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魂の灯 -7- #ppslgr

撃ち放たれた銃弾が、立て続けに先頭に立つ泥人形の胴へと突き刺さる。
泥の肌へ、すり鉢状に着弾痕が刻まれるが、すぐさま何事も無かったかのように埋まってしまう。不気味なノイズ感のある振動を伴って、前進する泥人形。

「チィ……やはり面倒だな」
「こっちも数が多いんだけど!」

ワラワラと迫る多眼ナメクジの頭部を切って落とし、飛び来る黒毛玉を刀身で打ち払って殴り飛ばせば、何とか押し留めている物の、二人の劣勢にはかわりはない。

「泥人形は俺が殺る、残りを頼めるか?」
「簡単に言ってくれちゃって!まあ良いさ、殺るよ!」
「三秒後に、相手の視界を奪う」
「了解!」

少なくとも、黒毛玉と多眼ナメクジは視覚も活用して、行動を行っている。
3、レイヴンの握るリボルバーに次弾が装填され、2、バティの振るう二刀が飛来した黒毛玉を四分割、1、黒尽くめが握った銃を天に向け、引き金を引いた。

Bow!発砲音と共に、リボルバーが吐き出した弾頭が高い天井に突き刺さった瞬間、雷光もかくやというほどの閃光が辺りを真っ白に塗りつぶす。怪異達が怯む中、黒衣の男は光が収まるよりも早くトリガーを引いた。残りの弾丸が、泥人形の胴に突き刺さったかと思えば、すぐさま剣山めいた氷柱となり、人形を氷壊させる。

一方のバティは、怪異達の包囲網から姿を消していた。その場に姿を残しているのはレイヴンだけだ。相手が一人になり、好機と見たか殺到する怪物達。

ビィーン……という張り詰めたワイヤー音の後に、レイヴン後方側の、黒毛玉とナメクジが一瞬のうちに張られた鋼線に阻まれて、その場に踏みとどまった。

「……⁉」

怪異達が次の行動に移るよりも早く、それは来た。
轟音をたてて、大重量の鉄骨がギロチンめいて落下する。無感情な大質量の殺傷塊は、次々に怪異共を事務的にひき潰した。鉄骨の下から、怪異共の残滓が流れ出しては、幻だったかのように蒸発していく。

音で何が起こったか把握した凶鳥は、振り向くまでもなく、前に迫る追加の泥人形を迎え撃つ。

「レールガンは、ダメだな。貫通距離が長すぎる」

一人つぶやきながら、目の前の脅威に何を使うか勘案。単純な銃撃では、当然ながら効果が無い。さりとて、氷ばかりでも芸がないだろう。何より、こいつらの残骸を確保したい。一瞬思考した後、振り上げられた豪腕が下りるよりも早く、男は引き金を引いた。

ビシリ、と泥人形の胴体に、先程と異なるガラスのヒビめいた痕跡が発生した。かと思えば、みるみるうちに泥人形は肥大するコンクリ塊に飲み込まれ、その姿を失った。

「おおお!」

身動き取れなくなったコンクリ塊の泥人形へ、頭上からバティが迫る!一息にマチェットを振り下ろせば、即席のコンクリ塊はずんばらりと両断。斬撃の衝撃によってか、塊は砂山の様に崩れ落ち、あっけなく路面へと散らばった。残敵、ゼロ。

「大したもんだ」
「まだまだだって、他のパルプスリンガーはもっとヤバいじゃん?」
「アイツらはバティよりも一回り、世代が上だからな。差異があるのはおかしなことじゃない」

増援が来ないことを確かめて、残心を解く。やはり、怪物共の残骸は既に霧散してしまっていた。砂山を一山残して。

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