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私の仕事は朝の7時に終わる。

14時間働いて、スーツ姿の大人の波と逆方向に進む。この時間から働く人たちは偉いなぁ、私はこの時間からは働けないなぁと思う。

もう歩けないと、3歳の駄々っ子のように嘆く身体を、22歳の私の理性がひっぱって地下鉄の乗り場まで連れて行く。私の意識はもう家の布団の中にいる。数駅のって、改札を出て、半日ぶりに地を踏む。

あぁ眩しい、太陽が眩しい。

荷物が、重い。


いつも家の近くのパン屋にちょっとした列ができている。みな、開店前から並んでいるのだ。横目で店内を覗くと出来立てのパンが欠けることなくびっしりと並んでいる。

ほとんどパジャマ姿のおばさんに、新聞を片脇に挟むおじさんにすぐに崩されるような完璧。

出来立てのパンにかじりつきたい気持ちはあるがこの暑さと疲れの中で、開店まで待っていられる気はしない。何より私の精神はもう布団で待っている。

近くのコンビニで炭酸水を買う。以前はお酒を買っていたけど、原酒を炭酸水で薄めて飲めば安上がりだと気付いた。夜の自分のために買う。

カーテンは昨日の昼から締めきりで、部屋の空気は昨日と同じまま停滞していて、うっすら漏れてる光だけが違った。纏っていた全てを引き剥がし布団に潜る。

眠ろう。

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