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【書籍紹介】コンテナ物語~世界を変えたのは「箱」の発明だった[増補改訂版]

前の職場で化学品や肥料原料の輸出入の仕事をしていた関係で、輸送用コンテナで物を運ぶ機会が多くあった。港や船に積み上げられてたり、トラックで運ばれている輸送用コンテナだが、身近過ぎるのか、形がシンプル過ぎるのか、その発明や普及について考えたことも無かった。

そんな中で巡り合った本がこちら。著名人が紹介したりと繰り返し話題に上がる本で、noteでも書評が多く投稿されている。

原題は"How the Shipping Container Made the World Smaller and the World Economy Bigger (拙訳:輸送用コンテナはどのように世界を小さくし、
世界経済を大きくしたのか)"である。輸送用コンテナが誕生し、世界に当たり前のように存在するまでになった一部始終がまとめられている。自分なりに内容を簡単に要約した。

現代においては当たり前のように存在するコンテナであるが、トラック運転手のマクリーンによる劇的なイノベーションである。コンテナが開発される前後で貨物海上輸送は大きく変化した。この変化の波は海上輸送からトラック運送業、鉄道運送業へと広がり、輸送インフラはコンテナを運ぶことに最適化された。結果として物を運ぶコストは下がり、産業のグローバル化の推進力となった。コンテナを中心とする貨物輸送の効率化と巨大化は、社会問題や環境問題の一因にもなっており、コンテナは今後も世界経済に大きな影響をもたらすだろう。

コンテナを巡って様々な利害関係者が協力し、対決し、助け合い、足を引っ張り合っている様子が面白い。著者のマルク・レビンソンはThe Economisの記事も手掛けるプロのライターさんということもあり文章も分かりやすかった。

コロナ禍でコンテナ輸送の運賃が高騰している。昨年はスエズ運河でコンテナ船が座礁して何隻ものコンテナ船が足止めを受けた。コンテナに私たちが翻弄される物語はもうしばらくは続きそうである。

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