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Cahier 2020.12.02

いやはや今日は寒かった。今年は紅葉もちびっとしか見ていなくて、まだ秋のような気分でいたのに。

さて、昨日のさいたま国際芸術祭、ミヤケマイさん「胡蝶之夢」の続き。

二番目の部屋は、ずらりと机が並んで教壇らしきものもあり、まるで教室のよう。机の上には土の詰まった小瓶が置かれ、瓶にはその土の採集場所を書いたシールが貼ってあります。壁にはドライフラワーになった草花。つまり、土(土地)と草花(人)が標本化され、ラベリングされている状態です。

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ここは、同じ学区に通う子どもたちが集まる教室。

でも全員がさいたま市大宮区の住人とは限りません。県外または国外から移り住み、たまたま今さいたま市に住んでいる人だっているかもしれない。さいたま市出身の人も、一代二代遡ればルーツは別の場所だったりもする。それぞれが各々の土地から来て、生まれ育った場所の「土」を小瓶に詰めて、そこに「〇〇出身」というラベルを貼る。

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天井から吊るされた矢印には「MY PLACE」の文字。

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たまたま割り当てられ、指定された席=居場所。席替えとなれば、それぞれが小瓶に詰めた自分の「土」を持って、席を移動していく。都市生活の中でわたしたちが置かれている居場所とルーツ(=根)の関係をなぞらえたような空間です。

都道府県別在留外国人数でいうと、埼玉県は全国第5位の多さ。県人口に占める割合としては2.38%らしい(平成30年6月末時点)。そのうち、さいたま市の外国人人口数は全国の市区町村の中でも16位の多さだといいます。東京のベッドタウンでもあり、県外から移住してきた人も多い街です。

行政区分上は「〇〇市民」として同じ空間をシェアしていても、わたしたちはそれぞれ別のルーツを持った者同士。別の土地から根こそぎ移植されてきた、裸の植物というデリケートさをどこかに隠し持っているんでしょう。

勉強をして、いい大学に入って大企業に就職するなりして、何者かにならなければいけない。でも、なんだかそうはなれないかもしれない・ならないかもしれない。地に足のつかない夢想家だった学生時代のことを思い出しました。

続きはまた明日!


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