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「8K画質の未来映像」作家ジョーの画像がヘッダーの小説たち

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ジョーこと鈴木 穣氏の未来映像を使用した小説たち ジョーさんの高度技術にはかなわないが 、日々ヘッダー画像に合う小説を開発思案中
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#短編小説

第四画  「セイレーンの村」

第四画 「セイレーンの村」

八芒星の大理石の東屋で、少年の姿の僕はクッキーを食べている
ダブダブの車掌の制服を行儀よく座る骸骨に着せかけて、ついでにクッキーも歯形に差し込んで
遠くを走る列車の白煙を見つけて、駆け出す
走って走って、白く見えた煙はところどころ黒くて灰色で、僕はがっかりした
長い茎の枯れた葉っぱを振り回して、濃い緑の森で赤いカーテンのシャワールームを見つけた
蓮のカップをしたシャワーヘッド
ひねるとバラバラ、ジ

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「體内愛音」

「體内愛音」

佐久はメールを見てため息をついた

メールは開かなくても
返信しなくても
『絶対』必ず気持ちを返さなくてはならないマナー
そんな義務は、ルールは要らないような気がした
しかし、真面目な性格であるゆえに律儀にそうしてしまうのかもしれない
たとえそれが理不尽で悪の存在であったとしても
それに面倒さを感じたそれ等が、そうそうに立ち去ってくれれば問題はなかったのに

どこかで時計の針の動く音がする

実際

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「天女襲来」

「天女襲来」

夏祭りの露店で買うカラフルな、絵の具がチューブからうねり出したような模様の水風船
シャボン玉風船って言うのかな
右手の中指にゴム引っ掛けて、ぼしょしょん、ぼしょしょん、手のひらに引戻しては跳ね返す
君はなんでそんなもの買ったの?
僕は心の中で聞いてみる
ラムネの瓶を買おうと思って、少し君を見失う
氷水の浴槽から取り出された水色の瓶
手がひやりとする
夜の闇の中露店のライトに反射して、濡れた部分の露

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「家中雑音」

「家中雑音」

『まいったな』

安積は部屋に入ると、その場で固まってしまった

荷物も背負ったまま

一人掛けソファーの角に

腰をおろした

なんと言うか・・

やる気を殺がれる

なにかに監視されているようで

しんに落ち着けない家だ

それは隣近所の目なのか

自分の疑心暗鬼の心がもたらす不安

なのかはわからない

ホホー
ホホー

正午の鐘を知らせる鳩時計

ホホー
ホホー

12回鳴いた後

バサバ

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