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LIFE SHIFT 全ての人が読むべき人生攻略本

『我々の誰もが100歳まで生きることになる』


この唐突な事実にまず考えさせられる。が、作者の提示している統計データで、現在60歳以下の方の寿命は、100年を超えることがほぼ確実となっている。知っての通りその先頭を走るのが我々日本人で、2050年までに100歳以上の人口は100万人を突破する見込みだ。実に100人に1人が100歳以上の人間ということになる。
ともすればこの事実は、長年うんざりするほど世間で言われている少子高齢化とも相まってネガティブに語られがちだが、この本の作者の意見は違う。
長寿化は恩恵であり、もっと手持ち時間が増えることにより、マルチステージの人生を楽しめるようになる、というのだ。

本書は人生100年時代に向けた人生設計を、登場人物3人の年代に合わせて述べている。現在の70代、40代、10代の年代に合わせて、雇用などの社会環境や、政府の社会福祉などの制度の変遷に合わせてどのように生きるのがベストかを語っている。とりわけ若い世代は、現在の親世代の3ステージ制の生き方(教育⇒仕事⇒引退)を踏襲しても上手くいかないことが作者の統計データで語られている。
とはいえ親世代にはない持ち時間の長さを活かしたマルチステージの人生が楽しめる。3ステージ制のストレートな人生ではなく、持ち時間が増えることにより選択肢が増えるというのだ。
詳しくは本書を買って参照にするのがベストだが、ここではかいつまみにつまんで、自分がとても腹落ちした点を1個だけ

お金が全てではない

先ほどの述べたように人生100年と聞くと、ともすればお金の面の心配をしがちだ。だがそもそもお金は重要だが我々の人生の資産の一部だ。日本ほど金銭面のセーフティーネットがしっかりしている国は他にない。見えない資産である無形資産について考えねばならないと本書は述べている。
無形資産とは人生の側面で大きな役割を果たす。優しい家族、素晴らしい友人、肉体・精神的な健康、評判などだ。これらの資産はお金と違って貸し借りや国による再分配は出来ない。有形資産と違って代替も出来ない。
ただ確かに築いていくことも出来るし、その反面減っていくこともある。適切な管理も必要だ。これらを維持するためにある程度のお金は必要だが多くはいらないはずだ。3ステージ制の人生ではこれらはおざなりになっていなかっただろうか

レクリエーションからリ・クリエーションへ

一つだけと述べたがもう一つ。持ち時間の多さは今まで時間を消費するレクリエーションから、新しいステージに立つためのリ・クリエーションの時間へ変えることができる。もちろん無形資産の蓄積や維持管理に使うことも出来る。日本で週4日制が議論されているように、労働時間は世界的に年々減少している。その空いた時間を無意味に投棄するか、意識的に投資するかで、100歳を迎えたときの私たちの人生資産は大きく変わるだろう。
社会は変わり、医療は発達し、私たちは同じ年齢でも親世代より見た目も中身も若々しくなっていることは実感出来る。私は今30代だが、100年時代に向け今から出来ることを空いた時間で模索していきたい。

LIFE SHIFT ――100年時代の人生戦略
アンドリュー スコット とリンダ・グラットン

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