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課題小説

オンラインスクール 「アイデアを形にする教室」2022年1月の、課題の小説を今日は載せてみます。

 

 「今度は海へ」

 琴葉からメールが届いた時、少し手が震えた。すぐには読まず、食器を洗ったりテレビを観てから、あらためて読んでみた。

 やっぱり…。何?偶然?…あのお店には仕事の後、みんなで行ったことはあるけど。まさか沙絵に見られていたなんて…。

 とにかく会って話がしたいというので、待ち合わせ場所のカフェに行くことにした。このままじゃ気になって仕事にも差し支えるかもしれない。

 その日は朝からブルーハワイのシロップみたいな青空で、わたしはこのまま海にでも行ってしまいたかった。もうすぐ梅雨の季節に入る。きっと今年の夏も、あっという間に過ぎてしまう。

 琴葉はもう来ていて、すぐにどこにいるのか見つけることができた。わたしは黙って琴葉の正面の席に座り、店員が運んできた水を半分くらい飲んだ。

 「一体何なの。3時間近くも哲矢と話し込んでたなんて。菜美も彼がいるじゃない。哲矢に聞いたら険悪なムードになっちゃったし、何か話があるならあたしや沙絵でもいいのに、なんであたしの彼氏の哲矢なの?」

 琴葉はすぐに問いつめてきた。

 「ごめん…。最近、沙絵がよそよそしい気がして。そのこととか、話してた。琴葉と沙絵は2人でよく遊びに行ったりしてるみたいなのに、なんでかなって…」

 「それなら沙絵に聞いてみればいいじゃない」

 「聞いたよ、メールしてみたけど、やっぱりなんか前と違うんだよね…」

 「じゃあ、あたしと沙絵のことで哲矢に会ってただけなのね?」

 「うん…わたしの彼はみんなのこと知らないし」

 「もー、だったらあたしに話してみればよかったじゃん」

 「そうなんだけど…ますます琴葉と沙絵だけで会ったりしそうで…」

 「べつに沙絵は…ん…?ちょっと待って…。そうだ、菜美は仕事が忙しいみたい、とは言ってたかも!」

 「ほんと?そっかぁ…」

 「確かに、しばらく3人では会ってなかったね…急にそうなったら、疎外感っていうか、不安にもなるよね…」

 「うん…でもだからといって哲矢君に会って話すことはなかったね…ほんと、ごめん」

 「とにかく事情はわかったよ。今度何かあったら哲矢じゃなくて、あたしか沙絵に言ってよね。沙絵にメールしてみる。3人でご飯でも食べに行こ!」

 「…ありがとう。あたしも、久々に3人で会えるの楽しみにしてるってメールしてみる!」      

                             終。

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