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主体的に生きるための学びをデザインする人。 中高生、時に大人向けにリーダーシップ×越境…

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主体的に生きるための学びをデザインする人。 中高生、時に大人向けにリーダーシップ×越境がテーマの研修を作っています。

最近の記事

総合的な学習における「自己探求」の意義

総合的な学習の時間や探究の文脈で、「自己探求の重要性」が認識されることがよくあります。 教科学習以外の様々な取り組み――例えば課題解決型のプロジェクト型学習(PBL)をしたり、生徒が自由にテーマを決めて探究に取り組んだりすることなど――を行っている学校現場でよくある課題は、以下のようなものです。 「結局多くの生徒にとって、受動的でやらされている課題となっている」 「探究テーマを自由に、といっても生徒がテーマを決められない」 取り組みとしては他校に先駆けて素晴らしいことを

    • チームワークについて 〜学校のプロジェクト学習は「仲良し同士で組んじゃだめ」なのか?〜

      近年学校では、PBL(Project Based Learning)と呼ばれるプロジェクト学習が取り入れられるようになっています。PBLとは何か、非常にシンプルに言えば「他人と力を合わせて何かする&そこから学ぶ」ことです。 私が携わるアントレ研修も、基本的にはチームを組んで問題解決に取り組みます。そのため、学校での研修はチームの組み方について先生と話します。 ほとんどの研修では、参加者の興味関心をベースに、近いテーマや問題意識位を持った人同士で組む、という原則でチームを組ま

      • それはやる気の問題なのか?

        単なる能力不足であることを、人間性や人格の問題にしていることが多いと思うのです。 「やる気の問題」というのは、よくある人間性や人格に原因を帰結させる考え方です。やる気に問題があるということは、その人が取り組んでいる課題に対する姿勢や考え方に問題がある、と捉えていると言えるからです。 もちろん、本当にやる気がなかったり、他人のことをどうでも良いと考えている場合もありますが、多くは単なる能力不足です。 例えば 文章の表現に配慮が足りなかったり、何を伝えたいのかわかりにくいメ

        • アントレプレナーシップ教育の内容と学び

          前回の記事で、アントレプレナーシップ(以下アントレ)教育とはどんな教育で、何故やる意味があるのか、という説明について書きました。 本記事では、もう少し具体的に、アントレ研修でやっていることと、そこからどんな学びが生まれることを想定しているかを書いていきます。 非常に簡潔に書くと、 ①自分の興味関心と社会を結びつけ、②価値を生み出す相手とその方法を考え、③実現性を高め、④発表する、というプロセスで進みます。プロセスごとに簡単に説明します。 ①自分の興味関心と社会を結びつけ

        総合的な学習における「自己探求」の意義

        • チームワークについて 〜学校のプロジェクト学習は「仲良し同士で組んじゃだめ」なのか?〜

        • それはやる気の問題なのか?

        • アントレプレナーシップ教育の内容と学び

          なぜ学校でアントレプレナーシップ教育をするのか

          中学・高校・大学向けのプログラムで、「アントレプレナーシップ研修」を実施しています。 アントレプレナーシップ(以下アントレ)は、日本語では「起業家精神」と訳されますが、参加者を起業家にすることが目的というわけではありません。 アントレ教育は、リーダーシップ教育の一つであり、要は「ビジネスを作る方法論を武器として授け、世の中にある問題を主体的に解決出来る人間になろう」というトレーニングです。 「トレーニング」と書いたのは、やってみることが重要であるからです。泳げるようにな

          なぜ学校でアントレプレナーシップ教育をするのか

          自分探しをするならまず材料を集めよ

          自分を探し続けている人 自分の好きなことが見つからず困っている人 自分は将来何になりたいかわからず悩んでいる人 本当に多いです。 仕事柄自分の周りは、高校生や大学生、若手社会人が多いので、仕事の選択をどうしよう、という文脈で上記の悩みを抱える人が多いです。 自分に向いている仕事、自分がやりがいを感じることの出来る仕事をしたいと思うことは当然ですし、その前提として、まず自分自身をよく知ろうとすることは、自分自身を幸福にするために重要なことです。 しかし、多くの人は自分自身

          自分探しをするならまず材料を集めよ

          社会を変えるアクションとは何かを具体的に考える

          「一人ひとりの行動が社会を変える」とはよく言われるフレーズですが、実際に社会に働きかけたいと思った時、どういった行動をとることが出来るのでしょうか。 ①投票 まず個人ができる社会への働きかけとして思いつくのは、投票行為です。 選挙で選べるのは市区町村の首長や都道府県知事、地方議会議員や国会議員です。 他国の政治を変えるのは難しいですが、ある外交方針を持った自国の代表を選ぶことで、他国との外交によって影響をもたらせる、と言えます。 ②政治家になる 自らが投票される側になり、

          社会を変えるアクションとは何かを具体的に考える

          差別をしない難しさ、仕事ができるようになる難しさ

          「差別をしない」ということはとても難しいことだなと思います。 今の社会では、差別をすること=悪である、という考え方は、異議を唱える人が見当たらない程には常識とも言える命題です。にも関わらず、差別という問題は社会のあちこちで存在しています。 ※この記事での「差別」を定義しておくと、ある人をその人の持つ属性(国籍・性別・年齢・出身地・見た目・所属等)によって、ネガティブな判断および発言・行動に及ぶこととしています。 差別をしないことが難しいことの一つに、「自分のどの行為が差

          差別をしない難しさ、仕事ができるようになる難しさ

          アート教育とは何かを考える②

          前回の記事で、アート教育とは何かを考えました。 簡潔にまとめると、 アートを表現であると定義した上で、「表現は、認識と表裏一体である」ことを認識し、アート教育を「世界を自分なりの見方で切り取り、表現する練習」 と捉えました。 今回はその続きです。 アート教育は役に立つのか?アート教育をやっている人が、その外野の人から「役に立つのか?」という疑問をぶつけられた時、「アート思考はビジネス界で注目されている!」とか「これからはイノベーションが重要だからクリエイティビティを育

          アート教育とは何かを考える②

          アート教育とは何かを考える①

          前置きアート教育がもてはやされている、とまでは行かないまでも、取り組みとしてポツポツと、やっているところはやっています。 意外かもしれませんが、取り入れているのは進学実績が良好な中学校や高校です。学校理念に基づく独自性のある取り組みをしたい、他の進学校との差別化を図りたい、等の意図があるようです。 意外かもしれませんが、と述べたのは、アート教育は常に様々な人々から懐疑的な視線を向けられてきたからです。一言で言えば「役に立つのか?」ということです。ごく一部の芸術に関わる大学

          アート教育とは何かを考える①

          選択と幸福感

          前の記事で、選択肢が多いほど良いわけではないという話をしました。 選択肢が多ければ多いほど幸せになれるわけではない。じゃあ何が幸せに結びつくのか?という話をします。 まずは「複数の選択肢からどれかを選ぶ上で重要なことは何か」を考えます。 それは、自分が選んだ選択肢が、他の選択肢よりも劣っていた、という気持ちを出来るだけ少なくする、ということです。 なぜ「気持ち」の話をするかというと、幸福感は主観的なものだからです。 「良い選択肢」は主観的な基準でしか測ることは出来ま

          選択と幸福感

          「選択肢は多いほど良い」は正しくない

          私も多いほど良いと思ってました。 小学生の頃、親に「なぜ勉強をしなければならないのか」と聞いた時に、「選択肢を増やすためだ」と言われ、それに疑問を持たないまま大人になりました。 就職活動をするときも、「まだやりたいことが決まってないから、自分の選択肢を狭めずに、スキルを上げて転職先の可能性が広がる就職先を考えよう」と思って就職先を決めました。 この考え方自体は悪くないと思うし、自分のここまでのキャリアや進路に特に後悔はありません。ですが最近、「選択肢は多いほど良い」とい

          「選択肢は多いほど良い」は正しくない

          生き抜くための「強さ」とは何か

          端的に言うと、リソースの獲得能力といえます。 ここでいうリソースとは、マズローの欲求五段階における下位の欲求を満たすためのリソース、例えば住む場所や食べるものを獲得することとします。 人類の祖先が生きていた頃は、「身体能力」がリソースの獲得に大いに影響していました。すなわち強さです。強ければ獲物を獲得しやすくなるし、戦いによって獲得した獲物を他者から奪われるリスクも少なくなります。 現代では何か? 稼ぐ力、ということが真っ先に思い浮かびます。現代はお金があれば大体のも

          生き抜くための「強さ」とは何か

          「あり方」について考える

          あり方(To be)というものが言われることがあります。「やること(To do)」との対比で、どうありたいかを考えようという文脈で出てくることが多いです。 例えば、このような問いの形で出てきます。「働き方の多様化とともに、生き方も多様化してきています。仕事を人生の一部と捉え、自分らしく生きることを考えた時に、あなたはどんな『あり方』を目指しますか?」 「あり方」とは一体何か。 それは「関係性」のことです。 人は、幾多の物事や人に囲まれて生きています。そして、それぞれの物

          「あり方」について考える

          3種類のモチベーションの活用法

          先日、こんな記事を書きました。 モチベーションは3種類しかない 人のモチベーションは正しさ・楽しさ・なりたさの3つから来ているという話です。 1つ目の「正しさ」とは、倫理観のものさしで正しいことをするモチベーションのことを指します。 2つ目の「楽しさ」は、楽しさや喜びなど、純粋に快を求めるモチベーションを指します。空腹が満たされるとか、褒められて嬉しいなども含みます。 3つ目の「なりたさ」は、自分自身を理想状態に近づけるモチベーションです。カッコよくなりたいとか、誰

          3種類のモチベーションの活用法

          モチベーションの種類は3つしかない

          ヒトのモチベーションは、抽象化すると3種類で説明がつきます。 正しさ・楽しさ・なりたさの3つです。 1つ目の「正しさ」とは、倫理観のものさしで正しいことをするモチベーションのことを指します。 2つ目の「楽しさ」は、楽しさや喜びなど、純粋に快を求めるモチベーションを指します。空腹が満たされるとか、褒められて嬉しいなども含みます。 3つ目の「なりたさ」は、自分自身を理想状態に近づけるモチベーションです。カッコよくなりたいとか、誰かに憧れる気持ちなどがあります。 これらは

          モチベーションの種類は3つしかない