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70歳で初めて長編劇映画を撮る●クランクアップ(撮影完了)!!  されど、意外にもちっとも解放感がない


「ときたま映画日記」というタイトルで映画撮影にまつわるあれこれを書いていた。
これは僕を知っている人の多いFacebook用に簡単につけたものだ。
知らない人にも状況のわかるタイトルに改めた。

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2024年1月14日、映画はクランクアップした。
実景は少し追加撮影があるかもしれないが、役者さんの出るシーンは撮影完了。

シナリオ第一稿を書き上げたのがいつかよく覚えていないが、2021年の10月くらいではないかと思う。
撮影前、役者、スタッフが揃うまでにゴタゴタしたり、ロケ地探しで右往左往したりで撮影開始まで約2年。

最初の撮影が去年の3月だから、撮影は約10か月。とびとびのロケで、正味の撮影は10日ほどではないかな。
シナリオ完成から3年以上の月日がかかった。

思ったよりずっと長くかかった。
しかし、スタッフ集めなど準備段階も「準備」ではなく「映画作り」と思っていた。
自分の心の中にしかない「映画」を何度も脳内で断片的に上映し、練り上げていた。
ロケ地も決まらないうちに頭の中で考えたり練ったりしたことが実際の撮影に結びつくとは限らないが、畑の土を掘り起こすつもりで、本を読んだり人と会ったりしながらイメージを練り続けた。

いろいろ右往左往している時間にも焦りはなかった。

長いプロセスを経て、先日はついに撮影が完了したのだけれども、さほど解放感や感動はなかった。
……というのは、この後もすることが山積みだからだ。
撮影が完了したら7割くらいはできた、というイメージで進めていたが、今は「せいぜい半分だ」と感じている。

撮影後の制作をポストプロダクションという。略称ポスプロ。

このポスプロとさらにそれ以後の仕事が気が遠くなるほどたくさんある。
そしてその中に苦手なことがたくさん含まれている。
撮影の監督は未経験で知識不足ではあったが、苦手とは思わなかった。
それなりにやったと思う。

自分の頭の整理のためにも、このあとの仕事を書いておく。

1 編集
ご存知データを切り貼りする仕事。編集作業自体は、楽しい部分が多い。苦手でもない。それなりに独自性を出せると思っている。
しかし、ソフトを使いこなすことや、膨大なファイルを上手に管理することは上手にやれるかどうか、自信がない。
混乱してファイルがなかなか見つからないなどとなると地獄になる。
また一部CGを使いたい部分もあるが、ここもほしいものをどう作るのか未知数である。
編集を全部自分1人でやるのはきびしいが、人を頼むと予算もかかる。
編集にどれくらいの期間がかかるか、まったく読めない。

2 アフレコ
野外撮影の部分がたいへん多く、半分以上にアフレコが必要だ。
そのスケジュールなど手配や手間もさておき、僕自身が役者としてアフレコが苦手だ。
役者としては体験したことがある。
そのときは全然映像のテンポに合わせることができなかった。
運動神経的に苦手な気がする。

そのとき言われたのは、「プロの役者はセリフを均等な速度で言う」ということだった。
たぶん僕の話し方には癖があり、テンポが均一ではないのだろう。
今回何かコツのようなものがつかめるのかどうか。
やってみないとわからないが、苦戦することがありそうだ。

3 音響・音楽
編集ができたら音入れだ。こればかりは深く信頼するプロの友人に依頼しているので、楽しみな部分がある。これもとりかかると周辺でやることがいろいろありそうな気がする。

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ここからはポスプロという範疇の外になってくるかせいちおう書いておく。

4 クラウドファンディング
これは宣伝も兼ねてやりたいのです。
もともと考えていた予算をずいぶかんはみ出して来ているので、お金もほしい。
しかし、これもそれなりにエネルギーがいる。
誰か慣れている人が仕切ってくれるなり助言をしてくれるといいのだが。
他の制作と同時進行になるので、1人でやるのはきつい。

5 映倫を通す
映倫は映画の業界内団体で、ここを通さないと映画も業界内に入れない。つまり劇場で一般公開ができないのだ。そんなに難しいことではないけれども、僕はこうして文章を書くのは好きだが、書類の類が苦手だ。その上、審査に30万円くらいかかる。
これは全くプロデューサーの仕事だが、この映画にはプロデューサーがいない。
いない限りにおいて、僕がプロデューサー兼任ということになる。
つらい。

6 英語版字幕制作
この映画で海外のフェスティバル、賞に応募したいという野望があり、英語版字幕を作ります。
これは業者に頼めるようですが、翻訳の質のチェックなど一度信用できる人に見てもらう必要があります。

7 内外のフェスや賞に応募する
これは未公開作品に限るものが多いので、完成しても、1年くらいは試写会しかできません。
海外への応募は請け負ってくけれる業者もあるようですが、それでも煩雑な手続きがありそうです。
またデータをどのように送るかも賞によって異なり(DCPとか)、それなりの費用と手間がかかる模様。

8 プロモーション
作品の宣伝もしないといけません。メディアに扱ってもらうためのリリースを作ったり、ネットで発信したり、ということです。

9 配給に関すること
劇場で公開しないと話になりませんが、この交渉とか、営業とか、宣伝とか、そういうことは現時点でちっともわかりません。
映画作りの過程で知り合った映画プロデューサーなど、いろいろな人に相談し、情報収集することから始めることになると思います。
しかし、海外で賞を獲るとかないと、あまり相手にされないでしょう。

全部、自主上映、という手もあります。この場合は映倫も通さなくていい。
しかし、それはそれでまたたいへんな道のりであります。

以上、撮影完了にも関わらず解放感がない感じ、伝わりましたでしょうか。

僕は基本的にナマケモノなのです。
2.3週間部屋に篭りきりで、寝る間も惜しんで、編集をしあげたとか、そういうタイプの人がいますが、僕にはできません。

したがって、以上の9つのことを考えると目も眩むような重圧を感じます。
ヒマラヤの高山を見上げているような感じ。
山頂は霧の彼方でよく見えません。

とりあえず、3の映画完成までの道のりを足元だけを見て歩いていくしかありません。

コツは焦らないことです。
2024年中に映画が完成して関係者試写ができたらいいですけど、まあ2025年になってもいいや。

(語尾がいつのまにか「である」から「ですます」になっていますが、面倒なのでこのまま上げます(笑))

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