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第四画 「セイレーンの村」

八芒星の大理石の東屋で、少年の姿の僕はクッキーを食べている
ダブダブの車掌の制服を行儀よく座る骸骨に着せかけて、ついでにクッキーも歯形に差し込んで
遠くを走る列車の白煙を見つけて、駆け出す
走って走って、白く見えた煙はところどころ黒くて灰色で、僕はがっかりした
長い茎の枯れた葉っぱを振り回して、濃い緑の森で赤いカーテンのシャワールームを見つけた
蓮のカップをしたシャワーヘッド
ひねるとバラバラ、ジュエルみたいなジェリーが降ってきた
うれしかったけど、いつまでも降るから、魔女の声に聞こえて来るよ
タンタンタタン
タムタムタムタタン・・タン

聖女声楽隊の九人のシスターが
昼は長いドレスの裾に鰭と鶏の足を隠してる
火山は常に燃えていて
マグマはドロドロ煮えたぎる
遊撃隊のセイレーンに姿を変えて
海に入って獲物を探す
十人目の魔女
怒った彼女は僕の眼を盗りに来て
可愛い小鳥の絵を描けなくしてくれた
僕の小鳥も連れて行っちゃって
僕はまたがっかりして
地上に五芒星を描いた
誰にもわからなくていい
僕だけにわかる目印の物語

黒い夜ノ海にスパンコールの星が墜ちた
風に乗ってどこまでも
潮に流れていつまでも
セイレーネスの悪気のない
子守唄
子盗り歌
枯がれ歌

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