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セルフマネジメント事始め 8

<教職員の声>

しかし、それ以上に活用率が上がらないのには、もっと大きな問題があった。使い方が分からない、ということだ。そしてそれは教員側の問題でもある。

平成19年の終わり頃からNAVIノートに対する疑義が強く唱えられるようになった。活用率が上がらないのに高い金を払って買う意味はあるのか、という批判である。

メモを取る習慣をつけさせるなら市販の薄いノートで十分じゃないか。なるほど確かにそうだ。確かに単にメモをとるのに使うだけなら高すぎる。

だがセルフマネジメント習得のために3年間使うと考えれば高くない、いやむしろ一生を考えれば大変に安い投資なのだが。

校内の様々な批判を聞きながら、どうして分かってもらえないのだろうという思いが渦巻いた。鬱屈。せめて自分の思いを説明させてもらおう。おずおずと同僚の居室を訪れた。

しばらく話す。

分かった。

「セルフマネジメント」の意味が理解されていないのだ。

先生方の時間を取っては申し訳ないと思い、リフィルごとにマニュアルを自作して配布していたのだが、実は開いてさえくれていなかった。それこそ、そんなヒマはないのだ。

とにかく、すべての教員に配布してあるにもかかわらず、実際に使っているヘビーユーザは生徒以上に少ないのが現実。これではNAVIノートを活用するよう指導してもらえないのも当然だ。



<教師のマネジメント事情>


社会人として働き始めると、誰でも自分なりのマネジメントシステムを構築していくようになる。そうしないとやっていけない。

自分なりの、というのはオフィシャルなものとして供給されるのは縦長の教務手帳だけであり、それ以外は各自で準備するのが当たり前である。

年末にあちこち配布される手帳を流用している人もいれば自分なりのこだわりを持っている人もいる。そして自分がそうであったように、セルフマネジメントは自分で習得する以外にオフィシャルに学ぶ機会を持っていないから自己流で作る以外にない。苦労して独自に作り上げたマネジメントシステムをまったく更新する事に対して心理的抵抗が非常に大きいことは当然だ。

それではいくらセルフマネジメントを習得させたいと声を大きくしても通じるはずがない。言葉の意味さえ理解してもらえていないのだから。

その気でよく見回してみると、システム手帳を持つ人はほとんどいなかった。過去の勤務校を振り返ってみても、すぐには思い当たらない。学校の仕事は1年間のサイクルで回っているため、ある程度ルーティンワークで進んでいくということも理由の一つかもしれない。

<分かってもらう努力を>

平成19年度末、私は管理職に平成20年度初めのできるだけ早い時期に現職教育の時間を取ってもらえるよう依頼し、了承を得た。NAVIノートをもとに教職員がセルフマネジメントを習得できれば、学校自体の力は一気に上がる可能性がある。時間を取って申し訳ないが得る所がきっとあるはずだ。

今年一年かけて生徒にも教職員にも等しくセルフマネジメントの有用性とシステム手帳の持つ可能誠意の大きさをきちんと伝えていきたい。それでもダメなら撤退。悔いの残らないようにやろう。

(続く)

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