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「6歳未満の調剤で12点加算」の算定要件対策大丈夫ですか?

・はじめに

先日、日経DI内で「6歳未満の調剤、12点加算に必要な感染対策は」という記事を読ませていただきました。
よくまとまっているなと思う部分と大丈夫かなと思う部分を感じました。
記事は下記になります。

現在、乳児で加算を取られている薬局、及び経営を考えて今後加算を取られる薬局両方を踏まえて参考になればと思い、記事とすることにしました。

・算定をするには?

皆様、この加算を取る要件は覚えていらっしゃいますでしょうか?
自分から言わせると、結構ふわっとした要件になっています。
もしよろしければ、自分の記事でも一部、当案件が入っていますのでよろしければご覧ください。

さて、今回はコロナ対策として、国が臨時でフィーをつけている「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱い」に関することだけに焦点を当ててみます。
記事としては、下記の記事が参考になると思います。

 ①算定要件

6歳未満の乳幼児で、特に必要な感染予防策を講じた上で、必要な薬学的管理指導を行うことが要件となっています。

この加算は、あくまで全般を指すので、新型コロナウイルスに感染している患者さんのみを指すのではなく、算定要件を満たせば、6歳未満の乳幼児全般を算定することはできます。ただし、条件がいくつかありますので注意が必要です。

 ②注意点1(感染予防策)

今回の加算に関する通知類は、下記の三種類になります。
・新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)
・新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その32)
・小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症 2019(COVID-19)診療指針

資料も下記に添付をしておきます。

算定要件については、上記に書かれている通りですが、「特に必要な感染予防策」についても、通知でざっと書かれています。

問1 1について、小児の外来診療等において「特に必要な感染予防策」とは、どのようなものか。

(答)「小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症 2019(COVID-19)診療指針・第1版(小児 COVID-19 合同学会ワーキンググループ)」を参考に、小児の外来における院内感染防止等に留意した対応を行うこと。
(院内感染防止等に留意した対応の例)
・COVID-19 に特徴的な症状はなく、小児では出現しても訴えとして現れることが期待できないことから、一人の患者ごとに手指消毒を実施すること。
・流行状況を踏まえ、家庭内・保育所内等に感染徴候のある人がいたか、いなかったのかを確実に把握すること。
・環境消毒については、手指の高頻度接触面と言われるドアノブ・手すり・椅子・スイッチ・タッチパネル・マウス・キーボードなどは定期的に 70~95%アルコールか 0.05%次亜塩素酸ナトリウムを用いて清拭消毒し、特に小児が触れる可能性が高い場所は重点的に行うこと。

となっています。日経DIの記事を読んでいて、いくつか疑問を感じました。
患者さんに確認した同意や家族が罹患していないかの確認記録(薬歴等への記録、レセプトコメントなど)使った消毒の種類や回数などの記録(患者さん用消毒剤の交換・店舗の備品等の消毒記録など)手順の追加に伴う手順書の改定や教育記録など、消毒をしっかり行って対応している記録についての内容が少し弱いように感じました。

これを読まれた方は、うわーそんなに細かいことまでしないといけないの?と思う方が多いと思います。
しかし、これが薬機法ですでに求められていることなのです。
今回、令和3年8月に改訂が行われますが、さらに、この手順書と経営層との紐づきも求められています。

作業を行ったか行ってないかは、証拠があるかないかだけなのです。
説明だけではやったことにならないのです。

薬局は、薬機法上の製造業や製造販売業等よりは、規制は少し甘めに行政も対応してくれています。
しかしながら、レベルは少しずつ高いものを行政も求めはじめており、行政も手ぐすね引いて何かしら指導することを求めます。
一番怖いのは、利用者からの通報です。対応が悪かったり、不十分な対応することにより、行政や健保に通報された後には、チェックが入ります。
その際、第三者が見て納得できる資料がなければ、指導や返戻対象になります。もちろん、こういったことを皮切りに他の内容も見られて被害甚大になることも考えられます。

対策をするということは、ひいては薬局や管理薬剤師のリスクを減らすことです。現場も、医療提供を一所懸命やっておりますが、ほんの少しの工夫で何とかなることもあります。特に、管理薬剤師は負担が大きいものです。店舗運営全般を丸投げされる経営者もいらっしゃいますが、管理薬剤師も日々悩んでいる方が多いのが現状です。
是非、そういったことも理解して、どのレベル感でやるかも現場や経営サイドで調整されるといいかなと思います。
他店より少し多めにやっておけば、それだけ行政からの評価ももちろん変わります。是非、業務を行ったエビデンスを何かしらの形で残すことを強く推奨します。

 ③注意点2(オンライン等)

注意することは、他にもあります。

問2 1について、小児の外来診療において特に必要な感染予防策を講じて診療等を行う保険医療機関等において、6歳未満の乳幼児に対して、「新型コロナウイルスの感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月10 日厚生労働省医政局医事課、医薬・生活衛生局総務課事務連絡)及び「歯科診療における新型コロナウイルスの感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和2年4月24 日厚生労
働省医政局歯科保健課、医薬・生活衛生局総務課事務連絡)に基づき、電話や情報通信機器を用いた診療又は服薬指導を実施した場合、どのような取扱いとなるか。

(答)1については、小児の外来における診療等については、特に手厚い感染症対策を要することを勘案し、小児の外来診療等において特に必要な感染予防策を講じた上で実施された診療等を評価するものであるため、電話や情報通信機器を用いた診療又は服薬指導を実施した場合は、算定できない。
問8 「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その 31)」(令和 2 年 12 月 15 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)の1の(3)の加算について、小児の患者本人と対面せず、患者の家族等のみに対し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合でも算定できるのか。

(答)算定できない。

大事なところだけ抜き出しましたが、お分かりになりますでしょうか?
一言でいうと、その場に小児がいない場合には算定できないということをQ&Aで言っております。
オンライン服薬指導をした場合、子供を一回家においてから家族が来局した場合、車に子供を待たせて家族が来局された場合等が該当します。

今回の点数は12点です。数字も小さくはありません。しかも、この加算は、最低でも今年の9月までは続きます。12点×人数になりますが、ある程度小児を受け入れている薬局にとっては、経営に影響を与える金額になります。また、4月からは、それ以外の方も加算対象になります。是非、今の内から試行錯誤をして対策されることを強く勧めます。
場合によっては、車で来局されて待たせているのであれば、お子さんの状態も確認したいところですよね。

算定しないというのは、簡単です。
なので、なるべくどこまでできるかというのを考えるのが、薬局経営を考えるということにつながります。
これは、賛否両論が沸き起こることは理解していますが、もし嫌であれば算定しなければいいと思います。

・最後に

今は、ネットに情報がたくさんあり、調べればおおよそのことは何とかなることです。ただし、方向性を決めるのは、その会社ごとで決めなければなりません。

今後、ますます、一層厳しい診療報酬改定が続き、薬局経営をまじめに考えてハンドリングをしていかなければ、経営サイドはどんどん追い詰められてしまうことでしょう。

是非、今の内から大手の真似をするわけではありませんが、いい所は真似をし、かつ、地元に愛される特徴ある薬局作りをしていただければと思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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