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参山れい
2023年10月31日 22:09
↓第2話写真のお姉さんを指差した瞬間、両親の顔が固まった気がした。ほんの数秒の沈黙の後、母が口を開いた。「…初美さんだわ。あんたが2歳の時に亡くなったの。この写真はあんたが生まれてからおばあちゃん家に遊びに来ていた時だね。」「え、何歳で?」「35歳よ。」全然お姉さんじゃなかった。だが見た目は年齢よりも断然若々しい。今生きていれば50歳。今の父より少し上くらいか。ちな
2023年10月23日 22:51
↓第1話「…えっ!奥さんと仲良さそうだったのに…。」2006年9月19日の午後。まだ残暑が残るが風が吹くとほんのり秋を感じるど田舎の林の中。目の前にいるいきなり現れたおっちゃんは「愛人からラブレターを貰った」と、僕にとっては心底どうでもいいことをカミングアウトした。しかし貰ったラブレターと言うものは、無理矢理真っ白にされたただの紙である。「今は繋がっとらんが30年前くらいに
2023年10月17日 14:15
高校2年生の2学期、これから体育祭に文化祭、修学旅行とイベントが目白押し。クラス全体が浮ついている雰囲気の中、僕は教室から逃げた。特別嫌がらせをされたわけでもない。何だか箱に閉じ込められているみたいで窮屈に感じていた。毎日毎日同じことの繰り返し。規則に縛られ、浮いているやつは吊し上げられる。僕はとにかく人から注目されたくなかった。ひっそり過ごしてさっさと卒業したかったの