【JOCV】技術補完研修Day8, 9
インタープリテーションの体験とその企画に関する研修。この分野のノウハウを蓄積している山梨県のキープ協会いよる研修プログラム。写真は都市公園内に隠された人工物を探し出すというアクティビティ。
「インタープリテーション」はアメリカの自然公園が発祥という説が濃厚。日本語では「自然解説」という訳語が主流。様々な定義があるが、おおまかには情報や体験を通じて概念や関係を伝えることを指す。
研修では顧客調査や企画書作成などの実践的な技能取得がメインであったが、個人的なハイライトは人間の発達段階によってインタープリテーションのアプローチを変えるべきだという考えである。幼児向けの自然教育において、大人向けのプログラムを言葉易しくして実施するようなことがしばしばあるが、より良い効果を上げるにはそれらとは根本的に異なるアプローチを取るべきであるという考え方である。(ナカニシヤ出版「インタープリター・トレーニング」第7章)。
我々人間の心身は生まれてから死ぬまで変化し続けることに異論は少ないだろう。自然への欲求も発達段階によって変化するのであれば、この欲求によってインタープリテーションの形式を変化させるのは当然であろう。
以前、幼少期に自然に触れた経験が、青年期・成人期での精神疾患のリスクを低下させることを示唆した報告を見た(原著論文はこちら)。この類の研究結果は都市緑化を推進する理論的裏打ちとなることが期待されるが、ではどのような緑化を進めればよいだろうか。発達段階に応じた自然への欲求を考慮する必要があるのでないか。
世界各地で都市化が進み、子どもたちが自然と接触する機会が少なくなっている。国立公園や自然保護区に連れて行って万事解決するのであれば苦労しない。重要なことは、子どもたちが自身の生活圏内で動植物と接触すること、足元の自然に親しむことでは無いだろうか。
我々人類がこの地球の自然環境を愛していることを前提としてMDGやSDGは成立していると、少なくとも私は信じている。では自然との接触を失った今の子どもたちがやがて大人になり、国際的枠組みを作る立場に置かれたとき、この地球の自然環境を守りたくなるか。
環境教育という職種で派遣される協力隊として、急速な都市化の中で生きる子どもたちが足元の自然に触れる機会を増やし、一人でも多くの自然好きを育てたいと、切に思うのである。