ある作文に感動して書いた小説➀
もうずいぶん前のことになりますが、図書館である本を借りて読み、ものすごく感動したことがあります。
その本がこちら。
何に感動したかというと、この本に『「あまえる」ということについて』という、8歳の女の子(中村咲紀さん)が書いた作文が紹介されているのですが、その作文に、衝撃といっていいほど心を打たれたのでありました。
しばらく読んでいないので、今読んだら、どう思うかにも興味があるのですが、
あまりにも感動したのでこの作文を題材に、小説を書いてしまいました。今までどこにも発表しないで、ポメラに保存されているのを時々読み返したり、推敲したりしているだけだったんですが、この小説を今日から少しずつ投稿してみたいと思います。
わたしの小さい頃の思い出や、アドラー心理学もちょっと意識して書いたかもしれません。
小説「だっこ」➀
もうすぐわたしにおとうとができるらしい。ママもパパも、にこにこしている。でもわたしはなんだかおもしろくない。
ママとパパがびょういんからかえってきた。おとうとが、ママのおなかでげんきにそだっているんだって。ふん、なにさ。
ママとパパが、おたがいを大すきだよといって、けっこんしたのはしってるけど、さいきんのパパとママは、ちょっとうっとうしいくらい、ふたりでひとつ、ってかんじだ。あさや、よるに、パパとママがしゃべっていると、ついついどうでもいいことを口ばしって、じゃましちゃう。だって、わたしはなんだかなかまはずれのきぶんで、おもしろくないんだもん。
がっこうに行くと、ともだちのユウナがいう。
「あたしもおもしろくなかったけど、いもうとがうまれてみたら、けっこうかわいかったよ。だから、カナエもだいじょうぶだよ」
「ふーん」
「まあ、うまれてみたらわかるって」
そしてついに、このよにおとうとがたんじょうした。わたしと、ママと、パパのせかいに、おとうとがやってきてしまった。
②に続く
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