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立ち食いそばを探して、食べて、話して、考えたこと。

このところち食いそばばかり食べていた。

 はじまりはダラダラ企画会議に参加していたメンバーが、たまたま立ち食いそば好きだったため、かなり狭いジャンルではあるけれど、立ち食いそばの企画を立ててみることにした。
 この番組は、おっさんホイホイ(©「東京ポッド許可局」のマキタスポ―ツ)と言われるBS局向けだろうと考えて提出したら、有難いことに採択していただけた。
 そして単発2本の1回目の放送をしたのが6月である。
 結果がそう悪くなかったようで、また2回目の機会をもらうことができた。10月最終週と11月の第一週の水曜日の夜にBS日テレで放送する。
 再びスタッフは嬉々として立ち食いそば巡りをはじめた。 

コロナ禍で立ち食いそば屋の環境も激変

 今回は立ち食いそば好きスタッフたちが、以前から気になっていた店を確認しに行くことから始まった。
 前回の調査経験から、独立系の家族で営んでいるような立ち食いそば屋は、ホームページが無いのも、電話がつながらないのも珍しくない。
 そして状況的にまったくカメラが入れなかったり、ちゃんと映像で魅力が伝えられないケースがある。エラソーに取材ですと電話して行って、そんな理由で断るのは気がひける、立ち食いそば好きとしては。

 行ってみて驚いた。
 立ち食いそば好きに有名なお店が思った以上に閉店していた。
 営業時間をかなり絞り込んでいるお店も少なくなかった。
 コロナと不景気の影響は、立ち食いそば屋を直撃していた。

 そして客が来ないからではなく、事業承継の目途がない老夫婦のお店などに、コロナが店じまいのきっかけを与えたケースがいくつかあった。

 無責任に考えれば、人気で客は来ていたのだから、誰かが継いでやれば儲かるのにと思う。
 しかし似たような悩みを抱えながら営業している店を回ってみたら、少しわかってきたことがある。
 大抵の小ぶりで雰囲気の良いお店には、支えている常連がいる。
 しかしその客層は高齢化しており、承継者としては先を読みずらい。例えば40代に店を継いで頑張ったとしても、高齢の常連が減るとともに先細って50代が見えない。
 とはいえ新しい客層のために店を変えるには勇気がいる。常連は店の雰囲気が変わることを好まないものだ。
 かき揚げそばを手繰りながら、事業承継問題のあるあるを実感した。

 番組が、新しい客に興味をもたせ、新旧の客が共存するきっかけになればいいな…などと思ったりもした。

立ち食いそばの味も大きく変わってきている。

 立ち食いそばにあまり執着のない人にとっては、真っ黒い醤油味のつゆと小麦粉の多いモソモソしたそばに、ベタッとしたかき揚げあたりをのせて、通りすがりに食べるものぐらいの印象だと思う。
 真っ黒も、モソモソも、ベタッも、立ち食いそば好きにとっては、それはそれで偏愛的な魅力を放つのだが、一般的に共感されるかははなはだ自信がない。

 しかし、ちょっとだけ気にしてもらえれば、最近の立ち食いそばが通りすがりのおざなりフードでないことに気づいてもらえると思う。

 「本格立ち食いそば」の台頭
 立ち食いそばのつゆの色は全体的に薄くなってきて、ダシの味わいは強まっている。もし真っ黒としてもそれはおざなりでなく、その店なりの考えがある場合が多い。
 そばの小麦粉の配合にもそれぞれの理由があり、蕎麦屋の蕎麦とは違う立ち食いそばに向けた別な麵として成立している。
 かき揚げ天ぷらもサクサク厚めのドーナッツ型であったり、最初からつゆを沁みさせることを想定した生地が強めのものもある。

 蕎麦とは違う立ち食いそばとしての美味しさを目指す工夫が施された、本格立ち食いそばが広まりつつある。
 そんな立ち食いそばをモチーフにした進化系も盛んになってきた。

 昭和の立ち食いそばは、蕎麦の代替品で、時間のない人が通りすがりに早く安く食べられるという、シチュエーションと一体化した食べ物としてはじまった。

 近年はそこから離れ、寿司に対する回転ずしのように、立ち食いそばという品目単体がジャンルとして明確に確立されようとしている。

そんな立ち食いそばをどう伝えるか?

 立ち食いそばを巡ってみたら、いろんなことが見えたけど、食べ物番組に一番大切なことは、美味しく食べることだと思う。

 いくつか試してみようと、
 #1 浅草巡り 10月26日(水) ドランク塚地&岡野陽一
 友人とご飯を食べるときに、「さてどこで食べようか」と店選びするときの楽しい雰囲気でまわり、最後に食べたくなった一杯を選んで食べる。

 #2 南武線巡り 11月2日(水)ドランク塚地&真空ジェシカのガク
 先輩後輩コンビ、本格的な食レポをしたことのないガクが立ち食いそばの魅力をどうやって伝えるか、二人でお店を訪ね美味しく食べる。

 ナレーションは、立ち食いそばと言えば…の柳家喬太郎師匠。

  今、立ち食いそばはとても面白い。
 でも1時間で伝えられる内容は限られている。
 みんなが見てくれてレギュラーでやれれば、も少しゆったりと、いろんなお店を応援していける。
 興味があったら軽い気分で見てほしい。



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