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「虎に翼」がおもしろくなくなった

「虎に翼」が日に日につまらなくなっている。寅子の両親が生きていて、彼女が法学を学ぶべく仲間と頑張っていたときはとても楽しく、登場人物も多彩で、テンポがよく、次のエピソードが待ち遠しかった。

でも、寅子が新潟に赴任するあたりから話が冗長になっていった。物語の展開として必要であることは理解できるが、なんだか”説明的なシーン”が増えておもしろくなくなっていった。いつ、またおもしろくなるのだろうと待っていたが、東京に戻ってもつまらないままだ。

東京に戻ったら、轟がゲイであることが明かされたり、トランスジェンダーの女性が出てきてみんなで彼らの話を聞くというシーンがあったが、とても不自然に感じた。あれよあれよという間に、ろくな議論もないままに自民党政権が成立させた「LGBT理解増進法」の後出し広報活動の一環だろうかと勘ぐりたくなる。

このシーンを入れることで、NHKは視聴者に対して「LGBT理解増進法」の啓蒙を図ろうとでもいうのだろうか。上から目線もいいとこだ。LGBTの問題はドラマの中で語られているように、「みんながそれぞれに自分らしく生きられればいいね」というような単純なことではないのに、 びっくりするほど矮小化されている。私にはこのシーンは政府のプロパガンダとしか思えなかった。

このドラマでは、毎回寅子が様々な問題にぶつかり、それと真摯に向き合って自分なりの考えをまとめていき、周囲もそれを暖かく見守るという感じで展開していくが、私はだんだん、いい人ばかり出てくるこのドラマにうんざりしてきた。結局全て、”話せばわかる”。そして、寅子のまわりには話せばわかるいい人達ばかりいるのだ。こんな世の中ならラクでいいね。NHKの朝ドラって、そもそも登場人物が優等生ばっかりというのが伝統なのかもしれないが。

私はどこかに偽善を感じるともう受け付けられなくなる。「虎に翼」にも当初は感じなかった、制作者の偽善の匂いを感じるようになってしまった。私の気のせいかな。。。皆さんはどうお感じでしょうか。




らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。

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