【自分の持ち物を確認する】〜シュロスバーグの転機理論〜
こんにちはryoです。
今回は転機の活かし方、転機の乗り切り方に関するナンシー・シュロスバーグ女史の理論をご紹介します。
みなさんは「転機」と聞いて、どんな出来事を思い浮かべますか?
また、ご自身の転機はどんな出来事だったでしょうか。
おそらく、どんな方にも転機はあったと思いますし、今まさに転機に直面しているという方もいると思います。
また、転機は人生において1回限りとは限りません。実際、シュロスバーグ女史も、「人生は転機の連続である」と述べています。
そんな転機に対して、どのようにアプローチするか、どのように捉え乗り越えていくか、というヒントをご紹介できればと思います。
ご自身の転機に照らし合わせて、考えながら読んでいただくと、より理解も深まると思います。私は、最初の転職が大きな転機の一つでした。
転機を乗り越えるにあたって、ブリッジズ氏の「トランジション理論」も、とても参考になります。以前まとめましたので、ぜひこちらもご参照ください。
転機の種類は?
さて、シュロスバーグ女史によれば、転機は大きく2種類に定義できます。「ある出来事が起こること(イベント)と、「予測したことが起こらないこと(ノンイベント)」です。
前者は、例えば、就職する、転職する、大学を卒業する、子どもが生まれる、失業する、事故に遭う、などの出来事です。
それに対して後者は、志望していた学校・会社に入れなかった、結婚したいのにできない、思い通りのキャリアを形成できていない、昇進できない、などの出来事です。
みなさんの思い浮かべた転機となる出来事はどちらですか?
転機の影響度は?
次に、自分の人生にとって、その転機の影響度は、どれくらいなのか、3つの観点から考えます。
このあたりはカウンセラー視点も入っているので、個人で内省をする際は、このあとに紹介する4S点検から始めるといいと思います。
①転機そのもの
先ほどの転機の種類を含め、その転機は自分にとってどんな転機なのかを考えます。「予測していなかった転機(異動、病気、失業など)」「自分自身が決断して生じさせた転機(転職、進学、結婚など)」「正常な発達観点の通過点として生じる転機(子どもが家をでる、退職など)」の3種類に分け、どれにあたるかを考えます。
②本人が転機にどう対処するか
同じ出来事でも、個々人によって受け取り方は様々だと思います。転機に対処する能力を左右するのは、次の4つです。
「自分の人生に対する見通し」「コントロール」「対処スキル」「過去の経験」この能力がどれくらいなのかによって、その転機の影響度も異なってきます。
③支援の状況
その転機に対して、どれくらい支援があるかによって、転機の影響度も変わっています。「人(家族や友人など)」「物的資源(お金など)」「公的機関や民間団体(国や市、民間団体が支援してくれる制度など)」この3点があるかどうか、あったとしたら、どれくらいの支援なのか、確認します。
転機に対処するための自分の資源は?
長くなりましたが、以上を受けて、転機のそのものについて、多角的に考えた上で、転機に対処する方法を考えていきます。
まず、自分の資源を確認します。リソース点検です。これは、転機に対応できる物をどれくらい持っているか、という自分の持ち物確認と捉えていただくといいと思います。
確認すべきリソースは4つです。頭文字が全てSから始まる言葉なので、よく「4S点検」とも言われまます。
①状況(Situation)
その状況に対する、自分自身の見解を確認します。自分の見解をどれくらい持っているかと考えるといいと思います。多角的に考えることができれば、できるほど、また、状況を性格に把握できていれば、できているほど対処しやすくなるからです。
・この出来事の原因は何か?
・予測できたことなのか、できなかったことなのか?
・過去に同じような出来事はあったか、その時はどうやって乗り切ったか?
・この状況は良いことなのか、悪いことなのか
・この状況は一時的なのか、しばらく続くのか?
・今は転機のどの状況にいるか、始まったばかりなのか、真っ只中なのか、終わりが見えているのか。
などなど・・・
状況について、自分はどう捉えているか、正確に把握します。先ほどの「転機そのもの」を考える思考プロセスも使えると思います。
②自己(Self)
自分の能力、自己概念について確認します。
・自分の変化対応力はどれくらいか?
・自分は変化に対してどう捉えることが多いか?
・自分の職業的能力はどれくらいか、どんな経験があるか?
これは、その出来事の種類によっても変わってくると思います。例えば、家族に関する転機であれば、「家族」という概念にどんな価値観を持っているかを確認していきます。
③支援(Supports)
転機に関して、周囲の支援はどれくらいあるか確認します。
・友人や家族から支援を受けられそうか?
・過去の転機に受けた支援システムは使えそうか?
・支援を受けれそうな社会的システムはあるか?
これは考えやすいかな、と思います。助けてくれそうな人、モノ、制度はあるかを考えます。
④戦略(Strategies)
上記3点を把握した上で、効果的な戦略を実行しているかを考えます。言葉の通りだと、少しややこしいのですが、転機に対処する具体的な行動を行っているかどうか、と考えると分かりやすいかと思います。
・状況を変えるよう、行動をしているか?
・状況をプラスに捉えられるよう、考え方を変えているか?
・ストレスを解消しようと努めているか?
以上4点がそれぞれどれくらいあるかを確認します。
確認後は、「変化を受け止め、転機を乗り切る戦略」をたてていきます。4Sのうち、どれが不足しているかを確認したり、より強いリソースがあれば、それを使って乗り切ることはできないかを考えます。
まとめ
目の前に大きな壁があり、その向こう側へ行かなければならないとイメージしてください。壁の向こう側へ行くにはあなたはどうしますか?
方法はたくさんあると思います。壁に穴をあけてもいいし、地面を掘ってもいいと思います。よくよく壁を確認してみたら、梯子をかければ登れる高さかもしれませんし、実は壁はとても柔らかい材質でできていて、道具を使わなくても向こうに行けるかもしれません。
「壁の高さや性質を把握しつつ、自分の持ち物をしっかり確認する。そして、足りない道具を補いながら、目の前の壁に対処する自分なりの方法を考える」というのが、このシュロスバーグ女史の理論なんだと私は捉えました。
転機に直面した際は、ぜひ一度4S点検してみてください。カウンセリングをする際は、クライアントの各要素を丁寧に確認していきましょう。
個人的に、転機やスランプと聞くと、思い出すお気に入りの文章があるんです。最後になりますが、その文章をご紹介して終わります。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました!
ーーー「楽しかった夏休みも、苦労したテスト勉強も、いつだって振り返ると一瞬の思い出である。その時は永遠に続くように思えた時間も、思い出に変われば一瞬だ。人生で最も自分がスランプだと思う時、この世で一番自分が不幸な人間だと思う時は、きっとこれもいつか一瞬の思い出になって、振り返って笑う自分が居るだろう、と思うようにしている。そうすると、不思議と雨が上がったような気になれるものだ。止まない雨はない。弱かった自分を笑って「よくやった」と言えるようになることが、きっと人の成長なんだろうと思う。(一部引用)ーーーーー
【引用元】ワタシの一行/北川景子
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