見出し画像

いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -27- #ppslgr

何もかもが変わり果てた元死の荒野の現ポップコーンの海を見下ろし、何かできる事はないか考えてはみるも思いつくアイデアはない。それほどまでにポップコーンの物量は絶望的なまでの質量である。

まず適当に捨てる、放置するのはダメだ。どんな物質が含まれているか分かったものではない上に、余りにも量が多すぎる。自然に還るにしても何年かかる事やら。

では焼却するのはどうだろうか。これも現地環境に悪影響を与えないように丁寧に燃やさなければならない上に、焼却黒煙の排出で少なからぬ環境への悪影響が懸念されてしまう。

数日かけてイクサ・プロウラの武装を最大限活用すれば、このコーンの海の処理は不可能ではないだろう。だが地球環境への影響まで考慮に入れるとやはり荒療治の域は出ない。

「となれば後は……」

自機は俺のニューロン制御に従って、未だ顕現したままのコーンの女神を見上げた。困ったときの神頼みとは言う物の、どうにも既に大本からのコントロールを受け付けてなさそうな雰囲気のこの存在にどう依頼した物やら。

「A・K、この女神はコントロール出来てるのか?」
「モーダメ、全然出来てねぇ。つか元々王子にレディにダーヴィも俺がなんか命令してる訳じゃなくて、あいつら自身の意志で行動してるからほとんど独り立ちしてるってもんよ」
「フムン」

もしやラストバトルはこの胡乱女神存在とか、などと危惧する俺を余所に、ケツァル・コーン・アトルはその荘厳な両腕を天へと掲げる。女神は紫水晶の瞳を輝かせて新たな神通力を現した。

『玉蜀黍昇華(コーン・ライズ)』

超自然の念話による宣言と共に、地平線の彼方まで続くポップコーンの海はそれ自体が蛍めいた光を放つと天へと還っていく。その様は元がコーンの粒であるという事を考慮しなければ如何にも幻想的で美しい、神秘的な光景であった。

数分もかかることなく、あれほどうんざりする様な量で大地を覆っていたポップコーンの海は一粒も残ることなく光の粒子となって消えた。後に残ったのは、この地がかつてそうだった死の荒野の姿である。

『我はコーンの秩序乱れし時再びこの星に姿を現すであろう……さらばだ、人の子達よ』

最後に言伝を残すとコーン産胡乱女神もまた光の泡となって天へと還っていった。

今までの事はいっそ悪い夢だったという事にしたいが、救助した調査隊員はコクピットの予備席で未だに悪夢にうなされている。そしてイクサのブラックボックスへ納められた各種記録は、あのドラッグでも吸わされたかのような戦いを逐一保存していた。

「今までの体験が夢でもVRでも幻覚でもなくて、全て現実ってのが一番タチの悪いジョークだな……」

俺の人生を見守っているブッダはファッキンクソドSなのを再認識したし、いつか絶対涅槃にいって俺の気が済むまで殴るという決意を新たにした俺であった。

【いざなうはワールド・コーン・ラビリンス -27-終わり:その-28-へ続く

一話はこちらからどうぞ

まとめマガジンはこちらからどうぞ

弊アカウントゥーの投稿はほぼ毎日朝7時夕17時の二回更新!
主にロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

#小説 #パルプスリンガーズ #スーパーロボット #毎日更新

ドネートは基本おれのせいかつに使われる。 生計以上のドネートはほかのパルプ・スリンガーにドネートされたり恵まれぬ人々に寄付したりする、つもりだ。 amazonのドネートまどぐちはこちらから。 https://bit.ly/2ULpdyL