この部屋から東京タワーは永遠に見えない 麻布競馬場
現代風刺画。
今しかわからない風刺画。
数年後読んでも、おもしろく感じないはず。
東京コンプや学歴コンプや容姿コンプを全部同じ大鍋に入れてぐつぐつ煮込んで、もう汁なくなりましたよーってやつを小皿に分けて調味料で味変した小話集。
全部じゃないけど9割方のエピソードに“きつぅ〜”ってなった。なぜなら私も彼らと同じく“きつい”から。
「東京」というものに夢みて、怠惰と少しの努力で生きられる地元を「退屈」だと見下し、自分は日本一の都会で華咲かせるんだと、それだけの能力を持っている側だと何故か思い(本当に何故だ?)、あっけなく「生まれもって持っている側の人間達」にボッコボコのバッキバキにされる。
「生まれもって持っている側の人間達」がこちらに気付いてもいないのもまた“きつい”。
私もその“きつさ”を味わってきたから、この本がおもしろかったりおもしろくなかったりするんだろう。
侮蔑なのか羨望なのか嫉妬なのか焦燥なのか、それは知らんけど。
読後に得るものはない。
けど、結局「幸せの形なんて人それぞれだし、自分が幸せであることが何より一番大事な気がする」って思った。
という“分かったようなコメント”を残して締める。