次世代金融の設計者

ネット証券・仮想通貨・ブロックチェーン・ベンチャー投資・社内起業・自主規制機関・新規事…

次世代金融の設計者

ネット証券・仮想通貨・ブロックチェーン・ベンチャー投資・社内起業・自主規制機関・新規事業・シンクタンクなどの領域で役員・管理職・担当者を経験。現在はデジタル金融分野で新規事業の立上げ準備を進めております。noteは主に次世代金融・資産運用に関する考察をアウトプットする場です。

マガジン

  • 資産運用・FIRE・仕事・キャリアプラン

    資産運用・FIREを通じたライフマネジメント・仕事のキャリアに関するテーマの考察です。

  • RE+Designing 社会制度設計

    本マガジンは日本の社会制度のリ・デザイニングについて考察するシリーズです。既存制度の各所に綻びが見える日本の社会制度を未来に向けてどのように改善すべきかについて私論を展開いたします。

  • 次世代金融の設計者

    金融ビジネスの将来像を様々な角度から整理・分析し、未来の金融サービスをデザインするシリーズです。

  • Web3・メタバース・NFT

    Web3・メタバース・NFT関連のビジネス価値を批判的視点で整理し、一般にありがちな説明が本当に正しいか検証します。

  • ファンド分析

    公募投資信託・ETFについて考察するシリーズです。個人投資家目線で資産形成に有益なファンドを分析しポートフォリオを提示します。

最近の記事

労働者兼投資家への進化:変容する日本社会における資産防衛と人生設計

1. はじめに  2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が公表した報告書によって話題となった「老後2000万円問題」は、5年を経た現在、加速するインフレの影響により「老後4000万円問題」として再び注目を集めています。  本稿では老後に必要な資金とインフレの影響を詳細に整理し、現代の日本人にとっての資産運用戦略・労働戦略・人生戦略について深く考察します。バブル崩壊以降、約30年にわたるデフレを経験した日本人にとって、近年の加速度的な物価上昇は大きな戸惑

    • 税引後リターンを最大化:投資信託を駆使した損益通算の新戦略

      1. はじめに  本稿では投資信託を活用した損益通算の戦略について詳細に検討いたします。これは過去に論じた外貨建MMFを活用した損益通算の手法を補完するものです。外貨建MMFの戦略が為替変動を前提としているのに対し、今回の投資信託を活用した戦略は、年に1〜2回程度発生する10%超の下落を活用します。 過去の外貨建MMFに関する記事は以下を参照ください。  これら二つの手法を組み合わせることで、為替変動と株価変動の両面から損益通算の機会を得ることが可能となります。ただし

      • 応能負担の罠:日本型社会主義からの脱却と投資家の選択

        1. はじめに  近年、日本経済はインフレ傾向にあり政府の税収は過去最高を更新しています。しかしながら国民の負担も同時に増加の一途を辿っており、その上限が見えない状況にあります。最近では金融所得に対する社会保険料(税)徴収の議論など、さらなる負担増加に関する議論が活発化しています。  国民負担率を詳細に分析すると特に中所得層・高所得層の負担が顕著に増加していることが分かります。かつての「中流」層であれば低所得者を支える余裕があったかもしれませんが、現代の「中流」層にはそ

        • 証券会社の売買手数料無料化の考察

          1. はじめに  2023年秋から、SBI証券と楽天証券が国内株式の売買手数料を完全に無料化しました。本稿ではネット証券における経営企画・システム開発・事業開発の経験を踏まえ、この動きの背後にある戦略を分析します。一般的な経済メディアでの解説とは異なる視点も提供し、業界の今後について新たな気づきを得られる内容を目指します。 2. 無料化はSBI流のマーケティング  かつて証券会社にとって株の売買手数料は収益の柱でした。しかし、手数料自由化によってネット証券が普及し、手数

        労働者兼投資家への進化:変容する日本社会における資産防衛と人生設計

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        記事

          2024年9月以降のポートフォリオ戦略

          1. はじめに  2024年8月5日(月)、日本の金融市場は過去に類を見ないほどの大幅な下落を経験しました。2024年は米国大統領選挙や米国の政策金利引き下げ開始が予定されており、9月以降も市場の変動性が高まることが予想されます。  本稿ではこのような不確実性の高い状況下でのポートフォリオ構成について考察します。ここで提案する戦略は一般の個人投資家が実行可能なものを前提とし、リスクの低減と上昇局面での収益獲得(アップサイドの獲得)を目指すものです。 2. 米国長期国

          2024年9月以降のポートフォリオ戦略

          デジタル革新の虚像と実像:Web3時代における批判的思考の重要性

          1. はじめに  本稿では近年話題を集めているWeb3、NFT、メタバースといった新しい技術概念について、批判的かつ論理的な視点から考察を行います。これらの技術は多くのメディアや起業家、経営者によって熱心に推進されていますが、その一方で潜在的なリスクや課題についてはあまり議論されていないのが現状です。  私はこれまでの投稿でもこれらの技術概念に内在する矛盾や問題点について指摘してきました。しかし、個人のブログを除けばこれらの技術を論理的かつ批判的に分析する文献は決して多く

          デジタル革新の虚像と実像:Web3時代における批判的思考の重要性

          STの投資価値の考察 - 技術革新と投資家価値の乖離

          1. はじめに  私は過去にSTの自主規制に関する業務、そして証券会社でのST事業の立ち上げに従事した経験があります。新しい制度の創設に関われたことに幸運を感じる一方で、常に一つの素朴な疑問を抱えていました。それは、「STは本当に投資家が求めている金融商品なのだろうか」という問いです。  この疑問は、単なる好奇心からではなく、金融商品の本質的な価値とは何かという深い問題意識から生まれたものです。新しい技術や制度が登場すると、ともすれば私たち金融業界の人間は、その新奇性や

          STの投資価値の考察 - 技術革新と投資家価値の乖離

          収入と余暇のトレードオフを乗り越える:最適なバランスの探求

          1. はじめに  社会人であれば誰しもが、より多くの収入とより多くの余暇時間を望んでいることでしょう。しかしながら収入と余暇時間は大抵の場合、トレードオフの関係にあります。頑張って働くことで収入を高めることは出来ますが、代わりに余暇時間を失い、精神的に疲弊します。本稿では収入と余暇時間の最適化をテーマに、自身が望む趣味や余暇を楽しむのに必要十分な資金を出来る限り短い労働時間で稼ぐかを考察します。 2. 収入の最適化と足るを知る心の持ち方 社会人として働いていると仕事の価

          収入と余暇のトレードオフを乗り越える:最適なバランスの探求

          キャッシュフローと税負担:高配当株とインデックス売却戦略の評価

          1. はじめに  資産形成期の運用方法として格安インデックス投信への積立が主流となりつつありますが、高配当株(ETF含む)も一定の支持者が存在します。本稿では出口戦略におけるインデックス投信(分配金を出さないタイプ)の元本売却と高配当株(半期or四半期配当)の投資効率を考察します。 2. 投資効率を高める税金の戦略的繰り延べ 最初に結論を示すと、生活資金として利用する場合、投資元本の定期的な売却が精神的に苦痛ではない方はインデックス投信の定期売却の方が高配当より投資効率

          キャッシュフローと税負担:高配当株とインデックス売却戦略の評価

          誤解を解く:ロボアドは本当に低コストか?

           先日の日経にロボアドに関する記事がございました。内容が投資初心者のミスリードを誘う内容になっておりましたので私の見解を示します。  何がミスリードなのかというとタイトルの「手軽に低コストで分散投資」の太字の部分です。ロボアドは確かに手軽です。これは事実として正しいです。また多くのロボアドはポートフォリオ理論に沿ってアセットクラスの分散が効いている場合が多いので分散投資という表記も間違いではありません。  しかしながら「低コスト」という表記は明らかに間違っています。日経

          誤解を解く:ロボアドは本当に低コストか?

          ゴールベース資産管理シリーズ第一弾: 新潮流の探索

          1. はじめに  野村證券の社員の方が執筆され日経から出版された「金融サービスの新潮流‐ゴールベース資産管理」という書籍が骨太の内容で本質的な点を的確に指摘する良書でありましたので紹介します。証券業に携わる方は一読することをお勧めします。 2. 野村證券に見るゴールベース資産管理 野村證券というと対面主体のゴリ押し営業でノルマが厳しくて体育会系の会社、というイメージをお持ちの方が多いかと思います。一昔前は回転売買やはめ込みの印象が強く、近寄りがたい印象でしたが、本書を通

          ゴールベース資産管理シリーズ第一弾: 新潮流の探索

          アセットクラスとしてのクリプトの評価

          1. はじめに  米国でビットコインETFの上場が話題となっています。仮想通貨も誕生から約15年が経ちました。その間に様々な出来事がありましたが、今日では無数のコインが生み出され取引されています。本稿ではクリプトは資産運用のおけるアセットクラスとして成立するか、というテーマで整理いたします。 2. 規制の限界:本質的価値への道 クリプト業界は当初の無法地帯から整理が進み、多くの国で取引所などのサービスを提供する場合にはライセンスが必要となりました。またグローバルでは金融

          アセットクラスとしてのクリプトの評価

          AI時代のファイナンシャルアドバイス: Vanguardの先見性とAdvisor's Alphaの役割通じて

          1. はじめに  バンガードは日本人投資家には低コストETFのブランドとして認知されていますが、ロボアド(VPAS)や401kの受託など様々なサービスを提供しています。本記事では単なるローコストETFブランドを超えたバンガードについて「Vanguard Advisor's Alpha」を教材に理解を深めます。 以下はバンガード社のAdvisor's Alphaの概要ページです。 2. AIの進化と心の琴線に触れる行動コーチングの力 ファイナンシャルアドバイザーはクライ

          AI時代のファイナンシャルアドバイス: Vanguardの先見性とAdvisor's Alphaの役割通じて

          オルカンvs S&P500

          ※2024年1月に執筆し投稿出来ていなかった記事となります。そのため一部の記載内容は既知となっている点をご了承ください。 1. はじめに  X界隈の株クラでは日常的にオルカンvs S&P500論争が繰り広げられています。新NISAの開始もあり、多くの方がこの論争の答えを求め情報収集に励んでいます。本稿ではオルカン派vs S&P500派の宗教論争に一定の帰結を与えることを目指します。 2. 論理最適解と過去実績最適解 最初に結論を示します。オルカンは論理的最適解であり、

          ビットコインETF承認による変化

          ※2024年1月に執筆し投稿出来ていなかった記事となります。そのため一部の記載内容は既知となっている点をご了承ください。 1. はじめに  先日SECがビットコインETFを承認しました。これによって伝統的な金融市場に仮想通貨が参入したことになります。本稿ではETF承認の影響、今後の動向について整理いたします。 2. 短期的な資金流入 昨年後半からETF承認期待もあり、ビットコインの価格は上昇を続けていました。今回の承認を受け、短期的にビットコインの価格は更なる上昇が期

          ビットコインETF承認による変化

          リタイア計画と収益順序リスク:FIRE戦略の再考

          1. はじめに  昨年末、FIR関連の記事を2本投稿しました。今回もFIREに関連したお話です。投資家の方は収益率の「順序リスク」(Sequence of Returns Risk)という言葉をご存じかもしれません。本稿では順序リスクについてFIREと絡めて考察します。  過去のFIRE関連の記事は下記を参考ください。 2. 資産取崩し期のリスクとそのタイミング:収益順序の真実 収益率の順序リスクは資産形成期にはあまり影響はありません。一括投資の場合、無影響です。積立

          リタイア計画と収益順序リスク:FIRE戦略の再考