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平安時代を観察①

寒さが戻ったまま、大阪は雨模様の日が続き、傘が手放せません。春は近くて遠いようです。

さて、平安時代というとどんな情景を想像されるでしょうか。十二単の「お姫さま」、紙に和歌を書いて送り思いを交わし合う恋愛、「源氏物語」、宇治の平等院に見られるような極楽浄土への生まれ変わりを願う信仰の厚い人々がいる・・・・このあたりは全て貴族層のことですね。

ふと思い立って調べてみると、平安時代の貴族層(五位以上の官人とその家族とします)は諸説ありますが1000人前後とか。平安京の人口で数十万と考えられていて、その1%にも足らず、また支配地域は現代と異なりますが「日本」の人口に占める割合だと更に少なくなります。そんな一握りの人々の営んでいた政治・文化の印象で語られる平安時代。わたしたちは超セレブにしか目を向けていないのですね。

源氏物語の中でも、光源氏と正妻葵の上、夕霧と正妻雲居の雁はそれぞれいとこ同士で結婚。それぐらい血筋的に近い人しか身分の釣り合いが取れる相手がいなかったとも言えます。光源氏が明石に隠棲した際に現地で明石の上を娶った「例」や受領として地方に任官した人がその土地の有力者の女性を娶るというようなこともあったでしょうから、多少新しい血も入ってきていたでしょうが、中々狭い世界ですね。

一方少し後の時代になるとは思いますが、今昔物語集(芥川龍之介の「羅生門」も参考になるかと)にあるように、庶民の暮らしはかなり厳しかったと思われます。こうやって考えると、平安時代→雅な時代、とも言えないようです。最近、小説や漫画などの創作物ではタイムトラベルや転生の要素を持ったものが流行っているようですが(現代の知識を持ったまま移動して優位性を行使できる、というのが特徴とか。一時代前の、主人公が努力して何かを達成していく、という設定はもうあまり受けないそう)、万が一平安時代に行ってしまうなら、上級貴族のお屋敷で過ごせる設定になってほしいです(ってもしもしそんなことが可能なら、わたしは奈良に都があった時代に行きたいですが)。

今日の菓銘は「ひなの袖」。
時期が時期だけに雛祭りのことを書こうと思ったのですが、上巳の節句からの変容が大きすぎ、近年の雛祭りが意味不明なものという結論になってしまうことに加え、昨今はよい結婚ができるように、とか早くお雛様を片付けないと嫁き遅れるといったことが急速に重要視されなくなってきていることもあり、もう数年動きを観察してみるのも面白いかと思っております。雛祭りは10年後くらいにどのようになっているでしょうか・・・。

寒さが長引くからか、周りでは体調を崩される話をよく聞きます。どうぞお大事になさってお過ごしください。


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