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限界共存リインカネーション

 世渡の今日は最悪だった。寝起きから神を名乗る精神異常ロリに求愛された次に薄い本ツル植物に誘拐され、そうして今は豊満少女にかき抱かれて高空をランデブー。寒いし酸欠だし、お花畑でペロが招き犬している。

 何故自分がこんな目に。それより誰か助けてほしい。死ぬ。

 そんな儚い生き物の願いが聞き届けられたのか、衝撃が世渡を襲った。夢の中でしか体験したことがない浮遊感に、自分が撃墜されたことをさとる。まだ死んではいなくても、すぐにミンチ肉になるだろう。なんて酷い一日だ。

 覚悟なんて出来るわけもなく、呆然とする世渡の体がトマトピューレになる前に、キャッチされて事なきを得た。受け止めたのはあの誘拐ツル植物で、ツルの根本には鶯色髪で丸眼鏡の華奢な少女。自称神とも飛行豊満とも違う今日三人目の異常存在だ。

「助けてくれてありがとう、どうかこのまま見逃してくれると……」
「ダメ、です」

 キュ、とツルがしまって世渡は簀巻きにされる。

「行きましょう私の管理者、今度こそ最後まで、一緒に」
「何がなんだか全然わかりませんので説明してください!」
「それは後で、ゆっくり、じっくり」

 ダメだった。会話は通じても意思は通じていない。ツルの少女の眠たげな瞳は微塵も揺らいでいない。すわこのまま拉致監禁か。

 そこで、不意にツルがちぎれ飛んで世渡の体はアスファルトに投げ出された。鉄板焼きみたいな地面は硬く、そして熱かった。顔を上げるとそこには夏の積乱雲と見紛う髪。今日最初に出てきた自称、神だ。正確には世界律維持機構とかいうらしい。

「彼は我の運命だ、大図書館。おとなしく引きこもりに戻るがいい」
「いいえ、いいえ。彼は私の管理者。貴方の物ではないの」

 一触即発。そしてこれ以上面倒は増えないでと祈る世渡を余所に、そいつはやってきた。黒髪ロングにSFメカニカル装甲の豊満少女。

「お願いです!自分の艦長を返してください!であります!」

【続く】

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