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【福祉事業者様向け】心地よく働ける仕組みづくり

皆さん、こんにちは!
RASHISAの広報室編集部です。

本日は7月2日に福祉事業様向けに行なったイベント内容をお届けしたいと思います。

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存在する情報格差

RASHISAでは、日々虐待サバイバーの方々とコミュニケーションをとっています。
その中で「このシチュエーションはどう対応すればいいだろう?」と思うことがよくありました。

あるとき「もしかしたら、同じような悩みを抱えている企業様も存在するのではないか?」と思ったので、福祉事業者様を対象に「情報交換」と「繋がりづくり」を目的としたオンライン交流会を実施しました。


イベント概要

2部構成で実施
第1部:10分間のプレゼンテーション(SANCYO様、RASHISA)
第2部:参加者様同士の交流会

本記事では第1部の内容をメインにまとめています。
プレゼンテーマは「利用者さんが心地よく働ける仕組み作り」
近頃よく耳にする心理的安全性についてのお話や支援のスタンスまで色々なお話をお伺いすることができました。

少しでも福祉事業者様や福祉領域でサービスを営んでいる方々のヒントになれば幸いです。

株式会社SANCYO様

1社目は福岡県で就労継続支援A型事業所を運営する株式会社SANCYOのCOO田代様です。
会社のビジョンは「生きづらさ働きづらさのない世の中を創る。」

このビジョンの元、就労継続支援A型事業所「TANOSHIKA」の運営や、障がいを持つ当事者が発信するメディア「AKARI」を運営している企業様です。

そんなSANCYO様が運営するTANOSHIKAではどのようにして「利用者さんが心地よく働ける仕組み作り」を行なっているのでしょうか。

心理的安全性を高める情報開示

時代の移り変わりや働きかたの変化とともに「心理的安全性」という言葉を耳にするようになりました。TANOSHIKAではメンバーのみならず、支援員さんも含めて、利用者さんの心理的安全性づくりを求めています。

心理的安全性をつくるために徹底していることが情報開示。

「会社側はいろんな情報をオープンにして透明にしていかないと心理的安全性もつくられていかないと考えています」という言葉通り、事業計画だけでなく、会社の収益が見える決算資料まで公開しているのだそう。

現在、TANOSHIKA様では従業員、支援員含め140名の方々が働いていますが、全員に対して「事業計画」や「決算資料」の開示を行なっています。

さらには、1年に1回、ビジョンの実現に向けた今後の方針を伝える経営方針発表会も支援員さんも参加できる形で行うほどの情報公開の徹底ぶり。

他にも、毎月の責任者ミーティングの議事録も全社員にオープンにすることで、社内の文化をつくっています。

このように「情報の透明化」を行うことが、「心理的安全性」を高めていると田代氏は語ります。

離職率5.8%の採用方針

「僕たちは最終的には支援員が商品であるっていうぐらいの考えでやっています。」

支援所に欠かせない支援員の存在。事業所の支援員には職業支援員や生活支援員など、さまざまな役割があります。ただ、利用者さんが働きやすい環境をつくるためのサポートを行うということは一貫しています。

田代氏は「利用者さんが心地よく働ける仕組み作り」を行うためには、利用者さんと直接の関わりを持つ「いい支援員」の存在が必要だと述べていました。

「いい支援員」の方に働いていただくための工夫として、まずは採用について、ご説明いただきました。

「支援の技術っていうのは仕組みを整えていけば、それだけ上がるものだとは思うんですけど、そのベースになる人柄をとても大切にして採用しています。」

その考え方に基づき、技術のベースとなる人柄を重視した採用を行うTANOSHIKA様。
面接ほど固くないカジュアル面談もたくさん取り入れて、ミッション、ビジョン、バリューに共感してくださる方だけを採用しています。

また「いい支援員」の周りには「いい人がいる」という仮説のもと、現在は紹介制の採用に力を入れているのだとか。現在進行中で紹介採用制度やリファラル採用制度を整えていらっしゃいます。

こうした取り組みの結果として、現在の離職率は5.8%。

厚生労働省が出している「平成30年雇用動向調査結果の概況」における福祉業界の離職率15.5%と比較しても、その離職率は劇的な数字だと分かります。
参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf

「いい支援をしてくれる人たちに集まってもらいたいですし、そのためにはいい支援をしてくれる人たちが、心の余裕を持てたり、元気に働ける環境が大前提になる」と田代氏。

採用だけにとどまることなく、支援員さんの働く環境づくりについてもさまざまな工夫を行っています。具体的には出産・結婚時の支援金制度や独自の有給制度を整えていたり、「お休み制度」の導入や「福利厚生」の強化、前述した情報の透明性を徹底しているのだそうです。

支援の定義を明確化、そして実行へ。

「支援」と言ってもその捉え方は様々。そして、厄介なのが、支援は属人的になりがちだということ。RASHISAでもサポートが属人的になってしまったことで、問題が生まれたケースもあります。

TANOSHIKA様では支援の品質を統一・向上させていくために「支援」の定義を社内で統一しているそうです。

TANOSHIKA様の支援の定義は
『メンバーにとっての幸せを知り、それを妨げている「一人では対処できない問題」を解決・解消するための手段を実行していくこと』

これは「知る」「問題を分析する」「それを解決する」という3つに分けられます。3つのうち、どれが欠けても支援ではないという考え方のもと、TANOSHIKA様では支援員の方に「支援力」を身に付けてもらっています。

では、肝心の「支援力」はどのように定義されているのでしょうか。

「支援力」の3つの要素

支援力を「エビデンス主義・メンバー目標主義・チーム主義」と定義していると田代氏は語ります。

エビデンス主義は感情ではなく、根拠を元に判断していくこと。日々、事実に基づいて行動に移しています。

メンバー目標主義はフィードバックにまつわるもの。フィードバックをする際はメンバーの表層的な部分を見るのではなく、「根本的・本質的なニーズ」を捉えましょう、というものです。

最後にチーム主義です。チーム主義は全ての問題に対して「ひとりで抱え込まない、チームで支える」というものです。
例えば、よくあるのは利用者さんが「あなただけが信頼できるから、あなただけにこの悩みを話します」と1人の支援員に頼ってしまうケース。

このような場合は支援員さんが1人で抱え込むと、精神的にきつくなることが多々あったので、今ではチームで共有して、組織全体で問題に向き合う環境づくりをしています。

支援員さんを大事にする姿勢をベースにしながら、TANOSHIKA様は利用者様の満足度を高めていることが見えてきました。

株式会社RASHISAの紹介

株式会社RASHISAでは「ビジネスの力で「世界一」虐待問題を解決する」というミッションのもと、現在は虐待の後遺症による働き辛さを抱えている方々にサービス提供をしています。

RASHISAワークスというサービス名で展開しており、在宅ワーク可能なお仕事のご紹介や業務の伴走、コミュニティ活動を行なっています。

業務の伴走やコミュニティ活動など、利用者さんとの接点も数多くあるため、弊社でどのようにして利用者様の満足度を高めているかについて、代表の岡本がプレゼンテーションを行いました。

安心して働ける場の創出

RASHISAでは、3つの施策を通じて利用者様の満足度を高めています。

1つ目が「安心して働ける場の創出」です。
現在120名ほどの在宅ワーカーさんが在籍するRASHISAワークスでは、全国にワーカーさんがいらっしゃいます。もちろん、それぞれバックグラウンドや年齢も異なります。

そこで「心理的安全性」を高めるためのコミュニティ運営に力を入れています。
現在行っている具体的な取り組みとしてはDiscordというアプリを使ったコミュニケーションとZoomを活用した交流会の実施。

Discordでは、趣味やプライベートのことも話し合える場づくりを目指して運用しています。このようにして、ワーカーさんが安心して働ける場を作っています。

自分のペースで働ける場の創出

2つ目は「無理に気づける環境づくり」です。

虐待サバイバーの中には「自分の働くペースが分からない」という方がいます。
なぜかというと、親などに期待されずに生きてきた結果、社会に出て職場などで誰かに期待されると、頑張り過ぎてしまうため。

結果として、自分のペースを崩し、体調を悪くすることに繋がります。
RASHISAでは未然に体調不良を防ぐために、「カルテ」というものを導入しています。

カルテというと、病院や美容院で活用されているものがイメージとしてあると思いますが、そのイメージと似たようなものです。

ワーカーさんと接するサポーターチームがワーカーさんの労働状況や体調の変化などをカルテに記入します。そこで、いつもと大きく変わったことなどがないかなどをチェックしています。

異変や気になることがあれば、未然に連絡。そうすることで無理をすることを防いでいます。まだまだうまく回っているわけではありませんが、都度改善しながら進めていきたいと思っています。

こうしてひとりひとりに合った働きかたの実現を目指しています。

手を挙げやすい場の創出

上記のような施策を組んでいても体調が悪くなることはあります。

そんな状況に対応する3つ目の取り組みが「手を挙げやすい場の創出」です。ここでいう、手を挙げやすいというのは異変が起きた時にもヘルプが出しやすいという意味になります。

ワーカーさんが手を挙げやすくするため、RASHISAワークスでは2つの取り組みをしています。
1つがチーム体制の工夫です。現在在籍する120名のうち、虐待を受けた経験・その可能性がある方は全体の4割。それ以外の6割の方はRASHISAワークスのビジョンに共感をして登録をしてくれています。
そういった方々が常時ヘルプに入れる体制をとっており、彼ら、彼女たちのことを「実務サポーター」と呼んでいます。例えば、虐待サバイバーの方々が体調を崩した時に連絡が入ると、ピンチヒッターとして実務サポーターが案件を実施します。

この体制をとることで、虐待サバイバーの方だけではなく、クライアント様も安心して案件の発注ができることもメリットのひとつ。

もう1点の取り組みがこちら。

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Googleフォームで『RASHISAの保健室』という緊急フォームを設置しています。

「助けて!」と声に出すには、フォロー体制だけでは不十分。いかに簡単に声を上げられるかが鍵となります。

これはワーカーさんの実際の声を拾って生まれた施策。
「本当に辛い時は文字を打つのも辛い」という方がいらっしゃったことからスタートしました。

・自分の体調を絵文字で表現する
・運営に対応して欲しい内容を項目から選択する

最低限の手間で簡単に手を挙げられる仕組みを導入しています。

これらの施策を通じて、RASHISAでは利用者さん(ワーカーさん)の満足度向上を目指しています。


鍵は心理的安全性

今回はTANOSHIKAを運営するSANCYO様と弊社2社の実際の取り組みを通して、利用者さんの満足度を高める工夫をお伝えしてきました。2社ともに共通していたキーワードは「心理的安全性」

今回、私が感じたのは「心理的安全性の土壌を耕すこと」が大事なのではないかということ。

全てはそこから始まり、その土壌の上にさまざまな施策という種を蒔きます。その種が利用者さんの明るい未来という花に変わるのではないかと感じました。

もちろん、RASHISAでもこれから沢山の挑戦をしていきます。だからこそ他社様の事例を聞くことができて大変有り難い機会になりました。

ご登壇してくださったSANCYO様、ご参加いただいた7社の企業様、本当にありがとうございました!
みなさま、これからもRASHISAをよろしくお願いします!

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