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魂の灯 -9- #ppslgr

「気のなっがい話だ」
「まあな。だが、あの連中が俺達の幻覚なんぞでない以上、さっさとぶっ潰さないとオチオチ創作に専念も出来ん」

「文字書きの邪魔する怪物とかさ、笑えないよ」
「そうだな」

その場に、周回監視ドローンが複数やってくる。四枚羽の室内でも十分な機動が取れる小型機械は、珍存在を見聞するかのように砂山をぐるりと巡った。ドローンを通じて少女の声が聞こえる。

「手がかりはこれだけですか?」
「そーだ、しかもその中に何かが残ってる確証もない。お手上げだよ」
「検証はしてみます」
「ああ、それと一つ頼みが」
「何でしょう」
「空き区画、一つ貸してくれ。需要がない過疎ってるとこで良いんだ」
「受領しました。後ほど確保した場所を通知します」
「オーケイ。こっちからは必要な設備を要望しとく」
「おいおい、設備ってなんだよ?」
「廃墟同然の場所でエンタメの消化は出来ないぜ、と。高校生とかならいざしらず、な」
「ウェー、怪物が襲ってくるのに、並行でインプットもやんの!?」
「そりゃそうだ。じーっと待ってたって仕方が無いからな。それに」
「それに?」

言葉を切って、黒衣の男は歩き出す。彼に続くバティ。

「……いや、まだ仮定の段階だ。確証が取れたらまた話す」
「あい、あい。了解だ」

未だひとけの戻らない、空虚な場所から二人はバー・メキシコに向かっていく。

―――――

「はー……まだ半日も経ってないのに、どっと疲れたよ」
「ここなら、まあ安全だろう」

先程とはうってかわって賑やかなバーの店内、その空いているテーブルの一つに着いた二人は、気晴らしにまた一本CORONAを空けた。

「でもさ、俺達用の拠点なんて、そんな簡単に作れんの?」
「ある程度出来上がってる場所を居抜きして、ありあわせの物品を持ち込むだけだからな。半自動工作システムなら2時間もかからんさ。ゼロから作るならそれなりの日数は要求されるだろうが」

説明している合間にも、レイヴンはスマホを介してNote上のシステムに申請を行い、空き区画の整備を確定。ノートから返ってきた通知は、幸いな事にさほどバー・メキシコからほど近いポイントであった。

「決まった」
「早いな!?」
「事前に話し通しておいたしな、ほらほら、積ん読に積み映画、それから積みゲー、どうせここに大量に持ち込んでるだろ?いい機会だ、集中して消化しよう」
「気が散ってまともに読み取れないとかならないといいけど」
「なら、早めに解決するしかないってとこだ」

バー店内一角に据え付けられている、共用ロッカーから揃って積みエンタメを取り出す。この辺りの感覚は、まるでバーと言うよりもサボり屋の部室めいている。NoteのCXOからして、胡乱な部室の部長めいたところがあるが。

ドサドサと、山のようなエンタメを積んでいく二人に、流石に奇異に感じた一人が声をかけた。その男は、比較的長身のレイヴンとバティよりも更に一回り大柄で、浅黒い肌にジャケットをまとい、いかにもタフな雰囲気をまとっていた。

「どうしたんだ、洗いざらい積みを引っ張り出したりして」

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