女の朝パート117
『2月19日水曜日
ここは八王子駅に隣接された駅ビルOPA3階にあるスタバ。
大きな窓からは、澄みきった空とわたあめの様な真っ白な雲が見える。
気持ちが良いくらいの晴天で、
眺めていると、知らずに背筋が伸びてくる。
それなのに、白い湯気は可哀想。
スタバのエンブレム、セイレーンに寄って巻かれた上に、紙で出来た紙カップの中で行き場をなくしているではないか。』
時刻が10時30分を過ぎた頃、ここスタバにやって来た女が、
椅子に座り、写メを撮るや否や一人呟いた。
しかし女の表情はとても優しく穏やかだった。
ある意味、覚悟を決め、心を入れ換えた時のようなあの感じに近い。
咄嗟に、何故?と思った時、
おんなは身体中に張り巡らされた末梢神経が粟立つ恐怖のようなものが全身を走った気がした。
次の瞬間には真っ暗な闇に覆われ、途端に胃の当たりがきゅっと縮み身動き出来なくなっ気がした。
その時だった。
『閉じ込められたらもう最後。
紙カップの中の、昇天出来ない湯気のように、
あなたもカフェイン地獄から抜けだせなくなるわ』
と女が呟いた気がした。
完。
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