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イベント見聞録| オンラインイベントは”南南西に進路を取る”か? (SXSW Online 2021)

こんにちは。あるいはこんばんは!
株式会社レイのデジタル企画開発チーム、竹中です。
皆さんはSXSW というイベントをご存じですか?


SXSW(South by Southwest)
毎年3月にアメリカのテキサス州オースティンで開催される、音楽祭・カンファレンス・インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた世界最大級のクリエイティブの祭典。世界各地から多くの参加者が集まる。34回目にして、初の完全オンライン開催となったSXSW Online 2021は、2021年3月16日~20日の5日間で開催。

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音楽とクリエイティブのフェスという事で、仕事にかこつけて行ける機会がないかと楽しみにしていたのですが、今年はやはりオンライン開催との事。デスヨネーー!
というわけで、3月17日~21日の5日間 (日本時間) にオンラインで参加し、世界中の企業・団体の出展や音楽フェスなど体験してきましたので、
駆け足でレポートします!

Swapcardと連携したオンライン会場

こちらが今回のSXSW Online 2021 の入口となった、公式サイトのマイページです。

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日本語翻訳が一部にしか反映されなくて、英語が苦手な僕としてはちょっと大変でした…勉強しよう。

オンラインカンファレンスのプラットフォームである「Swapcard」 を活用していて、ログイン後、【My SXSW】内のブックマークやリストに気になるコンテンツや出展者のページをブックマーク的に登録しておくことができました。便利!
ページの作りは、左にプロフィール、右に設定・トピックとなっており、どこかFacebookのようなページ構成とUIで、初心者にとっても非常に馴染みやすく分かりやすいデザインでした。
SXSW Online 2021では、20のカテゴリーに分類された様々なコンテンツが用意されています。その中でも特に注目を集めたのが、リアルタイム配信を視聴できる【Music Festival】や【Conference Session】、企業・団体などの出展者が製品・サービスを思い思いにアピールする場【Creative Industries Exhibition】でしょうか。そして、【SXSW Online XR】はオンラインイベントの1つのケースとしても大きな話題となりました。

バーチャルオースティン【SXSW Online XR】が話題に

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【SXSW Online XR】に来てみたぞ、っと。

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「ライオンキング」のラフィキというサルのアバターを使って参加。なんとなく、他の人と被らないかなと思って選んでみた。

日本でも「バーチャル渋谷」をはじめとする、様々なバーチャル空間の再現で話題となっている「VRChat」 を活用し、SXSW本来の開催地であるオースティンの中心街を再現しているそうで、参加者は自身のVRChatのアバターでオースティンの【Congress Avenue】や【Red River District】を訪れ、世界中の参加者と会話をしたり、一緒に音楽ライブを視聴したりと、オンラインならではのバーチャル空間でこのイベントを満喫できます。

宇宙人とアヒル人間と僕が同居するメインストリート 【Congress Avenue】

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バーチャル空間に入ると、オースティンの中で最も人が集まるメインストリートがスタート地点に設定されていました。色鮮やかな建物やオブジェで街並みが再現されていて、期待を超える高いクオリティの光景に感動しました。
オースティンと日本の時差 (14時間) のためか、街には誰もいない状態で少し不安になりましたが、時間をおいて再度入場すると、すぐ隣で宇宙人とアヒル人間が楽しげに英語でしゃべってるのが聞こえ、思わず笑ってしまいました。
会場内を歩き回っていると、唐突に英語で話しかけられたり、真剣に会話をしているアバター達がいたりと、実際にリアルイベントにいるかのような体験ができました。深夜に一人で参加したのですが、後ろから急に話しかけられてちょっとビクッとなったりしたのも楽しい思い出です。

自由に出入りできる3つのインタラクティブゾーン

【SXSW Online XR】空間に再現された【Congress Avenue】には、
【Paramount Theater】 【Red River Street】 【The Contemporary】の3つのゾーンへと移動できるマーカーが用意され、このマーカーを通り抜けて目的地のゾーンへ移動する仕組み。真正面からマーカーを通り抜けないと移動できず、それに気づくまで少し時間がかかってしまいました。

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ラフィキ (僕) が何度もトライしたオンライン茅の輪くぐり的なマーカー。注意書きのようなものがあったらもっと分かりやすいのでは。と思ったけど、わざと隠しコマンド的に配置したのかも? 遊び心のある体験デザインです。

映画祭のメイン会場となった 【Paramount Theater】

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毎年SXSWの中で注目されているコンテンツの一つ、【Film Festival】を鑑賞できる映画館を再現していました。宇宙や人種・ジェンダーなどの世の中のタイムリーなトピックを扱う作品やVRを題材にした作品など、数々の作品を席に座って鑑賞することができ、リアルさながらの臨場感を味わえました。長くなるので個々の寸評は差し控えて、次に進みます!

多くのライブハウスが連なる 【Red River District】

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例年、夜がメインとなる賑やかなゾーン。今回のSXSW Online 2021では、バーチャル空間でもオープニングパーティーが開かれたり、アーティスト達による【Music Festival】の配信が視聴できたりと、世界中のアバターが集まって盛り上がったそうです。
残念ながらスケジュールが合わず、バーチャルだからこそ許される三密上等の大盛り上がり空間で、前後左右のアバターと一緒に踊り狂うことはできませんでしたが、すぐに参加者限定公開のYouTubeでアーカイブ動画を観ることができたので良かったです。

ゆったり空間でセッションを聴ける【The Contemporary】

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エントランスから入ると、1階は落ち着いた空間になっていて、2階には今回のSXSW Online 2021のコンテンツの一つである【Virtual Cinema】が展示。3階へと上がるとVIPが訪れるような広々とした空間が広がり、ステージの登壇者によるセッションを見ながら、椅子に座って他のアバター達との会話も楽しめました。

様々なインタラクティブが盛りだくさん

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周辺の道端に他のアバター達の写真が散らばっていて、妙にリアルな記念撮影スポット。

【Congress Avenue】の中心地で、バーチャルオースティンの州庁舎を再現したらしき建物を背景に記念撮影。ひとりぼっちの記念撮影は少し寂しかったですが、実際に撮られた写真を手に取ることができていい記念になりました。

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ドローンでブーン。思ったよりも高いところまで飛べて、アトラクション感覚でなかなか楽しい。

道端に設置されたドローンを使って、バーチャルオースティンの上空を自由に飛び回りました。歩くのが面倒になった時に便利だし、新しい演出だなぁと思いました。

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手に取れるも、飲むことはできない自販機のジュース。気になる。

他にもミニカーに乗って街中を駆け回ったり、自動販売機でジュースをゲットできたりと、様々なインタラクティブが散りばめられていました。ミニカーは他のアバター達が順番待ちするくらい人気でした。

まとめ

34年続いてきた中で初めて完全オンライン開催となったSXSW Online 2021。プラットフォームとの連携や各コンテンツの体験演出など、色々と試行錯誤があったのではないでしょうか。オンラインならではの新しいインタラクティブコンテンツもあり、多くの参加者に刺激的な体験と出会いの場を与えていたと思います。オンラインでも開催にこぎつけるというビッグチャレンジが、とても大切なメッセージを世界中に発信していたのではないでしょうか。
また、【Creative Industries Exhibition】では、製品・サービスを演出技術によって、よりリアルにアピールしたり、実際に視聴している参加者のもとへ抽選で製品を届けたりと、オンライン開催だからこそ可能なアイデアや工夫を活かしている企業や団体がいました。僕自身もデジタル技術を使った制作・開発に携わる一人として、その技術とアイデアに刺激を受けました。

*有料ゾーンで公開されている各社さんの情報は、本レポートでは割愛させていただきました。気になる方はメールをお寄せください!ご紹介します☺

SXSW Online 2021全体を通じて、やはりデジタル技術の変化・実用化のスピードは速く、これからのDX社会において多くの可能性を秘めていると改めて実感しました。特に、今回の【SXSW Online XR】のようなメタバース、AI技術の進歩は、今後多くのオンラインイベントや製品・サービスの開発に関わってくるでしょう。最新のデジタル技術に関しては僕もまだ日々勉強中ですが、「メタバースではどんな体験ができるのか」、「AI技術は今どこまでできるのか」といったデジタル技術の可能性について、より多くの人が理解し、考えることで、「デジタル×人×環境」といった領域が変化し続けられると思います。

SXSWはもともと3人のインディーズ音楽関係者が、どうしたらもっと売れるようになるだろうか、とオースティンで始めた小さな勉強会でした。ニューヨークのメジャーなコンベンションに対して、はるか南南西の地方都市で行われるインディーズのイベント。それがSXSWというタイトルに込められたニュアンスです。
SXSWの本質はインディーズ精神にあり アジア代表 麻田浩氏に聞く

世界中の主催者が、オンラインイベントのあり方についてきっと模索し続けたであろう2020年。そこを経て開催されたSXSW Online 2021。元々はインディーズなコンベンションとして始まったと語られているSXSWでしたが、「南南西に舵を取る」という、メジャーと対になる姿勢というよりは、オンラインイベントで現在できる最高に王道で楽しい世界感を魅せてくれて、一つのオンラインでの“メジャーとなりうる型”を築かれたような印象でした。

さて、初めてSXSWに参加してみて一番感じたことは…
「次はリアルで体験したい」という欲求でした。
この記事を読んで少しでもSXSWに興味を持ち、SXSWに参加してみたいと思っていただけたら嬉しいです。
来年はオースティンで乾杯しましょう!

長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。


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