『機械より人間らしくなれるか?』レビュー
『機械より人間らしくなれるか?』
AIとの対話が、人間でいることの意味を教えてくれる
ブライアン・クリスチャン(著)/ 吉田晋治(訳)
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数学の大天才でコンピュータの始祖ともいうべきアラン・チューリング博士が考案した、人間と(人間に模した)コンピュータAIとを判定する方法として有名なモノにチューリングテストというのがあります。
壁に仕切られた向こう側に人間と機械(コンピュータ)をおいて、壁越しに、相手が見えない状態で文字だけで会話(つまりチャット)をして、自分の話している相手が人間か機械かを人間に判断してもらう。その時、「これは人間だな」と判定者が思える確率が30%を超えたら、もうその相手は人間と見なしてよかろう。(人間と同様の思考力を持っているといっていいだろう)というやつです。
これ、言い換えれば30%以上を達成したら、その機械は、人間より人間らしいと見なせるということです。
かつては思考は人間の専売特許で、チェスも囲碁もコンピュータは絶対に人間にかなわないと言われていました(ほんとよ?)
すなわち人間の証明はこれらのゲームの強いことだったわけですが、近年AIが指数曲線的に高性能になった結果、もうこうした思考ゲームで人間は機械に歯が立たなくなりつつあります。(将棋もやばい?)
となれば、最期のよりどころはコレ、チューリングテストです。
じつはこのテストをシンケンに公式にやってる人たちがいて、年に一度、人間とコンピュータで「人間らしさ」を掛けて本当に勝負してるのです。
昔は普通にチャットしてたら人間は人間として見えて、コンピュータはコンピュータとして見えていたのだけれど、2008年の大会で、とうとうコンピュータプログラムの方が「人間らしい」って判定が30%に達しそうになったそうなのですね。
で、そのニュースを聞いて、「俺の目の黒いうちはコンピュータを人間扱いさせぬ!」って奮起した著者が人間側代表としてこの大会に参加すべく、人間力を磨く修行の旅に出る。というお話しです。
修行と言ってももちろんスポコンじゃなくて、その「人間力」ってつまるところ何よ、どういう行為が人間らしいのよ? ってところをとことんまで追求していくのです。
敵を知るために、と、相手のコンピュータはどうやって人間らしく振舞っているか。を追求して人工知能についても研究しまくるし。そもそも人間らしさとは何か? を探求するところがとても興味深いです。
結局、ヒトって何なの? という問いですよね。それはあらゆるところに向かうので、ほんと面白い本です。
人として、人間力を高めるために人類のみなさんには一読をオススメします。あと、はやく人間になりたいそれ以外のみなさんにもぜひw
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※そしてとうとう、恐れていた日がやってきてしまいました。
2014年に〈ウクライナ在住の13歳の少年、ユージーン・グーツマンくんという設定のプログラム〉が、とうとう人間よりも人間らしい機械として認定されてしまったそうです。
あやうし人類!
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※このレビューは『らせんの本棚②』に収録されているレビューに大幅に加筆したものです。
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↑こんなコラムも書いてみました。ご興味ありましたらこちらもどーぞ―☆
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