3種類のモチベーションの活用法

先日、こんな記事を書きました。

モチベーションは3種類しかない

人のモチベーションは正しさ・楽しさ・なりたさの3つから来ているという話です。

1つ目の「正しさ」とは、倫理観のものさしで正しいことをするモチベーションのことを指します。
2つ目の「楽しさ」は、楽しさや喜びなど、純粋に快を求めるモチベーションを指します。空腹が満たされるとか、褒められて嬉しいなども含みます。
3つ目の「なりたさ」は、自分自身を理想状態に近づけるモチベーションです。カッコよくなりたいとか、誰かに憧れる気持ちなどがあります。


これをどう活用出来るか具体例を挙げて説明します。

【ケース:社会起業家になりたい学生】

僕は海外インターンシップに行きたい大学生の面談をすることが割とあります。大学生のうちに海外で働いてみたい学生なので、社会への関心や将来に対する意欲は、やはり多くの大学生のそれよりも大きいです。

ある学生の面談をしていて、「社会起業家になりたい。原体験を得たいから海外インターンシップに行きたい」という渡航目的を言われたことがありました。

もう少し話を聞いてみると、社会問題をビジネスで解決する人になりたい。自分が見聞きする限り、社会起業家は強烈な原体験を持っている。だから海外インターンシップで原体験を得て(=つまり解決したい課題を見つけて)、社会起業家になりたい。ということでした。

おいおい、それ順番違うんじゃないか?と。

その学生の「社会起業家になりたい」モチベーションは、上記3つ目の「なりたい」モチベーションでした。大学生になり、社会問題をビジネスで解決する社会起業家という存在を知り、彼らの話を聞いているうちに、自分自身も社会問題をビジネスで解決する人になりたい、と思うようになったのでした。

しかし、その学生が知っている社会起業家たちは、何故起業したかという質問に対して、人生を変えた過去の原体験を話します。どうしても解決したい問題に出会って、それを解決するために、持続可能なビジネスの形で解決に取り組んでいるんだ、と。

学生は考えます。社会起業家になるには、どうしても解決したい問題を見つけなければならない

学生が憧れた社会起業家たちは、モチベーションの種類としては「正しさ」に突き動かされています。一方その学生は、「なりたさ」に突き動かされていますが、「正しさ」に突き動かされなければ社会起業家になれない、と思い込んでおり、またそのことに気がついていません。

実際のところ、社会起業家が原体験を持っていなければいけない、という命題は正しくありません。解決したい社会問題に人々を巻き込むことにおいて、社会起業家が強烈な原体験を持っていたり、当事者性があることが、共感を得る上で有利に働くことはあるでしょう。でもそれは社会起業家になるためのチケットではないのです。動機がどうであろうと、社会問題を解決に導く人はそれによって称賛されるべきです。

学生自身のモチベーションのありかを一緒に深掘りし、原体験を持ちたいのか、社会問題をビジネスで解決したいのか、じっくり考えて見ると良いよ、とアドバイスしました。


もう一つケースを書こうと思いましたが、長くなったのでここで。



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