【器のはなし】漆器、ツヤツヤすぎて部屋の反射がすごい。

そう、今日連載の日なの。マジか。そういえば、大晦日にオードブル盛り合わせを見た時、中央のことを「見込み」と言ってる自分がいて「器に染まりすぎだろ」と思いました。見込みというのは器の中央のことです。こわすぎ。


はい、漆器の話をしよう。正月だから。漆器、ツヤツヤすぎて反射がすごい。変な切り取り方してるけど、話の内容的にそれで問題ないから、このままでいきます。

漆器といえば、輪島塗みたいなところがある。私もそう思う。磁器ほど詳しくないためか、漆器に関しては器好きという訳ではない人の感覚をまだ残している。

「〇〇塗」というのは、だいたい産地の名前が付いているようだ。全部がそうという訳ではない。製造過程は概ね同じだが、産地によって模様の付け方や塗りの種類が違ったりする。


漆器といえば、黒と赤のイメージだろう。実際にはもう少しカラーバリエーションがあり、朱、緑、茶のほか、塗り方により色々と。

全面黒のものを「総黒」、全面赤のものを「皆朱」という。内側と外側で違う場合は、その都度「内朱外黒」など色を当てはめる。

溜塗。ためぬり。高級な醤油みたいな色だと思っている。透明感がある赤が積み重なったような。作り方を知らなかったので、調べたのを引用する。「下地(したじ)の段階で赤い色を着色し、仕上げに半透明な漆を塗り下の赤が上の漆を通して見える塗り方」なるほど、下に赤が入っていて、その上から透明を。だから透明感が出るのか……


拭き漆。木目を生かして、そのままツヤッとさせるやつ。木目LOVERなので、これはかなり好き。色の入っていない生漆(漆の樹液をろ過し、木の皮などを取り除いたもの)を塗っては拭き取り、薄く漆の層を作る。見つけたサイトの画像と見比べると、私が持っているこの膳はセンの木っぽいですね。ほ〜。


飛騨春慶塗。春慶塗は三箇所くらいあって、どこがどこだか分からなくなる。一番有名なのが飛騨なんだと思う。べっこう飴のような色味と、透けて見える木目が最高。透き漆(生漆を精製したもの。飴色。)を重ねてこの色を作る。

その色目が加藤景正の名陶「飛春慶の茶入」に似通っていたところから「春慶塗」と名付けられ

春慶塗の語源

「春慶塗」自体は地名ではなく、もともと存在していた陶器由来なのか……


これらの他、玉虫のように虹色に見える「玉虫塗」、多色を塗り重ね、削ることで模様を作り出す「津軽塗」、赤の下地に黒もしくはその逆で使っていくうちに上の漆が剥げていくのが楽しい「根来塗」などがある。



塗りの話は一旦置いといて、金を使った装飾の話を。

蒔絵/まきえ
沈金/ちんきん

蒔絵と沈金だけ覚えておけば、だいたいなんとかなる。蒔絵は金を蒔くので蒔絵。貼ってることもある。触るとやや盛り上がっている。沈金は削ったところに金を入れる。触ると沈んでいる。

他に、梨地というのもあり、スシローに行けばどういうもののことだか分かります。



さて、最後にこちらをご覧ください。

背景が整っていないので切り抜きバージョン

蓋がないお重。割と最近手に入れました。めちゃくちゃお正月っぽい。今年は一切おせち食べてないのに。かまぼこと伊達巻すらなかった。


これ、実は木製じゃなくて磁器製。磁器の上から漆を重ねて、木の土台を使う時と同じように作ったものがたまに出てくる。碗なども。

これを見たときに、昔の「再現」みたいだなあと思った。五弦紫檀螺鈿琵琶の再現模造を見に行ったときに、昔もそういう名品の写しを作らせたらしく、そのときに漆器の名品を磁器を土台にして作っていた。それが結構面白くて覚えていたのだった。それでいいのか?と思って。まあ確かに、磁器は木より丈夫だし変形しないし、取っておくにはいいのか?「再現」に関して今より考え方が寛容だった時代。見た目があってりゃOKだったらしい。(曖昧な記憶)


次回更新 1/16:え、どうする?
※だいたいリサーチ不足ですので、変なこと言ってたら教えてください。気になったらちゃんと調べることをお勧めします。


参考


めでたし、めでたし。と書いておけば何でもめでたく完結します。