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魂の灯 -88- #ppslgr

「打つ手は無くなった……本当にそうか?」

敵の耐久力は東京都民の大部分をエネルギー源として取り込んだ事によるもの、絶望的な戦力差のように一見思える。

「クソッ、バティ考えろ!なんのために啖呵切って飛び出したんだ、負けるためじゃないだろうが!」
「そうだ、最後まで諦めるな」
「ま、ダメだったら一緒に爆散してあげるわよ。私はね」

暗黒虚神が、浮かぶ。東京湾上空を暗くするほどの翼を広げ、その曖昧な輪郭をより明確に、強固に作り変えていった先は双角にして暗黒の全身装甲兵器だった。その右腕を震えば、振り出たのは肉厚の屠殺ナタ!大ナタを両手に握りしめ、暗黒虚神は青眼の構えを取った!

「これで終わりにしてあげるよ、アバドンの奈落に……沈め!」

途方も無い大質量に反し、暗黒虚神は流星よりも疾く屠殺ナタを撃ち抜いた!ヌンチャクの鎖ごと、翠白巨神の胸甲が割れる!

「こなくそっ!」

しかしてやられているばかりではない、バティはヌンチャクからモード変更を行い砲塔を構え直す!キャノントンファーモードへ!空中で切り返し、再び斬撃を見舞おうとした虚神を迎え撃つ!

「トンファアアアアキィィィィック!」

水平斬りを昇撃で跳ね上げ、無防備になったみぞおちへハイキック!空中でホッピングしてスキを晒した影へ、ダブルトンファー撃!

「ダブル!トンファー!キャノーンッ!ファイアーッ!」

虚神ごと爆炎が暗雲を吹き払う!上半身を割かれた舞茸めいて散らした虚神へ、追撃のトンファー格闘!全身の推進機から光をたなびかせ、巨神そのものが螺旋弾丸となって襲いかかる!それはもはや涅槃に昇天する神秘存在のごとく!

「ツイン・トンファー、ダイナミック!!」

輝ける螺旋錐が、暗黒虚神を真芯からぶち抜いた!四散する暗黒物体!だが巨神の猛攻は止まらない、トンファーの一撃が、装甲の蹴撃が、嵐となって飛び散った暗黒物体をことごとく打ち据える様はまるで、神話英雄の再演のごとしだ!

「破ッ!」

空中の断片を例外なく打ち砕いてなお、暗黒虚神は大木が早回しで伸びるように修復していく。巨神が残心を決めている間に、すでに7割まで修復が済んでしまっていた。

「い、インチキくせぇ……」
「諦めちゃうの?」
「冗談、まだまだやれる!」

再び大ナタを生成する暗黒虚神を前に、翠白巨神もまた油断なくトンファーを構える。攻防は振り出しに戻ったようでいて、ダメージレースは未だ不利な状況に変わりはなかった。

(勝つためには、一つ、一つだけでも問題を解決する必要がある……!)

「ノア、ドレッドノートはまだ余裕がある?」
「それは当然、あるわよ。でも状況は変わってないから……」
「良いや、オレ達は、勝つ。もう少し力を貸してくれ」
「何言ってるの、私とあなたはもう一蓮托生なんだから、勝てなければ心中あるのみ、ね」
「そうはならないさ、きっと」

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