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魂の灯 -8- #ppslgr

「うーむ……」

レイヴンは砂の山をナイフですくって、まじまじとその中身を見入る。肉眼では何の変哲もないタダの砂だ。他の事例ではありそうな、あからさまに異物が残留しているといった様子もない。

「どうだい?」
「肉眼でわかるレベルじゃないな、ノートちゃんに引き渡そう」

撃退後にレイヴンが入れた連絡により、巡回ドローンが現場を改めにやってくる。もっとも痕跡と言えるものは何も無いため、その場を見ただけでは狂人の寝言のように受け取られても仕方がないのだが。

「これじゃ俺達が、見えない何かを相手に暴れた様にしか見えないんじゃ……」
「そうだろうと思って、撃退前にスマホで撮影もしておいた。光学的にはちゃんと存在はしていたようだな」

差し出されたスマホ(余談だが、コレも黒い)には、確かに迫ってくる怪物達の姿が生々しく映し出されていた。AIが査定すれば、悪趣味な画像加工でないことはすぐに判明する事だ。

「ううん、勝手に入れられた薬物で、ラリって幻覚見てたのとどっちが良かったかな」
「怪物よりも、薬物反応でブタ箱にねじ込まれる方が面倒だな。何せバケモノ共は斬っても、何処からも文句は来ない」

肩をすくめる黒い男。彼は普段から、面倒は避けるに限ると言ってはばからない。

「この画像も合わせて提示しておく。それよりも問題は、そっちだ、バティ」
「……だよな?」
「ああ。これじゃまるで耳なし芳一の逸話だ。経は書かんぞ、めんどくさい」
「俺だってイヤだよ。せめて念仏とかで」
「斬って撃てば事足りるんだから、それでいい。問題は、どっからやってきているのか、何故Noteの人間を狙っているのか、そもそもいつから活動してるのか、そういう謎が多すぎるとこさ」
「それもそうか。でも、どうしよう」

神出鬼没、現状さしたる手がかりなし、その上被害者を無意識に操って狩場にまで連れてくる。実に厄介な相手だと、さしもの二人も認識せざるを得なかった。

「よし、合宿でもするか!どうだ?」
「合宿、まさか、Note内で?」
「そのまさかだ。自宅なら安全って保証はないし、下手したらホラーゲームのバッドエンドみたいに、一人になったとこを襲われかねん。であれば、誘いをかけて、解決の糸口を掴んだほうが勝ち目がある」
「本気かよ?」
「覚悟をきめるんだ、バティ。こういうスカムイベントは、巻き込む方の心情なんか、絶対配慮なんぞせん。故にこっちから行ってぶっ飛ばすしかないんだ」
「レイヴンが言うと説得力しかないよ……ああ、クソッ、やる、やってやる!こんな事で死んでたまるか!俺はパルプを書くんだ!」
「その意気だ。だが、無茶は厳禁だとも」

半ばヤケクソではありつつも、戦う意志を固めた若者を、黒衣の男は激励する。

「でもさ、どうすればいいだ?」
「一つ、仮設を立ててる」
「それは、あれかい。奴ら、クリエイターが抱えてる何かに反応してるって」
「それだ。だがそれが何なのかまでは、まだわからん。今は、寄ってくる条件を探るしかない」

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