYYYYY)です。

これまでの記事を読んで頂いた方々は作曲における心構えと、長調(Major Key)短調(Minor Key)のイメージを把握して頂けたかと思います。

 ↓(※ これまでの記事)


それではいよいよコード進行を作っていくわけですが、難しく考える必要はありません。

コード進行にも基本的なルールというものがあり、そのルールに従ってさえいれば、誰が作曲してもスムーズに連結されていくからです。

そのルールとは「カデンツ(cadenza、kadenz)」と呼ばれるもの。

「ハーモニーの定型」を意味する言葉ですが、もっと噛み砕いて説明させて頂くと "こんな風にコードを繋げると良い感じになる" というものです。

「カデンツ」を使いこなして頂くためにも、まず3つの言葉を覚えて頂きます。

・T(トニック)
始まりや終止のコード
文章の中の主語のようなもの
落ち着いた雰囲気、安定感がある

・D(ドミナント)
最も緊張感のあるコード
文章の中の述語のようなもの
不安定で落ち着かない雰囲気
その先を連想させるような響きがある

・S(サブドミナント)
D(ドミナント)を飾るコード
文章の中の補語のようなもの
安定でも不安定でもない、ふわふわとした響き


コード(和音)にはこれら3つの役割が元々与えられており、その並べ方に関してもルールが決まっております。

ちなみにそのルールも下記の3つだけなのでとっても簡単です。

・カデンツ① … TーDーT
・カデンツ② … TーSーDーT
・カデンツ③ … TーSーT

本当にこれだけです。
つまり…3つの言葉、3つのルールを覚えるだけで作曲は出来るというわけですね。


それでは練習として「C Major Key(ハ長調)」のダイアトニックコードを見ていきましょう。

・C(トニック)
・Dm(サブドミナント)
・Em(トニック)
・F(サブドミナント)
・G(ドミナント)
・Am(トニック)
・Bm-5(ドミナント)

あとは先ほど覚えて頂いたカデンツのルールに従うだけです。

・カデンツ① … TーDーT
(例)C → G → C

・カデンツ② … TーSーDーT
(例)C → F → G → C

・カデンツ③ … TーSーT
(例)C → F → C

ちなみにカデンツはそのルールに従っていれば途中で他のものとくっつけても問題ございません。

例えば、J-POPで最も有名なコード進行であるカノン進行は下記のようになっております。

カノン進行 … TーDーTーTーSーTーSーD
(例)C → G → Am → Em → F → C → F → G

実際にヒットソングを作るというのは別問題になりますが、このコード進行で曲が作れないとか変なメロディーにするというのは、カレーを不味く作るくらい難しいと思います。


初心者の方々が抱えやすい問題はヒットソングを作れないのではなく、曲が作れないという問題だと思うので、ここもひとつの割り切りポイントとして、とにかく最初は決められたカデンツのルールに従って、自分好みの響きになるようにコードを繋げてみて下さい。

1600~1750年代に、この「カデンツ」というものが確立しましたが、すでに300年近くこのルールに基づいて作曲されてきたわけなので、とにかく上記のルールさえ守っていれば、曲が作れないという現象は発生しないかと思われます。

ちなみに「カデンツ」は、三和音でも四和音でも長調でも短調でも共通なので、僕の記事を参考にされる場合は…

1. 調性のイメージから作曲したい調を選ぶ
 ↓
2. 選んだ調のダイアトニックコードを並べる
 ↓
3. カデンツのルールに従ってそれらのコードを繋げていく

上記の工程だけで簡単に作曲することが出来ます。


少しだけ実践的な例を挙げますと「アンビエント」や「ヒーリングミュージック」を作る際は【T(Ⅰ)-S(Ⅳ)】をひたすら繰り返せば、それっぽくなります。

(※ 世界中で大ヒットとなったジョン・レノンの『イマジン』も、ほとんどこの【T(Ⅰ)-S(Ⅳ)】の繰り返しです)


この作業に慣れていけば…

・「曲の中でもっと展開を広げていくにはどうしたら良いか?」
・「Bm-5(Ⅶm-5)のドミナントはどう使えば良いのか?」
・「必ず最初は、T(トニック)でなければならないのか?」...etc

色々な疑問が浮かんでくると思います。

そうなった時に初めて「転調」とか「サブドミナントマイナー」とか「ピボットコード」とか「ツーファイブ」とか「セカンダリードミナント」とかを調べて頂ければ、きっとご自身の力になると思います。

もうこの時点で言いますが、必ず最初は「T(トニック)」でなくても良いのです。

世の中には「S(サブドミナント)」から始まる曲も、「D(ドミナント)」で終わる曲もたくさんあります。

どうしてそうするのかはご自身の耳が慣れていった後で、実際に確かめてみると良いでしょう。


ここからはあくまで個人的な推奨になりますが、作曲初心者の方はとにかく少ないコード、シンプルなコード進行で作曲することをオススメします。

3コードもしくは2コード。
可能であれば、1コードで作曲できるようになれば理想的です。

理由としては使うコードを少なくすればするほど、使えるメロディーの選択肢も狭まっていくので、一辺倒になりがちな曲の展開を回避するために「ハーモニー」や「リズム」を自然と工夫するようになり、自分の音楽の引き出しがどんどん増えていくからです。

僕が通っていた専門学校の副担任の先生も音楽の修行をしていた頃、メロディーは「経過音」か「刺しゅう音」縛りで作曲するよう言われていた時期があったらしく、その経験が今でもかなり活きていると仰っていました。


最後に余談を挟みましたが「カデンツ」まで理解して頂ければ、作曲に関してはもう心配することはないと思います。

口酸っぱく何度でも言います。

後世に残るような名曲を作る必要はありません。
「カデンツ」というルールに逆らわず、ただひたすら従うのみ。
その代わりに今できる最大限の力をシンプルなコード進行に全て詰め込んで下さい。

この繰り返しがきっとあなたの財産になるはずです。

不定期にはなるかも知れませんが、今回のような音楽初心者向けの記事を今後も更新していきたいと思っておりますので、その時はまたよろしくお願い致します。

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