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【Dataで語るBULLSEYES②】Tier.2 所属のチームがTier.1チームを時に超える集客を実現できる理由


はじめに:X1AREA 22年度 観客分析

日本のアメリカンフットボールのトップリーグであるXリーグにおいて、Tier2にあたるX1AREAに所属する私たち品川CC ブルザイズ。21年、22年は戦績上は厳しい結果に終わっていますが、コロナ禍の影響でアメフト業界全体の観客数が大きく減少している課題はあるものの、スタンドには、ほぼ毎試合相手チームを上回る観客の方々にお越しいただきました。

時にブルザイズは(感覚的にですが)Tier.1のX1SUPERの試合のスタンドを上回る観客を集めることがあります。
(*なお、現在X1SUPERの1試合あたりの観客数は、プレーオフを除くリーグ戦だと、3桁台、500~700人程といったところです)

毎シーズン加わる新人選手からは、「スタンドの観客がいつも対戦相手より多い。その中でプレーし、応援していただいて、とても嬉しい」と異口同音に語ります。

ということで、早速データで見てみることにしました。熱狂的なファンの方がデータをまとめてくれていました。 アメフトおじさん.com

こちらをベースに、各試合の観客人数を単純に2で割り、各チームの観客数として設定。そのシーズン通じての合計を、縦軸を観客数、横軸をX1AREAの順位でマトリクス化しました。これは正確な各チームの観客数を示すものにはなりませんが、Apple to Apple(同じ条件下)で比較するため、このマトリクスを作成しました。
(*X1AREAの観客平均値は1チーム181人≒ 1試合約360人というところのようです。まだまだ少ないですね…。)

上記HPをもとに試算し、作成

ご覧の通り、ブルザイズは戦績としては残念ながら8位と最下位ですが、こと観客動員数では、4位のチームに匹敵します。

その上で、この計算方法で算出された観客人数は、実際に私たちブルザイズが管理しているチケット販売数とは異なります。実際のチケット販売数=観客数は、上記「183人」を上回り「207人」です。X1AREA上位陣に匹敵し、試合によってはX1SUPERのリーグ戦の1チームあたりの観客を上回る実績を示しています。関東・関西と平均観客数が大きく変わらないのは、歴代関西OBの多さに由来します。昨年は元主将OBの奥様が運営しているキッズチアチームが、関西での試合のハーフタイムショーに登場していただいたことも影響しています。

 

では何故Tier2の下位チームが、他チームより多くのファンに観戦に来ていただくことができるのか? 今回はその理由をご紹介します。

「10万人の市民チーム」の実践…自ら試合にテーマを設定し、観客動員に取り組んできた歴史

ブルザイズがXリーグに昇格するために、「10万人の市民チーム」というモデルを創造し、見事昇格を実現し、今に至っていることを以前ご紹介しました。

しかし、ただ単に各種会員・個人オーナーを獲得したことが 観客動員力を支えているのではありません。時にTier.1チーム(X1SUPER)を上回る観客動員力は、長年培ってきた「集客取組みの文化」が背景にあります。

例えば、以前もご紹介した97年メトロポリタンリーグ最終戦。当時企業保養所等のグラウンドを中心に、実質無観客で行われていたメトロポリタンリーグにおいて、唯一の有料・スタンド付きの大井第二球技場(現・大井ホッケー競技場サブピッチ)での試合であることを背景に「リーグ最終戦で、全勝優勝を多くのファンの目の前で実現!」を合言葉に、選手自ら、知人・友人・職場関係者等に声をかけ集客した「勝手にBowl Game」した試合でした。
選手によっては1人で30人以上を動員し、最終的には1,000人近くのファンが、ブルザイズスタンドを埋めました。
試合は、毎員のブルザイズスタンドが、学生時代オールスター選手中心のメンバー強豪 電通キャタピラーズに火をつけることになり、逆転、逆転、また逆転の白熱した試合に。ブルザイズは残り1分弱で逆転されたものの、直後のキックオフリターンでフィールド中央迄進み、さらにパスで敵陣に攻め込み、最終的には30vs.28 、FGで逆転サヨナラ勝ちという劇的な勝利を得ました。

(写真再掲) 97年 メトロポリタンリーグ 最終戦の「全勝優勝決定戦」

また99年X3リーグ戦でも、リーグ戦内唯一の有料・スタンド付きの駒沢第二球技場での試合において「勝手にBowl Game」を再度実施。こちらはリーグ最終戦ではあるものの、既にX3優勝を決めており、いわば「消化試合」でしたが、「X2-X3入替戦出陣式」「ファン感謝デー」と位置づけ、こちらも同様に1,000人近くの観客をスタンドに集めました。11月後半という寒い中にご観戦いただくファンのため、ワインメーカー勤務の選手が試飲用ワインを持ち込み、スタンドのファン数百人分のグラスワインをプレゼントしました。ワインによって、少し暖まり、ほろ酔い&大盛り上がりのファンの皆さまからの大声援をいただき、試合は50点以上を獲得し、見事勝利したのでした。
自ら観客を集める、ご来場いただいた観客の皆様にフットボール以外でも楽しんでもらうというチームの文化は1990年代に生まれ、今に引き継がれています。2010年代X1からX2に降格した時も、その観客動員力は落ちることはありませんでした。

2015年X2リーグ戦後の記念写真@横浜スタジアム


自発的に生まれる「私設応援団・私設応援団長」

もうひとつ、90年代から続いている伝統に「私設応援団・私設応援団長」があります。

私設応援団長の水野さんが作成した”Big Flag”

1990年代~2010年にかけて、ハーフタイムのブルザイズスタンドには、Jリーグのチームにも負けないサイズの”Big Flag”が掲げられ、多くのスタンドのファンが一体となってそのFlagを広げていました。
このBig Flagはチームが作成したものではありませんでした。練習グラウンドである品川駅港南口の大学に当時学生として通っていた 「水野さん」が、学校のグラウンドで練習しているブルザイズを見て、アメフトに、ブルザイズに興味を持ち、熱狂的なファンになりました。
そして「どうやったらこのチームを盛り上げることができるか?」を考え始め、自ら自宅で布を広げ、丁寧にブルーに染め、雄牛のブルザイズマークを入れたBig Flagを手作りで完成させました。以来このBig Flagは、ブルザイズの試合開始前、ハーフタイム、試合終了後には無くてはならない応援グッズとして長年愛され続けました。

こうした「私設応援団・私設応援団長」が生まれる風土は2020年代においても続いています。

21年シーズンくらいからでしょうか。ブルザイズのスタンドの最上段にはレプリカユニフォームTシャツを着て、自身作成の巨大メガフォンを持って応援してくれているアフロ頭の男性、「かとぅーん」さん @katouuuuuun が常にいます。そしてスタンドから応援だけではなく、上記のTweetのようにソーシャルメディアを通じて、ブルザイズの応援を拡散してくれています。秋のシーズンは、是非スタンド上段のアフロ頭=かとぅーんさんと一緒にブルザイズをご声援下さい。


「長谷川という男」

そしてこの記事で紹介すべき関係者がもう1名います。それが「長谷川という男」=運営委員の長谷川 洋さんです。

ググっていたら、Amebloに、とある熱心なアメフトファンの方、「シンさん」の2017年3月の投稿を見つけました。

一部引用します。

一昨年の2015年あたりから、この男性スタッフが観客席に登場し始めた。
テレビ番組のスタッフのように、スケッチブックに応援の項目を書いておいたのを、観客席に見せながら、よく透る声と、さわやかな笑顔で、

「応援よろしくお願いします!」

それは、それは、一生懸命だ。

彼の一生懸命さを見るにつけ、選手・チームの想いを観客に届けたいという熱意を感じる。

彼は、チアリーダーの替わり。ではない。チアリーダーとは、別の形で、フィールドと観客席の架け橋を務めているのだ。こういう存在もいるのだ。

Ameblo 「シンさん」のblog 2017年3月投稿 

その時から6年。今も長谷川さんはスタンドの最前線でフィールドの選手とスタンドのファンを繋いでいます。

プレーについて、どうやってファンの皆様にわかりやすく伝えるか、常に考えています

この長谷川さん、実は「名門」慶応義塾大学応援指導部出身。そう、筋金入りの応援団エリート。学生時代、慶応大伝統の応援歌「若き血」で鍛え上げた声を活かし、スタンドMC・実況として、ブルザイズのスタンドの数百人のファンに十分届く大きな声で、試合の流れから、良いプレーをした選手の人柄紹介迄…、アメフト初観戦の方でも、一試合を通じてブルザイズの試合を楽しんでいただける空間を作り出しています。

 

その活動は、今やXリーグ協会メンバーの方も注目し、さらには学生一部強豪校出身の選手・スタッフから「ブルザイズで一番凄いと思うのは数百人の観客相手にひとりで実況している長谷川さん」とのコメントも出ています。

観客動員においても、長谷川さんは大きな存在です。チームの本拠地である品川駅港南口での地域貢献活動、フラッグフットボールチーム立上げ等を通じて築き上げた人間関係で、時にフラダンスチーム、時にキッズチアチームのハーフタイムショーを企画したり、フラッグフットボールチームのキッズたちとご両親を招くイベントを開催したりと、こうした取り組みを通じて、1人で100人単位での観客動員を実現しています。「長谷川さんがいるからブルザイズを応援する」と各種会員・オーナーになって頂いている方も多数います。

アメフトとチアを、アメフトとフラダンスを…と様々なコラボを実現しています

そんな長谷川さんは、ブルザイズの中長期目標として、1試合平均観客数を今の208人程度から、2025年には1,000人まで引き上げたい!と考えています。上位のX1SUPERのリーグ戦1チームあたりの観客動員数が300~400人程…ということを考えると、かなり高い目標ではあります。しかしこの高い目標を実現するためにも、まずはその一歩として、2023年はリーグ戦7試合において「1試合=1 テーマ」を設定すると、今まさに企画考案中です。

 

どんな企画が出てくるか、是非楽しみにして頂き、これも長谷川さんが企画・立案・運営しているブルザイズアプリをダウンロードの上、アプリ経由でチケットをお申込みいただき、会場にお越し下さい!


追記:ブルザイズでは新人選手、ならびにコーチ・スタッフを継続して募集しています。ぜひ info@bullseyes.net までご連絡ください!

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