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「茶わんの湯」寺田寅彦

今年の梅雨は短く終わるかもと言われていましたが、大阪はこれからしばらくは雨模様のようで、それなりの長さになりそうです。

寺田寅彦さんのお名前を聞いたことはおありでしょうか。物理学者、随筆家、俳人など多彩な顔を持つ方ですが、今日ご紹介するのは、物理学者として大正11(1922)年5月に児童雑誌「赤い鳥」に寄せた「茶わんの湯」という文章。5000字程度の短いものです(文章は著作権が切れているようで、ネット上でも閲覧できます)。初心者より、もう少しお稽古が進んできたかなという方に、ちょっと面白いのではないかと思って。

手前手続きの一つ一つが点状だったところから、線としてつながりだしたり、何かのタイミングで今までより一つ上の段階に上がったように感じたり、お茶の世界が広く、なり、深く、なり、それまで見えていなかった、気付いていなかったことに目がいくようになって、お茶にはまりだした方に、お茶を点てる上での直接的な「知識」とはまた違う世界の広がりを示してくれる文章です。子供向けの簡易な文章での表現力に脱帽です。

わたし自身の感想を示してしまうと、読まれる方の感性の世界を制限すると思うのでしませんが、ご興味あれば、ぜひご一読を。雑誌「Newton」初代編集長竹内均氏やノーベル物理学賞受賞の湯川秀樹氏といった物理学の専門家も高い評価をしておられます。

日本人は、自他共に文系・理系と区分けしたがる傾向が外国に比べて強いそうです。が、これはあくまで受験時の入学科目選択上の、便宜上の区分。文系が得意、だけだったはずが、いつのかにか理系はからっきしダメと思っている、などとご自身を縛ることのないように。世の中、文系理系と簡単に分けられるようなものではありませんし、自分も他人も同じように簡単に分けられるものではありません。ご自身の可能性を狭めないでください。

今日の菓銘は「杏子(あんず)」。
昨年はせっかく生の杏をお店で見かけたのに、買いそびれたので、今年は気合を入れて購入。ハーコットというカナダから来た種類らしいのですが、とても甘く美味しかったです。この年になって、(生では)初めて食べた果物・・・。

近所で庇の下に燕が巣を作っているのを見つけました。雨も避けられて、中々快適そうなおうち。湿度が高くて過ごしにくい日々が続きますが、どうぞお体お気をつけて。



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