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"もの”としての本をトマス・ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」で考えた。

なにかこういう本があることはとても面白いと思う。

 トマス・ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」の外側についてだけ書く。
 現代アメリカ文学の嗜好が偏っているため、作品内容についてふれるには能わず。エンタメとおなじ楽しみかたを望んで読み、amazonレビューで怒り低評価をつけてしまうお客様は神様状況をみると、怖くてふれられたものではない。

 92年発行の初版、造本者は木庭貴信、印刷・製本は中央精版。
 
 まずは表紙カバーから…。

古書風の加工をした印刷である。
背表紙はヤケた風に色を変えてある。

カバーを取ると…本体に逆側からまたカバー。

いかにも何か仕込んでいそうだ。

この内カバーをめくると・・・

カバーの裏は多色刷の重厚な絵画が印刷されている
本体はポップで鮮やか

そこで本体の表紙をめくっていくと・・・


なかなかに派手な見返し、カバーと対照的でインパクトがある。

それでこの見返しを広げると・・・

扉がこんな感じで内カバーになっていた。

 この手順を踏んで本文に入っていくのである。

”もの”としての本について思う。

 電子書籍はこれからますます広がっていく半面、書籍を”もの”として持つ楽しみを感じる人も増えている気がする。
 それが残る本と残らない本の分岐点になるかもしれない。
 薄利多売や時勢を意識した消費本と、長い時間がかかっても評価を問いたい本の違いは、ますます表紙など”もの”としてどう作られたかにあらわれていくだろう。

 そんなこともありInstagramでは、ただただパっと見で好きな表紙をのせているが、この表紙は一枚の写真では説明しきれないのでこちらに載せてみた。

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