茶道教室 蘭月会

大阪市西長堀の茶道教室。お稽古中に話す時間がない周辺のこと(時々万葉集がらみ)を書きま…

茶道教室 蘭月会

大阪市西長堀の茶道教室。お稽古中に話す時間がない周辺のこと(時々万葉集がらみ)を書きます。新たにお茶を始める方の世界がより心弾むものになりますように。当方アラフィフ裏千家流准教授。お稽古は火曜月三回7500円~、入会金5000円。rangetsukai0701@gmail.com

最近の記事

桜を食べる②

春分の日は強風でしたね。警報が出ていた地域もあったようですが、大きな被害は無かったでしょうか。 今日はこの時期に一番出回る桜餅、の葉について。 葉は食べても食べなくてもお好きにどうぞ、です。わたしはいただくことが多いですが、塩気があまり必要でない時は半分だけ、などその時の体調や気分によって変えています。 この葉は、裏面に全く産毛が無く、やわらかくて食用に向いたオオシマザクラが使われています。葉が元々やわらかいだけでなく、その中でも樹齢の若い木から収穫するのだとか。若い分、

    • 橘(たちばな)あれこれ①

      昼間の気温は大分高くなる日も出てきました。冬用のコートはそろそろ出番が終わりそうです。 スーパーには様々な種類の柑橘類が並ぶこの時期ですが、今日の菓銘は「花橘」。とはいえ橘の花は白、実は地域にもよるでしょうが10月から2月あたりまでに成るところが多いようです。 橘でまず知っておきたいのは、田道間守(たじまもり)の話。実在したのなら紀元300年前後に在位したと思われる垂仁天皇の90年(!)2月1日に、田道間守に命じて、常世国(とこよのくに)に遣わして、「非時香菓(ときじくの

      • 修二会②

        ここ数日で、鉢の木々草花の芽吹きが勢いづき、一回り大きくなっている気がします。 今年も東大寺二月堂で行われている修二会(しゅにえ)。 昨年紹介したお菓子の銘が「開山良弁椿」だったのですが、開山とはここでは東大寺を開創した人、創建に一番功績のあった僧侶とでもいいましょうか、その良弁(ろうべん)さんから名前をいただいている椿から取られていました(菓銘としては開山堂にある良弁椿、の意かもしれませんが)。 藤原氏出身の母を持つ初めての天皇となった聖武は神亀5(728)年、やっと恵

        • 平安時代を観察①

          寒さが戻ったまま、大阪は雨模様の日が続き、傘が手放せません。春は近くて遠いようです。 さて、平安時代というとどんな情景を想像されるでしょうか。十二単の「お姫さま」、紙に和歌を書いて送り思いを交わし合う恋愛、「源氏物語」、宇治の平等院に見られるような極楽浄土への生まれ変わりを願う信仰の厚い人々がいる・・・・このあたりは全て貴族層のことですね。 ふと思い立って調べてみると、平安時代の貴族層(五位以上の官人とその家族とします)は諸説ありますが1000人前後とか。平安京の人口で数

          早蕨(さわらび)②

          大阪は一説に、少し早い菜種梅雨か、なんて言っていたら寒の戻り。まだしばらく春とはいかないようです。 今日の菓銘は表題と同じく「早わらび」です。 万葉集?興味ない~、と思っていても 石走る 垂水の上の さわらびの 萌え出づる春に なりにけるかも の歌は聞いたことがある、という方もいらっしゃるかもしれません。 巻八 1418のこの歌は「志貴皇子の懽(よろこび)の御歌一首」として春雑歌の最初に載っています。春雑歌で他に詠まれているのは梅や桜や柳など。蕨を詠っているのはこれ

          早蕨(さわらび)②

          梅あれこれ②

          昨日の大阪は雨ながらも気温は高く、梅が一気に開いたのではないかと思います。お住まいの地域はいかがでしょうか。 万葉の時代に宮人から愛でられた梅ですが、これは白梅だったとか。その後紅梅も日本にもたらされ、平安貴族の愛でた梅は主に紅梅だったと言われます。俗に十二単と呼ばれる五つ衣(いつつぎぬ)・唐衣(からぎぬ)・裳(も)からなる公家女房の公の晴れの装いや、私の装いの小袿(こうちぎ)姿における襲の色目(かさねのいろめ)という、重ね着する着物の色の組み合わせに紅梅襲(こうばいがさね

          藤原道長異聞

          立春を迎えたとはいえ、暖かくなるにはもう少しかかりそうですね。今週関東では「大雪」の日もあったようで。 今年の大河ドラマは本名も詳しい生涯もわからない『源氏物語』の作者紫式部(←本名ではなく呼び名のようなもの)を主役にした『光る君へ』。一年話をもたせるために、後に彼女の仕える藤原彰子の父である道長と幼い頃知り合っていたという設定になっています。 道長というと この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば の歌がよく知られています。これは寛仁2年(1

          もうすぐ節分②

          寒いなぁと思いつつも、今年は暖冬だとか。そんなことを言っているうちに4日日曜には立春を迎えます。 明日は節分。日本中で知られるようになった、恵方巻を丸かぶりする大阪発祥と言われる風習の準備をしてる方もおられるでしょうか。 大阪育ちのわたしの場合、子供の頃は親が巻寿司を自宅で作っていました。具もかんぴょうやでんぶ、卵焼きといったもので、お刺し身なんて入っていません。当時巻寿司はそれなりにごちそう感があったように思います。丸かぶりすると、願い事が叶うのだと教えられ、がんばって

          御茶一「服」差し上げたく存じます

          今週は大阪でも雪が舞う日がありました。通勤・通学に支障は出ていないでしょうか。 寒い時期には温かい飲み物が有難いですが、緑茶・コーヒー・紅茶・白湯から、冷たいビールや水でもカップやグラスに一「杯」という単位を使うことが多いと思います。 が、お抹茶は、薄茶であっても濃茶であっても一「服」という単位を主に使います。現代では「服」というと着るものを真っ先に思い浮かべますが、「内服薬」という言葉もあるように、「服」には薬を飲むという意味もあり、また量でいうと漢方薬一回分や一回煎じ

          御茶一「服」差し上げたく存じます

          鵲(かささぎ)よもやま

          明日は大寒。来週はかなり冷え込みそうですね。 かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける 百人一首で中納言家持の歌とされるもの。万葉集の撰者とされる、最終官位が中納言だった大伴家持(718~785)ですが、この歌は万葉集には収められておらず、家持の作ではないという説もあります。今回は、寒い夜に詠われたこの歌について。 鵲は、『淮南子(えなんじ)』に「七月七日夜、烏鵲(うじゃく) 河を塡(うず)めて橋をなし 織女を渡す」の記載があるように、天の川に橋を

          鵲(かささぎ)よもやま

          甲辰(きのえたつ)の新年です②

          忘れがたい始まり方をした2024年ですが早や12日。関西ではまだ松の内といいますが、街はとっくに通常運転になっており、我が家で松の内を意識するのは鏡開きと寒中見舞いを発送する時くらい。35年くらい前までは、お正月には多くの家が玄関や車にしめ縄を飾り、国旗を掲げていました。車の飾りのみかんが走行中に落ちて、道路上に踏みつぶされているのをよく見ましたが・・・いつの間にか見なくなりました。自家用車が普及してからしめ縄が消えるまでは、考えてみると短い期間だったのでしょうね。今、小学生

          甲辰(きのえたつ)の新年です②

          甲辰(きのえたつ)の新年です①

          新年いかがお過ごしでしょうか。大変な幕開けとなりましたね。 北陸の大地震(役立つ情報は無いので、検索に引っかからないよう敢えて正式名称は記載せず)とそれに付随して起きたとも言える羽田空港での飛行機事故。元日の地震発生時は自宅で揺れを感じてすぐ食卓の下に。すぐにTVをつけ、震源地を確認。大阪でも、その後何度か余震と思われる揺れを感じました。2日は、地震関係のニュース番組を見ていたところに、羽田空港で火災発生の情報と映像。火だるまとなった飛行機が着陸する映像が繰り返し流れ、30

          甲辰(きのえたつ)の新年です①

          2023年を振り返って

          昨日で仕事納めだった方も多いのでしょうか、本日デパートに買い出しに行くと、正月食材や帰省土産を購入する人で大賑わいでした。 今年は、ここ数年何らかの形で悩まされた方が多かった新型コロナウイルス感染症が、2類から5類へと扱いが変わり、元の・・・とまで行かなくても、生活が元に近いものになったように思います。お茶の世界でも、大寄せの茶会など含めマスク着用は必ずしも求められるものではなくなりました。 わたし自身は、控えていた長距離の移動も行い、久々に懐かしい人々とも無事顔を合わせ

          2023年を振り返って

          冬至②

          この年末に、コロナでもインフルでもなく、風邪を引いてしまう、というある意味大当たりの出来事が。5年ぶりくらいの発熱で大人しくしておりました。 で、15日に冬至の柚子湯などについて書く予定だったのですが一週間休み、いつものペースで明日夜だと柚子を買っていただくのに間に合わない!と気付いて慌てて今日書いております。 冬至の柚子湯の習慣は江戸時代に始まったとのこと。冬至と湯治を掛け、柚子も冬に手に入りやすい柑橘で。湯に浸かることは、ある意味新年である冬至に、邪気を払う禊(みそぎ

          忠臣蔵①

          今週末の大阪は結構気温が高い予報。で、ちょっとお菓子も戸惑いそうですが・・・。 旧暦12月14日は忠臣蔵赤穂浪士の討ち入りの日として知る人ぞ知る日。今の70代くらいの方は当然のようにご存知でしょうが、アラフィフのわたしは、歴史好きなこともあり知ってはいるものの、同年代の友人達と創作物を話題にしたことは皆無、20代くらいの方になると何それ?という方が大半かと思うのですが、たまにお茶のお題にされることあるので、毎年少しずつこの話をしていきたいと思います。 忠臣蔵とは、江戸時代

          ふと気づいた身だしなみの一つ

          12月に入りました。楽しいクリスマスに思いを巡らす方、お正月の段取りを考える方、その前に仕事の期限が・・・など、忙しくなってくる方も多いことと思います。 お茶をなさっている方は、先生から初釜のお誘いもある頃でしょうか。先生ご自身が全て対応されるお教室、各手前を各社中に順番に割り当てていくお教室、薄茶だけ皆で点て合うお教室など色々あることと思います。その中で、もしご自身が点前座につくよう言われた方がいらしたら、今からできる準備の一つを。 それは手のお手入れです。寒くなる時期

          ふと気づいた身だしなみの一つ