日本酒むずくね?〜中級編〜

はじめまして!

日本酒は美味しいけど「ラベルに書かれてる意味が分からない」「自分で選ぶのが難しい」と感じている方、たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

自分でお酒を選べるようになりませんか?
お酒造りの流れに沿って、頻出単語をしっかり説明していきます。資格勉強ではなく日常の趣味として、日本酒を楽しむ助けになれば嬉しいです。

同世代の日本酒飲み仲間を増やしたいです!
よろしくお願いします!

自己紹介:20代男性。兵庫県出身。日本酒勉強中です。
     たまに兵庫贔屓します。

随時追加していきます!
たまに見に来ていただけると嬉しいです!


1酒造りの流れ

精米せいまい

お米の表層にはデンプン以外の成分が多く含まれます。
精米して取り除くことで、綺麗な味わいを得られます。玄米と白米で味が違うのと同じイメージです。
お米を削った量を精米歩合せいまいぶあいで表されます。

手間暇と原価が掛かるので高価になりやすく、お酒単体で楽しむのに向いているかも。

また、表層にはタンパク質も多く、発酵はっこう過程で分解されてアミノ酸(旨味成分)になります。あまり精米しなければ、お米本来の深い味わいを得られます。
こちらの方が、料理に合うと言えるかもしれません。

精米歩合100%(玄米)のお酒から
精米歩合0.数%のお酒まで造られています

ウンチク
ラグビーボールを転がり方を想像してほしいのですが、
転がるスピードによって地面に触れる場所が違いますよね。
お米も同じで、勢い良く磨けば角が削れてどんどん丸くなっていきます。
ゆっくり磨けば平たくなったりします。
削られる場所が変われば、取り除かれる成分も変わります。
[球型]や[扁平]など、精米方法にもいろいろ。


3アルコール添加てんか

トウモロコシなどから造られた、無味無臭の醸造アルコールを醪に添加てんかする工程。(以下「アルてん」)

アル添の効果
・香り立ちが良くなる
・味わいがスッキリする

カサ増しするためにアル添された時代があり、
「アル添=安酒」と思っている方を目にします。
が、今ではアル添した方がコストが掛かることもあり、
カサ増しに使われることはほとんどありません。
アル添でしか得られない味わいがあるんです!!


4純米 吟醸 ってなに?

〜特定名称〜
お米の等級などの基準を満たした日本酒だけが名乗れる特別な名称のこと。下表の8種類。
それ以外は俗に「普通酒|《ふつうしゅ》」と呼ばれます。

左ほど精米歩合が低く、お米本来の味わい
右ほど精米歩合が高く、華やかな香り
上段はアル添していなく、柔らかい
下段はアル添によって、すっきり

[特別な製法]
規定は無く、お酒や酒蔵ごとに自由に設定されています。どんな[特別]なのか、酒蔵さんのHPなどで見れるかも!?

吟醸造ぎんじょうづくり]
低温で長期間かけてゆっくり発酵する製法。
吟醸香ぎんじょうか」と呼ばれる、果実のような香りが生まれます。

お酒選びの際に
是非、参考にしてください!


5麹と酒母

日本酒造りに必要な発酵は2種類。
糖化発酵(麹菌こうじきん
米のデンプン→糖
アルコール発酵(酵母菌こうぼきん
  糖→アルコール

日本酒造りでは、2種類の発酵が同時に行われます。
非常に複雑な管理が必要ですが、
糖がどんどん供給されるためアルコール生成の効率が良いです。
「世界で一番難しい発酵方法」「世界で一番アルコール度数の高い醸造酒」と言われることもあります。
(ウイスキーやテキーラは蒸留酒)

もろみ」と呼ばれる本発酵の前に、
準備として麹菌と酵母菌を培養します。
①麹菌を培養したものが「こうじ(米麹こめこうじ)
②酵母菌を培養したものが「酒母しゅぼ(もと)

こうじ(米麹こめこうじ)

麹菌には大きく3種類あります。
黄麹
  一般的な日本酒、醤油、味噌の製造に使用。
黒麹
  焼酎、泡盛の製造に使用。
  クエン酸を生成するため、温かい地域でも
  雑菌の増殖を防げる。
白麹
  黒麹が突然変異で白くなったもの。
  日本酒に使用されることもあり、
  レモンのような酸味が得られる。

麹の発明前の時代、
唾液の酵素でお米を糖化したのが[口噛み酒]

酒母しゅぼ(もと)

酵母菌が増殖するまでに時間がかかり、その間に雑菌繁殖する恐れがあります。それを防ぐために乳酸にゅうさんで酸性の環境を作ります。
その方法が大きく2種類。
生酛きもと
  自然の力を使った昔ながらの伝統製法
  自然の乳酸菌を培養する。
  タンク内は複数の微生物で生き残りサバイバル。
  生き残った乳酸菌は強く、できるお酒も強い。
  パワフルで複雑な味わい。熟成や燗酒に向く。
速醸酛そくじょうもと
  技術発展による近代製法。一般的。1910年〜。
  人工の乳酸を添加する。
  乳酸菌培養の工程を省略でき、腐敗リスクも低い。
  明治中盤にできた製法で、軽快・淡麗な味わい。

その後、酵母菌を培養する工程に入ります。
酵母菌はアルコールの他に、吟醸香ぎんじょうかと呼ばれるフルーティな香りを生み出す重要な役割もあります。
種類が多すぎてマニアックになるので、上級編で触れます。

生酛系はさらに3種類に分けられます。
菩提酛ぼだいもと(水酛みずもと)
  日本最古の酒母。15世紀頃。
  炊いた米を生米に埋め、水で浸して3日間。
②生酛
  (生酛系の中に生酛。ややこしいですね。)
  江戸時代の主流。
  山卸やまおろし(寒い山の上で人海戦術じんかいせんじゅつで米を
  り潰し、ふもとの酒蔵におろす工程)を行う。
山廃酛やまはいもと
  1909年〜。
  山卸やまおろ廃止酛はいしもとの略。
  麹の研究が進んだことにより、
  重労働の米擦り作業を麹で賄えるようになった。


もろみ

麹と酒母と蒸米をタンクに合わせ入れ、
本番の発酵工程(醪)を行う。

酵母や麹が薄まらないよう菌の増殖を待ちながら、
蒸米は3回(4日間)に分けて投入する。
三段仕込さんだんじこみ)

四段仕込よんだんじこ
通常の三段仕込みに加えて、糖化した餅米を投入する製法。
餅米の滑らかな甘味のあるお酒ができる

しぼ

醪を布に入れて搾り、固形と液体に分けたものが
酒粕さけかす]と[日本酒(清酒)]です。

搾った初めは薄くにごっており、
澱絡おりがら]と呼ばれます。
通常、薄い濁りは静置•沈澱させて取り除きます。

目の粗い布で搾ったものが[にごり酒]。
醪を搾っていないものが[どぶろく]。

搾りの種類

大きく3種類あります。
槽搾ふねしぼ
  伝統的な方法。
  ふねと呼ばれる風呂桶ふろおけ型に、
  醪を入れた布を詰め、上から圧力をかける。
ヤブタ式
  近代的な方法。一般的。
  巨大なアコーディオン型に醪を入れ、
  横から圧力をかける。
袋吊ふくろづり(雫取しずくどり)
高級酒向きの方法。
  醪を入れた布を吊し、圧力をかけずに
  滴り落ちる雫を集める。


8出荷前の処理

火入ひい

60~65℃の低温で行う加熱処理のこと。
目的は大きく2つ。
①発酵停止
  麹と酵素の活動を止め、味わいの変化を防ぐ。
②殺菌
  乳酸菌などによる細菌汚染、劣化を防ぐ。

火入れによる種類は4つ
一般的な日本酒
 搾った後と瓶詰め前の2回火入れを行う。
  常温での保管が可能で、品質も安定する。
生酒なまざけ本生ほんなま
  火入れを1回も行わない。冷蔵必須。
  爽やかなフレッシュ感が特徴。
生貯蔵なまちょぞう
  生で貯蔵し、瓶詰め前の1回火入れを行う。
  酒蔵の管理された貯蔵庫で、
  スピーディに進んだ熟成感が特徴。
生詰なまづ
  搾った後に1回火入れを行う。
  搾りたての味わいを保ちつつ、
  品質も安定するのが特徴。

濾過ろか

活性炭などを使い、雑味や色を取り除く処理のこと。

酒造りに嫌気が差した蔵人が酒を駄目にするため、タンクに炭を入れた。そのタンクを濾過したところ美味しいお酒ができたのが始まり。なんてウワサも。

無濾過むろか
濾過を行なっていないもの。
複雑で幅のある味わいが特徴。

加水かすい

水を加える処理のこと。
飲みやすいアルコール度数に調整する。

原酒げんしゅ無加水むかすい
加水を行なっていないもの。
濃い味わいとアルコール度数が特徴。

火入れも濾過も加水も行なっていないものは
無濾過むろかなま原酒げんしゅ]と呼ばれます。


おわり


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