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6次産業化より、大切にしていきたい。おおまさりの収穫体験から学んだこと。

先週の土曜日に、私たちとして初めての取り組みになりました落花生の掘り取り体験。現状の環境下で、どのように取り組んでいけば良いのか。そんなことも考えながらになりました。

私たちが千葉の特産物である落花生というものを、より多くの方に知っていただきたい。そう強く思うようになったのは、一昨年の台風被害。例年以上の被害状況に、年間の出荷量の確保もままならない。

もともと、落花生は生産量が年々減っていき、作付け面積も減少。農家さんも減ってきてしまっている。一企業としても、落花生を作付けする方が減るのは、止めようがありません。ただ少しでも歯止めをかける為に、何かないか。と考え出した一つが、収穫体験というものでした。

なぜ収穫体験なのか。

落花生を販売していて、常日頃感じることがあります。それは、生落花生のお客様注文や茹で落花生の商品の売れ行きが良くなっていることです。落花生って元々、人気があるのは莢のまま煎った煎り落花生です。

食感は、カリッとして香ばしい風味。

新豆といえば、煎り落花生が出荷される11月ごろから、一気にドカンと!そんなイメージでしたが、それを上回るような勢いで生落花生の需要が伸びているのです。それも、おおまさりと言うでっかい品種の落花生のおかげだとも思います。

noteおおまさり

おおまさりは、普通の落花生と比較しても1.5倍から大きいもので約2倍にもなります。上の写真で下側がおおまさりになります。

その大きさから食べ応えもよく、塩ゆでにするとホクホクした感じで落花生の風味も楽しめます。ここ約10年ほどかけて、落花生を茹でて食べる。というのが浸透してきた感じを受けます。

ただ、この落花生を茹でて食べると言うのは、実は新鮮さが大事になってきます。畑から掘り出したら、2、3日で茹でないと少し食感が固くなり始めてしまいます。なので、収穫期を迎える9月から10月にしか味わえないんです。

そんな新鮮だから味わえる落花生の味を、農家さんと一緒に掘り取りながら食べてもらえたら、農家さんとお客様に喜んでもらえるのではないか。そう考えました。

なんでも手探りからの出発。

とりあえず便利な時代で、他にも掘り取り体験しているところはないか。そんな感じで調べていきました。価格的に安いのもあるけど、管理されてないのではないだろうか。こちらとしても、中身の空っぽな落花生を掘らせるわけにもいかないので、信頼できる農家さんは誰なのか。まずは、問題になりそうな事を頭に描きました。

収穫体験で問題になりそうなこと。
・掘り上げて、持ち帰った後に落花生が空っぽ。
・どうやってお客様に告知するか。と連絡手段。
・収穫体験を受け入れてくれる農家さんがいるのか。

一番心配した落花生の問題は、掘ればそれなりに殻は実っているんです。でも生育状況で空っぽにもなるんです。しかも掘ったばかりは、殻も固く中身が詰まっているような固さがあります。

『収穫してから、1日経過して中身が入ってませんでした。』こんな声になってしまっては大問題です。まずは、信頼できる農家さんの調査を始めました。直営店の房の駅で、信頼できる、そして収穫体験に対して前向きな農家さん。意外と、受け入れてくれる農家さんのハードルも高かったりします。日頃の関係性もありますので。

金額うんぬんと言うより、いかに楽しんでいただけるか。時間に対する充実度はどうなんだろうか。お客様を前に、農家さんが説明できるのかどうか。考えたことは、内容に関するものが多かった気がします。

そして今の世間の状況下で、快く今回の収穫体験を引き受けてくれた農家さんが、こちらの大久保さんです。

note大久保さん

農家さんと言うより、なにかの試験員と言う感じの品の良さが漂う農家さんです。今回の準備から、スタッフの手配。そして畑で茹でて食べると言う無理難題も、積極的に取り組んでいただきました。こちらとしては、本当に感謝という言葉しかありません。

あとは当日の時間や価格設定、初めての企画は喜んでいただけるのか、本当にこれで良いのか。悩ましいことも多々ありましたが、最終的には『とりあえず、やってみよう!』そんな勢いの方が強かった気がします。

1時間30分という時間。

落花生の価格だけで考えると、少し高いかもしれない。だけど、それだけではない体験する時間。時間の充実度に焦点を当てて、当日のプログラムを練っていきました。

当日のプログラム

9時30分  農家さんからのレクチャー
        農場説明。
9時45分  収穫体験・作業体験
10時00分   塩ゆで体験・実食
11時00分   終了。 

ざっくりしすぎていて、企画にも初々しさがあります。そんな中でも、農家さんの落花生レクチャーなどにも、参加していただいた方々は興味津々。普段、聞くことがない農家さんの話だから面白かったようです。

noteレクチャー

参加いただいた方々は、良い雰囲気で印象の良い方ばかりでした。参加いただいた人数もそんなに多数ではなかった為、スタッフの気配りも行き届き普段お店では話せないようなこと等も話す機会となり、お客様との良い交流になりました。

大久保さんの取り組みや、農業に関する情報、そして落花生の実のなり方や、収穫方法などの説明をしていただきました。参加いただいた方はもちろんのことですが、こちらのスタッフも日頃聞かない話に、自然と耳を傾け聞くことに集中してしまいました。

いざ、収穫体験!

落花生を販売している私たちでも、そんなに経験のない落花生の収穫。はっきり言えば素人同然。

落花生は花が咲いた後に、地面にツルが伸びていきます。そのツルが何本も土に刺さるので、意外とチカラが必要になります。しっかりと土に根を張り、実を付けた落花生は簡単には抜けませんでした。少しグラグラとゆすって、周りの土を柔らかくしてからひっこぬきます。

四苦八苦しながら、やってみると抜けた時に喜びに変わります。
その風景がコチラになります。

note収穫2

参加いただいた方も、ピースサインが出るくらい楽しんでいただけました。落花生の育て方にもよりますが、茎の部分が意外と長く育っていきます。特に根元の部分に落花生が多く実り、しっかりと中身が詰まっていることが多いようです。

note収穫3

収穫した落花生を一粒一粒もじいていきます。伸びたツルの先に実った落花生は、片手でブチっと取れるくらい簡単にもじけました。日頃、実っている姿を見ない落花生。この姿を知っていただくだけでも、楽しさを感じていただけたようでした。

その場で食べる美味さ。

あの美味しさってなんでしょう。お家で食べるのと、外で食べるのとの違い。同じ味でも日々の日常から離れて楽しむ食というのは、やはり違う感覚があります。

note塩ゆで

畑の中に構えられたお鍋たち。収穫したての落花生を、実際に茹でて食べていただく時間も設けました。

塩ゆで落花生の作り方。
必要なもの
・水(適量)
・塩(目安3%程度)
※水500mlであれば、15g。
1ℓであれば、30g程度。
・大きい鍋

・水が沸騰したら、塩を入れます。
・水洗いし、泥を落とした落花生を入れます。
・中火で約30分から40分くらい茹でます。
※茹でてる間は、落し蓋をする方が火が全体に通りやすくなります。

シンプルにざっくりすぎますが、私が作るときはこんな感じです。塩の量をお好みで薄めていただいて、茹で上がってから食べる時に少しつけて召し上がっても良いと思います。

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茹でている途中から、落花生の香りがホワッとしてきます。その香りに、お腹も空いてきてしまいます。中身が空っぽの落花生は、茹で上がった時に少し萎んだようになり、茹でた後でもパンパンであれば詰まっています。

実際に食べてみると、ホクホクしていて甘みも感じます。煎る落花生とはまるで違う落花生の楽しみ方になります。

しかもおおまさりになると、他の落花生と比較しても比べ物にならない食べ応え。この味を味わえるのは、この生落花生が楽しめる期間だけとなります。

作り手と食べる人をつなぐ。

ここ数年でよく耳にしたり、目にしたりする6次産業化。例えば野菜を栽培し、それを加工。さらには流通まで。簡単すぎますが、作ったものをお客様の元までお届けできるよう、ビジネス展開をはかっていく考え方があります。

ただ、ここには1次産業の農業などで、どのように栽培されて収穫されて、という視点を忘れがちになってしまいます。加工食品になると日持ちがしたり、より美味しくなったりと、食べる方にはより良い環境になります。

ですが私たち自らが口にする食材というものが、『どのように作られて、出荷されている。』といった『生産者の一次情報の取得が疎かになっていないか。』という事を、忘れてはいけないとも感じました。

こうした収穫体験のような、作り手と口にする人を直接つなぐことが、インターネットが普及し、あらゆる情報の取得が可能になった今だからこそ、より必要になってくる取り組みなんではないかとも思いました。

その中で、今回参加いただいたお客様から嬉しいメッセージもいただきましたので、ご紹介させていただきます。

昨日は、ありがとうございました。
楽しかったですし、大久保さんのお話は、大変お勉強になりました。
何より空気もきれいだし、自然の中で土と触れ合う事ができ、
幸せな時間でした。ありがとうございます。

また、何か企画がございましたら、お知らせ下さいね。
先日は、おおまさり収穫体験に参加させていただき、
ありがとうございました。

楽しいひとときを過ごさせていただき感謝です。
シフトが、ちょうど休みでよかったです。
来年も楽しみにしています。

はじめての取り組みで、不安などありましたが、お客様のお声がとても励みになります。まだまだ私たちの取り組みは、つま先程度の一歩を踏み出したばかり。試行錯誤しながら、より農家さんとお客様が喜んでいただける取り組みを目指して行きます。

引き続きの応援のほど、よろしくお願いいたします。

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