0-1. 化学を学ぶ意味とは?
こんにちは。おのれーです。中高で化学を教えています。
これから今まで授業などで使ってきたものを利用して、高校の「化学基礎」「化学」の内容について、押さえておきたい基本知識を確認できるマガジンを配信していきたいと思います。
第1回は「化学を学ぶ意味」について。少しお付き合いください。
▶化学って何?
化学とは、物質を知るための学問です。
例)チョーク →炭酸カルシウム(CaCO3)
鉛筆の芯 →黒鉛(C)
と考えるとなんだかカッコイイ(?)が・・・
▶化学は金もうけの手段だった?
”Chemistry(=化学)”の語源
初期の原始的な段階では錬金術(alchemy)と呼ばれました。"alchemy"という単語はアラビア語の"alkima"に語源を持ち、"al"は定冠詞で"kima"は「金属を鋳造する」を意味するギリシャ語"chyma"あるいは古代エジプト人の自国の名称「黒っぽい土地」を意味する"chem"に由来するとされています。
◆ 錬金術って?
中世ヨーロッパで発達した、亜鉛や鉛などの卑金属から金や銀などの貴金属を作ろうとした術。
⇒なんだ、金儲けしたいだけじゃん。
◆ 化学の発達と近代工業
ウェーラー(ドイツ、1800-1882)が、生物しか作れないとされていた尿素(有機化合物の1つ)を人工的に合成して以来、石炭や石油から染料、医薬品、肥料、合成繊維、プラスチック、合成ゴムなど様々な物質を人間が作れるようになっていきました。そして、工業はますます盛んになり、化学もどんどん進歩して、現在私たちの生活を便利で豊かなものにしています。
⇒やっぱり化学はヒーローなのだ。
▶物質は二面性を持っている。
★塩素
<長所>
・水道水の殺菌(入れないと、感染症が広まる恐れがある)
・カビ取り剤
<短所>
・塩素ガス(=人類が初めて戦争で使用した毒ガス)
・発がん性物質の原因になる
★水銀
<長所>
・触媒(=化学反応を支えるもの)など →化学工業の発展
<短所>
・水俣病の原因となった
このように、どんなに便利で有益な物質であっても、一方では人の命を脅かすような使い方をできてしまう物質もあります。
大事なのは、リスクを知った上で、ベネフィット(利益)をどのように得ていくのかを考えられるようになることです。
化学とは、物質を知り、正しい認識をするための学問。
ただ、便利だからといってあれもこれも使っていいわけではありません。しかし、今の便利な生活を捨てて、原始的な生活をおくることは私たちには無理でしょう。
今、人間には、化学という知識を元にして、「本当に必要なものか」を判断する力が求められていると考えられます。
では、これから一緒に化学を学んでいきましょう!
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