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総楽観では売れ。利上げによる景気後退不安が加速する|株・為替相場分析(2023年6月20日)

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今週はイギリス経済に注目、パウエル発言もある

さて、昨日6月19日は米マーケットは休場でしたので、今週は実質4日間の勝負になります。先週はFRB、ECB、日銀の会合があった大荒れの週でしたが、対して今週は落ち着いた動き(レンジ等)になることが予想されます。

今週はものすごく大きな指標があるわけではありませんが、イギリス経済の先行きを占う重要指標が多く発表されます。まずは21日(水)の英消費者物価指数、続いて22日(木)のBOE政策金利発表、23日(金)の製造業購買部協会景気指数と、イギリス株やポンドに関わる指標が相場を動かす要因になるでしょう。

他には、明日21日(水)のパウエルFRB議長の議会証言があります。先日のFOMCの内容を踏まえると、年内の追加利上げに関する発言が注目されます。もし、利上げに関して強気の発言が飛び出せば、米国債やドルは上昇、株は下落方向に動きやすい地合いが生まれます。逆に、(本来はハト派の)パウエル議長が利上げに対して消極的な発言をすれば、逆方向の流れが生まれます。

個人的にはFOMCでの年内2回の追加利上げへの言及があったことを踏まえると、利上げに対してやや強気な発言が出ると思っています。したがって、基本的にはドル高・株安を想定してデイトレードに臨んでいきます。

米株は危険水準、天井サイン点灯

さて、本日は米株についてメインで分析していきます。需給バランスの指標である「Fear and Greed Index」は、6月20日時点で「82」であり、非常に買われすぎの水準になっています。時系列のグラフで確認しても、過去2年ほどでかなりの高水準になっており、天井のサインが点灯しています。

この指標はここ2年程度の相場でよく機能しており、ナスダックやダウがこのまま一本調子で上昇していかない限りは、今回も天井を表すサインとして役割を果たしてくれるはずです。逆に、米株がこのまま一切の押し目をつけず上昇していく場合には、こういった需給バランスを表す指標は役に立たなくなるので注意したいところです(RSI等のオシレータ系指標と同じですね)。

ナスダック先物をチャートで確認すると、週足レベルで非常に強い上昇となっています。ただし、Fear and Greed Indexやチャート内のRSIが示すように、短期的には明らかに買われすぎのシグナルが点灯しており、一旦は年初来の上昇トレンドラインまで調整する可能性が高いと思います。

だからと言って現時点からショート(売り)を仕込むのではなく、トレンドラインからの反発や、トレンドラインを抜けてからの下落など、トレンドが強く発生する部分のみを安定的にトレードしていくの良いと考えています。

各種マーケットニュースを見ていると、ナスダックやダウがこのまま爆進するように思えてしまいますが、上がったものはいつか下がります。長期保有でない限り、総楽観に踊らされず、しっかりと押し目や戻りを待つことが重要な局面です。

米国債の逆イールドが再加速している

チャートはしばしば、何かのトリガーを待つように推移することがあります。

Fear and Greed Indexが示すように、米国株は買われすぎであり、少なくとも短期的には下落すると考えています。そのきっかけの1つになるのが、昨年から多くのトレーダーが指摘してきた「景気後退不安」です。

ここ数ヶ月のトレンドとして、日経平均だけではなく米株が非常に強い上昇を見せたことで、米株が暴落するとする論者は極端に少なくなり、逆にマーケットはこのまま強気で推移し続けるとする論調が強まっているように感じます。

しかし、米国債の逆イールド(短期債の利回りが長期債の利回りを上回ること)は、米経済のリセッションを示唆しています。逆イールドが最も深刻化したのは、直近だと2023年の2月末頃です。この頃によく聞いたのは、いわゆる「暴落煽り」で、各メディアやインフルエンサーが米株の暴落を叫んでいました。しかし、米国株の上昇とともに逆イールドは解消の方向へと向かったこともあり、暴落煽りをするトレーダーは減りました。

ここで、最近になって逆イールドが再び深まっているという状況があります。私が言いたいのは、「逆イールドが加速する=短期的に米株が下落する」ということではなく、「逆イールドが加速する=景気後退が将来起こる=将来マーケットに大きな調整が起こる」ということです。ここ数ヶ月の相場を見れば分かるように、逆イールドが発生したからといって米株が必ずしも下落するわけではありません。

しかし、過去の歴史を振り返ってみると、債券の逆イールドが発生した後には景気後退が発生してきました。したがって、今回も景気後退が将来的には起こると考えた方が自然であり、現在の総楽観相場はいつか打ち砕かれるということです。短期の目線で暴落を見込むのではなく、「どこかで株に対して大きな調整が起こる」と考えておけば、今が長期的に株を買うタイミングではないことは明らかです。

実際に長期保有の株を買うことができるのは、失業率や製造業系の指数が悪化して皆が「景気後退」を実感した時です。この時、FRBはおそらく利下げに転じており、市場は現在とは真逆の総悲観状態に陥ります。メディアでは連日株価の下落が報じられ、証券会社はS&Pの年末予想株価を毎度のように引き下げます。

とまあ、これは私の幻想ではあるのですが、現在の総楽観相場を毎日眺めていると、今は「売るべき時」であり、逆に「買うべき時」は上記で述べたような状況に当てはまるのではないかと想像しています。

N225:テクニカル分析

日経平均は連日強い上昇が続いています。直近ではバフェットが商社株の買い増しを発表した効果もあり、今週はまだ上昇か高値圏のレンジを想定した方がよさそうです。

ただし、米株が危険水準に達しているタイミングも相まって、一旦の天井感も見え始めています。週足のRSIは78とかなり買われすぎのサインを発していますし、ローソク足を見てもやや無理やりあげすぎな感も出てきています。その一方で、日経平均が世界の株価と比べても非常に強いことは間違い無いので、短中期的(〜6ヶ月)に日経平均が下落していくとは想定していません。逆に、前回高値付近の30,800辺りまで下落してくれば押し目買いを狙えるタイミングになると考えています。

ドル円:テクニカル分析

ドル円は、年初来の上昇に対するFE(フィボナッチ・エクスパンション)の節目である261.8%に到達しました。短期的には一旦の上昇目処を達成したと考えてよさそうです。ここからのパターンとして想定されるのは、①このまま強い上昇率を保ったまま140円台後半を目指す、②日足レベルの短期戦(5MA、14MA)までの下落 or FE161.8%(137.2円程度)を目指した下落を達成したのち、押し目をつけて上昇、の2パターンです。

①の場合にはデイトレードやスイングレベルだと売買のタイミングが訪れないので、見送り。②の場合には、調整の下落後にレンジを組むか上昇するか下落するかは分かりませんが、いつも通り、反発の上昇や戻りの下落、重要なラインを抜けた後の上昇や下落を想定してトレードしていきます。

ポンド円:テクニカル分析

ポンドはBOE(イギリス中銀)の利上げに対する強気な姿勢を受けて、他の通貨と比べて強烈な上昇を見せています。日足のチャートを見ると素直にロングしていきたくなる相場ですが、4月頃から続く大きなチャネルラインの上限にタッチしており、短期的には調整の下落を見込んだ方がよさそうです。

この下落は、下落の方向性がある程度見えたところでショートするには良い場所だと思います。というのも、短期的にかなりのスピードで上昇してきたので、こういった場合には調整もスピード感を持って大きな値動きで下落しやすいからです。

もっとも、安全性の高いトレードを目指すのならば、チャネルラインの中央線や下限線まで引きつけてのロングトレードが良いと思います。去年のドル円もそうでしたが、一方的な上昇相場の場合には、デイトレードやスイングトレードレベルだと売買のタイミングがなくなってしまいます。こういった場合には、上昇についていこうと無理に買っていくのではなく、しっかりと押し目や戻りを待ってからのトレードを意識したいところです。

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