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アメリカンフットボール 品川CC ブルザイズ~ (総括)#共に進む3年後の未来へ : クラウドファンディング 結果ご報告


はじめに

新年あけましておめでとうございます。日本社会人アメリカンフットボール協会Xリーグ X1AREA所属 品川CC ブルザイズのGMの岸原です。昨年度はご支援、ご声援頂き誠にありがとうございました。本年度もよろしくお願いいたします。

さて、昨年の8月21日にプレスリリースを出し、8月28日に開始した私たち 品川CC ブルザイズのクラウドファンディング。 

と銘打ってスタートしてから、50日が経過した10月17日に無事目標達成し、 終了しました。ご支援ご声援頂いた皆様、誠にありがとうございました。

たくさんの方々のご支援、誠にありがとうございました。


クラウドファンディングの目標金額達成について、これまでの経緯を振り返り皆様に感謝の念を示すとともに、X1SUPER昇格に向けて24年・25年も本取り組みを続けますので、より良い企画を立案実行できるよう、まとめをnoteに投稿します。ご意見、アドバイスいただけると嬉しいです。

クラウドファンディングの成功曲線と50日間の振り返り

50日間の進捗を振り返ります。

まず、クラウドファンディングの成功率などについてまとめていたサイトの情報と最大手クラウドファンディングの1つであるReady forさんのグラフをもとに整理してみます。

Ready forより引用

1.日本におけるクラウドファンディングの平均成功率は61.8%
2.公開から5日以内に達成率が20%以上になると成功率が約90%になる。
3.公開から5日以内に達成率が10%以上になると成功率が約70%になる。
4.残り5日時点で50%を超えていれば、成功率は90%ラインとなる。

上記2サイトの要点まとめ

…となります。こうした成功曲線を描くのが一般的なKPIの中、23年度ブルザイズのクラウドファンディングの進捗をまとめました。縦棒は日別の獲得額(単位:円)、折れ線グラフは進捗率(単位:%)です。

 

クラウドファンディングは、いわゆるハイプサイクル的に
・「黎明期」=最初は期待度が高く、一定以上の金額を獲得できる
・そのピークを超えると、暫くは様子見=「低迷期」に入る
 →この時期を「啓発期」と考えて訴求活動が必要(レポート発信、SNS訴求、f2fの御お願い、リターン品の見直し等…)
・この啓発期に仕込みができれば、安定期に入り、Goalに向けて数字が上がり始める。仕込み出来てなければ、「低迷期」を超えられずに消えていく…
…というのが一般的です

開始数日で45%を超える実績を達成しました。これは今回のクラファンの狙いである「高額支援者獲得」として、事前に交渉を進めていたリープ株式会社様にスポンサー契約いただいたから、と言えます。
ご参考までにリープ株式会社様は早速スポンサーシップのアクティベーションに取り組んで頂いています。本当にありがとうございます。

しかしながら、約1週間で50%を超えたところ、その後はピタッと止まり、低迷期が続きました。要因は下記のとおりです。

①クラウドファンディングで売れ筋リターンになりやすい オリジナルTシャツ販売が苦戦
一般的にスポーツチームのクラファンの景品には、チームカラー、ユニフォームにちなんだTシャツが、値段の手頃さ、試合観戦時に着用しやすい、という理由から主力商品になる傾向があります。
クラファンの神とも言える、西野亮廣氏は クラウドファンディング景品にTシャツを選ぶことに否定的ではあるものの、特にブルザイズの場合は好きな番号を選べる、好きな選手の名前等の文字を入れられることもあり、22年のクラウドファンディングでは売れ筋リターンでした。
また23年度は創部31年目にして初のユニフォームフルモデルチェンジだったこともあり、8月迄の間に通常の後援会員向けの特典としてユニフォームレプリカTシャツを進呈していました。
以上の取り組みで、本クラウドファンディングを開始する前に合計120枚近いTシャツを販売済みでした。その反動で23年度のクラウドファンディングでは20枚程度の販売と低迷しました。

②期待の”Only One” リターンの伸び悩み
23年度は、通常の会員制度との特典を分けるために、会員特典には無い、このクラファンでしか手に入らない”Only One”リターン品に取り組みました。特にプライベートアルバムはリターン単価も高く、かつ、クラウドファンディングでしか手に入らないので、期待してましたが、実際は1件ずつでした

・【限定】選手24名サイン付き 23年度プライベートアルバム
【限定】1993~2023年ブルザイズ イヤーブックデジタルアーカイブ

③クラファンページへの閲覧数が開始10日目以降低迷
最初は1日あたり数百を超える閲覧数だったものが、開始から100日間が経過したあたりから、2桁迄ダウンし、しばらくはその傾向が続きました。これは他のスポーツ系クラウドファンディングの取り組みと比較しても、残念ながら大変低い数値でした。
今回のクラウドファンディングは、試合結果との相乗効果を図るため、あえてシーズン開始に合わせて取り組んだのですが、反面シーズン中は選手・スタッフは試合に向け忙しく、彼らのアカウントからの発信が難しかったため、本来発信力が強い「選手からの推し」を活かせなかったためと考えています。

日別閲覧数推移 生データ


上記3つの理由による「低迷期」を「啓発期」にすべく、このクラウドファンディングを通じて知り合った、横浜ハンマーヘッドにある 人気ブルワリーでREVO BREWINGさまとコラボすることとなりました。そのカラー、頂点を目指すことを意味するデザインがブルザイズと共通のビジョンを持つ証と言える、人気クラフトビール「ONE」のプレミアムパックを導入し、プレスリリースも実施しました。
これまでクラウドファンディング景品はグッズ等でしたが、コンマリ=断捨離の時代にモノが増えるのを嫌う方もいるでしょう。そんな時、この「ONE」は飲めば無くなるということが、購入ハードルを下げたようです。

こうした仕掛けは終盤1週間になって、かなり効果が出始めました。
また個人オーナー扱い(10万円の支援)でマーケティング関連の事業領域とする、合同会社クルサデ プロモーション様にも支援を頂きました。着実に支援の輪が広がりました。


クラウドファンディングの成功要因:「空中戦に見えて、実際は地上戦」…身近な親しい人、既存の支援者を大切にすること

アメフトでは試合の最後のわずか2分間で勝敗が二転三転する…という独特な傾向があります。アメフトの試合会場、スクリーンの前でもっとも盛り上がるこの2分間の攻防を”ラスト2ミニッツ”と呼んだりします。
私たちのクラウドファンディングの取り組みも、まさに”ラスト2ミニッツ”=最後の5日間で一気に動きました。上記のグラフ内で説明を加えたように、最終5日間で42万円、29%の進捗積上げに成功しました。

では、最終的にどのような方々にご支援いただいたかを説明します。

獲得金額130.3万円の支援者区分別金額構成比

1つ目は130,3万円の支援者区分別金額構成比です。50万円の新規スポンサー様 リープ株式会社様分の38%が目立ちますが、注目頂きたいのは

・既存チーム関係者9%+会員(チーム会員制度入会済みの方々) 29%=38%
・新規だが元々チーム関係者の知人10%+クラファン事務局関係1%=11%
∴ = 身近な方々からの獲得金額構成比 49%

クラファンデータより算出

という「身近な方々からの獲得の重要性」を示すFactです。

続いて、クラファン支援者区分別 人数・人数比です。

獲得金額130.3万円の支援者区分別人数・人数構成比

こちらを見ると

・既存チーム関係者+会員+新規知人+新規関係者
 = 身近な方々の獲得 合計64人、88%
・新規スポンサー+新規オーガニック% 合計9人、12%

クラウドファンディング データより算出

となっています。このFactから言えることは、

クラウドファンディングのメインターゲットは
1)既存の会員、支援者
2)現時点会員、支援者ではないが選手・スタッフ等の知人・関係者
∴ 身近な方々

 

ということです。

もちろん、クラウドファンディングサイト、Yahoo!スポーツ欄(1週間程の期間限定記事)、スポーツ専門メディア Sports Bullの関連記事を見て、初めて私たちの取り組みに気づき、支援をしてくれた「新規オーガニック」の方々も全体の13%います。

ただしやはり基本は、身近な方々の支援が中心です。実質的にクラウドファンディングという「空中戦」で情報を広く配信しても、それにより一気に新規オーガニック流入、獲得数が増えるのではなく、
クラウドファンディングを通じて
1. 一人ひとりが、既存会員・支援者に、新たな支援の選択肢を紹介すること
2. 一人ひとりが、まだ会員、支援者ではないが、身近な人々に支援の選択肢を紹介すること
すなわち「地上戦」が大事、
ということがわかります。


最高峰リーグ=X1SUPER昇格・定着に向けて

ブルザイズは2025年にX1SUPER昇格の舞台に立つべく、今後もプレー面、組織力ともに高めます。そのため24年度、25年度も通常のスポンサー・支援者・会員獲得活動に加え、クラウドファンディングにも再チャレンジし、組織力強化に取り組みます。
自分自身へのリマインドも含めて、今後の進め方をまとめていきます。

①「ダンバー数」の考え方に基づくターゲット選定
上述のように「身近な人々を攻略することがクラウドファンディングにおいても大事」という結論に行きつきました。
この考えを裏付けするものとして「ダンバー数」について追加説明します。

人が維持できる人間関係の上限(出典元:DESIGNING AUTHENTIC COMMUNITY

ダンバー数とは人間が円滑に安定して維持できる関係は150人程度だという理論です。さらにそれを細分化すると、

  • 第0階層:3~5人(危険な時に駆けつける、お金の相談をする、助けを乞う、秘密を打ち明けれるとても親密な友達)

  • 第1階層:12~15人(月に1回程度会うような親密な友達。「シンパシーグループ」と呼ばれる)

  • 第2階層:45~50人(距離のある友達)

  • 第3階層:150人(友達の限界であるダンバー数)

参考:Are social networks ruining our real friendships?

となります。23年度のクラウドファンディングでは、シーズン中の選手には負担をかけず、チームの運営スタッフ側主に5-6人が、第0階層、第1階層を中心に獲得したものでした。
24年度以降は、早い段階からチーム内にクラウドファンディングを開催すること、その中身を共有し、選手スタッフ一人ひとりが第0階層、第1階層を中心に取り組みを紹介していくよう進めます。簡単に言えば、職場同僚、上司、取引先等に声をかける。大学アメフトの先輩後輩同期に声をかけるといったことが、第一歩になるでしょう。

これにより

(活動する選手スタッフ、関係者数)X(第0階層、第1階層=18人)
 X 稼働率20%と設定= ブルザイズ選手スタッフ約85人X18人X20%
 ≒ 獲得目標約300人 (23年度獲得人数比540%)

 

というような目標が建てられます。このように、あるべき目標数値を明確化して、準備を半年間程かけてから実行したいと考えています。

②最強のコンテンツは「選手」
今回リターン品の中には複数の「サイン付き〇〇」を設定しましたが、試合で活躍している、お気に入りの選手のサインを求める方々が2桁に及びました。副将としてチームを牽引し、シーズン開幕戦でもキックオフリターンタッチダウンした新妻選手はその代表です。

XリーグHP 【X1 Area週間MVP】より引用(リンク) 

運営スタッフ側が支援者を募るのはもちろん大事ですが、支援者・ファン視点では「〇〇選手を応援する」という思いが強いと感じています。
上記のダンバー数を基にした試算にも関係しますが、選手一人ひとりに公式SNS、個人SNS双方を活用し、取り組みを発信してもらうことが支援獲得には重要です。なお ブルザイズの場合は、会員専用アプリもあるので、その活用も重要です。

クラウドファンディングのリターン品においても、単なるグッズではなく、例えばアパレル、食品関係のビジネスに関わっている選手の会社の製品をリターン品にすることで、支援者の気持ちを盛り上げることができるのでは、とも考えています。

アメリカンフットボールの人気が決して順調とはいえない昨今では、選手と観客・ファンとの距離を縮めることが、支援を獲得することが不可欠です。
(元 アメフト日本代表 の方のnoteが参考になったので貼っておきます。)

最後に:クラウドファンディングは『空中戦ではなく地上戦』

品川CC ブルザイズは最高峰リーグ=X1SUPER昇格・定着のための第一歩を踏み出しています。2年連続最下位に終わったチームがそんなことできるのか?と思うかもしれませんが、”Where there is a will, there is a way”, 意志あるところに道は通じると考え、精進します。
あわせて「クラウドファンディングは『空中戦ではなく地上戦』」という気付きを胸に、ブルザイズに関係する選手・スタッフ・運営メンバー、さらにはOB、既存の支援者も巻き込んで地道に活動を進めていきます。

今年度も8月末頃の実施を予定しています。今後とも皆さまのご支援・ご協力心よりお待ちしております。

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