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コラボしようぜで始まったけどまだ中身も決まっていない本の連載

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突然の「コラボしようぜ」というツイートから、いきなり始まってしまった本の企画を連載していくマガジンです。 https://scrapbox.io/kuratakabooks/ もっと読む
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#倉下のターン

第二十七回:つなぐ、つなぐ

第二十七回:つなぐ、つなぐ

倉下さんの、私以外との「コラボ」はどんな感じですか?

と、前回鷹野さんに話を振っていただきました。

最初に断っておきますと、2018年は私にとってコラボ強化月間、いや年間です。これまでのセルフパブリッシングは、そのほとんどを「ひとりっきり」でやってきましたが、「かーそる」の活動が存外に面白かったこともあり、今年以降はそうした活動も増やしていこうと考えています。

そもそも私は、長年コンビニの店

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第二十五回:バーベル戦略で行こう!

第二十五回:バーベル戦略で行こう!

では、どうやって話題を作ればいいのか? —— セール以外で。

前回は、463のゲッツーくらい綺麗な流れで話を振っていただきました。セールもなし。炎上もなし。それで話題を作る方法?

いいでしょう。本来は3万6800円の限定セミナーだけで教えている内容ですが、今回はこっそりその方法をお教えします。本当に貴重な内容なので、心の石板に刻んでおいてください。

○○を、話題になるまで続けること。

○○

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第二十三回:売上げグラフに電気ショックを

第二十三回:売上げグラフに電気ショックを

私は、二十代という多感な時期をコンビニで働いて過ごしてきたので、販売データには目がありません。特に、前回鷹野さんが公開してくださったような単品の販売データは大好物です。ご飯三杯はいけます。

たとえば、あのデータも「販売数では3倍以上も離れているのに、金額ベースだと1.5倍程度しか離れていない。トータルの金額では値段を変える方に軍配が上がったが、変えない戦略もそれはそれでありだな」なんてことを考え

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第二十一回:新しい値付けへ向けて

第二十一回:新しい値付けへ向けて

前々回で「セルパブではほとんど参考になりません」とばっさりと書いたのには、もちろん理由があります。セルフパブリッシャーに勇気を持ってもらいたかったのです。

◇ ◇ ◇

前回鷹野さんは、以下のように書かれました。

小説ならどうか? こちらももちろん、同ジャンルの商業出版の値付けを意識せざるを得ません。たとえばライトノベルなら、商業出版で一定以上の品質である(はず)の文庫本が、600円~700円

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第十九回:「物の経済学」と「情報の経済学」

第十九回:「物の経済学」と「情報の経済学」

前々回、気軽な気持ちでボールを投げたら、剛速球が返ってきました。

では、我々が小さな出版社(者)としてセルフパブリッシング、もしくはセルブズパブリッシング、あるいはチームパブリッシングを行うときは、どのように価格付けを行えばいいか?

ここまで真っ直ぐな球ならば、いさぎよく打ち返すしかありません。セルパブにおける値付けについて考えてみましょう。

◇ ◇ ◇

まず、前回鷹野さんが丁寧に解説して

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第十七回:人の居る場所に、無料で読めるものを展開する

第十七回:人の居る場所に、無料で読めるものを展開する

皆さん、ご存じでしたか。真なる天の邪鬼というのは、「あっ、こいつ天の邪鬼だから、予想とは違う行動をするな」と思われたときは、むしろ素直な行動を取って、さらに予想を裏切るものです。

というわけで、前回の鷹野さんの話を受けて、マーケティングの残りのP二つについて書いてみましょう。

◇ ◇ ◇

まず4Pの全体像を覗いておきます。

箇条書きではなく、円の上に並べたのには実は理由があります。

この

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第十五回:経験財のバイパスルート

第十五回:経験財のバイパスルート

前回では、鷹野さんが「経験財」「探索財」「信頼財」の三つを提示してくださりました。ここでポイントとなるのは「財」というキーワードです。

「財」とは経済学において、何らかの効用を持つものを差す言葉ですが、そのうち需要に対する供給にギャップがあり、価格が形成されるものを「経済財」、供給が無限にあり価格が形成されないものを「自由財」と呼びます。

現代のネット状況を眺めてみると、時間つぶしのためのコン

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第十三回:物を売るのではなく、顔を売る

第十三回:物を売るのではなく、顔を売る

さて、前回では、「バットマン・ビギンズ」ならぬ「鷹野凌・ビギンズ」を語っていただきました。まったく新しいペンネームを作り、ゼロから執筆活動をスタートした結果、数年で「鷹野凌」という名前を確立した。すばらしいお話です。

かくいう私も──程度に違いはあるにせよ──田舎でコンビニ店長をしていた人間が、ふらふらと続けていたブログおかげで、今こうして物書きとして生計を立てているという経緯を持ちます。インタ

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第十一回:広く伝播しただけでは稼げない問題

第十一回:広く伝播しただけでは稼げない問題

前回は、鷹野さんが重要な指摘をしてくれました。簡単に言えば、「無料かつ柔らかいコンテンツの方が広く伝播する」ということです。これは広くインターネットの世界に見られるたしかな現象でしょう。

しかし、広く伝播しただけでは書き手や出版社は食っていけません。何かしらの手段を用いて稼ぐ必要があります。でもってこのことは、「コンテンツの価値とは何か?」という別の、それでいて関係する根深い問題をも提起します。

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第九回:本を作るだけではない出版活動

第九回:本を作るだけではない出版活動

前回の鷹野さんの記事では、メディアを面白い切り口で分類されていました。ちょっと画像を拝借しておきましょう。

お金の軸はすぐに思いつきますが、「柔らか」と「固い」の視点では斬新でしたね。わりと驚きました。

で、上の図を見てまず注目したのが、「柔らか」の上部に位置する三つのメディアです。Twitter、Facebook、YouTube(r)。どれも巨大な(そしてやや排他的な)プラットフォームです。

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第七回:古くて新しい出版

第七回:古くて新しい出版

解体を続けましょう。今回解体するのは、「マスメディアの絶対性」です。

まずは、時計の針を戻します。パピルスの巻物に、葦のペンで文字を書く。っと、戻しすぎました。さすがにこれは出版ではありませんね。もう少し調整して、グーテンベルクが革命を起こした1600年代のヨーロッパあたりとしましょう。

アレッサンドロ・マルツォ・マーニョの『そのとき本が生まれた』は非常に面白い本で、グーテンベルクその人ではな

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第五回:「これより、オペを開始する」

第五回:「これより、オペを開始する」

二つの神話を解体していきましょう。

「天才の個人性」と、「マスメディアの絶対性」です。

ジョシュア・ウルフ・シェンクの『POWERS OF TWO 二人で一人の天才』は、面白い事実を突き止めています。その事実とは、私たちが認識する「天才」は、絶対孤高の存在などではなく、むしろペアとなる存在との相互作用でその力を発揮している、というものです。

どちらか1人がいつも岸に立っていれば、もう1人が水

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第三回:セルブズパブリッシング宣言

第三回:セルブズパブリッシング宣言

きっと、1人でやるより2人でやるほうが楽しいし、1+1が2より大なりの結果に繋がるような気がします。

前回鷹野さんが上記のように書かれていましたが、私も似たような感覚を持っています。いかにも楽しそうですし、これまでと違った結果が待っているかもしれません。

しかしそれは、あくまで「かもしれない」話です。成果が約束されているわけではありませんし、そもそも無事完成させられるのかも現時点では不明です。

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第一回:カラムーチョから始まるコラボ企画

第一回:カラムーチョから始まるコラボ企画

コンビニで昼ご飯を探していたら、サラダチキンが目に入りました。

真っ赤なサラダチキン。

湖池屋の「カラムーチョ」とのコラボ商品です。個人的にカラムーチョは大好きなので、若干食指が動いたのですが、それ以上に気になったのは、最近のカラムーチョが頻繁にカップ麺や他のお菓子とコラボしていたことです。ほんの少し、仕事を選ばないことで有名な某マスコットキャラが頭をよぎります。

正直に言うと、5%くらいは

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