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植物たち

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身の回りの植物たちをメモします
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コーヒーの完全自家調達を目指して

コーヒーの完全自家調達を目指して

約三年ほど前、小屋の部屋に緑が欲しくて小さなコーヒーの鉢を300円で買ってきて窓際に置いた。その後、コーヒーの木は冬の寒さにも耐えて、ぐんぐん大きく育ち、今では高さが1メートルにもなった。四季を通して、みずみずしい濃緑の葉を繁らせている。喜んでいるのは僕だけではない。雨蛙もすっかり葉の上が気に入ったようだ。

コーヒーの木が、僕のところに来るまでには長〜い歴史がある(笑)。
コーヒーは、少なくとも

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狐の剃刀(きつねのかみそり)

狐の剃刀(きつねのかみそり)

栃木県の山里を走っていたら、チラリと山の斜面に赤い花が咲いているのが目に入った。「ああ、きっとキツネノカミソリに違いない」と思ったが急いでいたので、帰りに確認することにした。

やはり、そうだった。斜面一面にキツネノカミソリが咲いていた。春先にいち早く球根から細長い葉を出してしげらせるが、他の草が繁茂する夏には枯れて、今度は花茎を伸ばしてお盆の頃に鮮やかな橙色の花を咲かす。名前の由来は、花の色がキ

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クサギの花

クサギの花

昔の金鉱山跡を探していたら、坑道の近くでクサギ(臭木)の花が咲いているのを見つけた。クサギは日本全国のどこでも見られるありふれた低木である。現代の分類法ではシソ科クサギ属に入れられている。気の毒な名前の通り、葉に独特の臭いがある。しかし、長いおしべを突き出している花は、甘い香りがして意外に美しい。よく大型のチョウやガが訪れている。

秋に熟する果実はもっと美しくて、赤い萼の上に藍色の丸い液果を乗せ

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ハスの花

ハスの花

茨城県は、レンコンの生産量が日本一である。霞ヶ浦に近づくにつれ次第にハス田があちこちに目立つようになり、湖畔近くになると見渡す限り一面のハス田が広がる。夏、今頃は花の季節。白やピンクの花や蕾が、濃緑の大きな葉の間から首をもたげている。時折吹く風が葉をそよがせて、葉裏の薄緑色をチラリとのぞかせる。

ハスは、魅力的で神秘的な植物である。原産地はインド亜大陸とその周辺で、それが中国を経由して日本に帰化

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ヤマユリの花が咲いた

ヤマユリの花が咲いた

 溶けてしまいそうな暑さの中を、小屋まで戻ってきたら、昨日まで蕾だったヤマユリが咲いていた。小屋の北側斜面に沿って田舎道が走っている。毎年、今頃の季節になると、この道沿いにヤマユリが一斉に咲くのだ。日本の野草では例外なほどの強烈な芳香を放つ。散歩する人は甘い香りに酔いしれる。

 日本の野山は、美しいユリの宝庫である。ヤマユリをはじめ、日本固有種のユリが多く自生している。現在、世界中でもてはやされ

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野ばら畑

野ばら畑

 散歩していたら、畑一面に白い花が咲いているのを目にした。何だろうかと近づいた。バラの畑だった。それも野ばらだった。車から降りたら甘い香りに包まれた。ミツバチがブンブンと飛び回っている。ひとり、野ばら畑の中に入り花に埋もれて陶然とした気持ちになった。

 しかし、なぜ、観賞用でもない野ばらを、こんなにも栽培しているのかがまったく解らない。気になってしかたがない。聞くにも誰もいない。しばらくしたら、

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花束

花束

 以前から近くを通る度に、この電柱の支柱から首を出している植物は何だろうかと思っていた。今日、それがわかった!ノイバラだった。
誰かに捧げるかのように、田んぼ脇の黄色い支柱の上で丸く茂り、一面に白い花を咲かせている。
 思わず、車を停めて眺めたら、気持ちがスーツと軽くなり、風景も明るさを増したようだった。

芽鱗のほころび

芽鱗のほころび

 庭のマルバノキの冬芽がほころび、赤い芽鱗の噛み合わせが少しばかりずれて初々しい浅緑色がのぞいていた。冬が終わって木々たちが目覚めたのだ。このところの暖かさで冬芽の中の新葉が成長して、硬い芽鱗の殻を押し上げたのだ。僕は、これを見ると春の到来を実感する。

 昔、お世話になった植物の先生が、「植物を学ぶものは、この芽鱗のほころびを見て、その新鮮な緑色に感動するようでなければならない」と言っていたのを

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小屋の庭

小屋の庭

 そういえば、まだ小屋の庭を紹介をしていなかった。約600坪ある土地の端に小屋があり、庭の大部分は雑木林だ。今から約25年前に、僕がかつて牧草地だった原野に樹木をせっせと植えた。一部は小鳥たちが無断で種を蒔いたのもある。今では写真の通り、立派な雑木林になっている。

 樹種は、カツラ、ケヤキ、ヤマザクラ、ホオノキ、トチノキ、イロハカエデ、コナラ、クヌギ、ミズキ、ブナ、カマツカ、ナツツバキ、マルバノ

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アビス

アビス

もう何年になるだろうか。小屋の中に緑が欲しくて、テーブルの上でアビスを育てている。一年を通して瑞々しい緑の大きな葉を広げている。
 アビスというのは、常緑多年草の着生シダ「シマオオタニワタリ」の園芸種である。シダであるから小屋の中のような半日陰でも良く育つ。でも、故郷が東南アジアであるから寒さに弱い。熱帯雨林の深い森の中、樹上の窪みなどに着生している。

 四季の無い熱帯が故郷だからだろうか。この

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